岩手県岩洞湖・尾崎 渚
「関東の深場の釣りとは全くシチュエーションが違うのでとても楽しみです」と、令和6年2月中旬に北東北の聖地、岩手県岩洞湖で釣行したのはシマノインストラクターの尾崎渚さん。ホームグラウンドが山梨県山中湖、自身もワカサギ釣りの船宿に勤務し、年間で何万匹とワカサギを釣る名手として知られる。今回は、岩洞湖ならではの水深25mを超える超深場にアタック! 様々な引き出しを持つ尾崎さんだが、果たして!?
目次
メジャーな深場ポイント「堰堤」付近へエントリー
今回ポイントに選んだのは超深場の筆頭、通称「堰堤」付近。編集部が目星を付けていたポイントの魚探反応をまずは参考までに見てもらうと、水深は26m弱で底のほうにまばらに反応が出ている。匹数にして2~3匹といったところ。ここを基点にもっと良い反応がないか、周辺の穴を魚探でチェックすると、時間を開けてもワカサギの反応が若干厚く映るポイントを見つけた。「ここにします!」と尾崎さん。テント設営とタックル準備にとりかかった。
尾崎 渚的・岩洞深場タックル
今回使用したタックルは、穂先はシマノ「レイクマスター エクスペック M03K KAMISORI VERSATILE」。レイクマスターエクスペックといえばへの字調子が印象強いが、同穂先は全体的に曲がりクセがなく、ワカサギが掛かった時に竿がしっかり追従し、バラシを防ぐ役割を果たす。
リールはシマノ「レイクマスターCT-ET」。巻き上げが高トルクなその性能は、深場、かつ釣れるサイズが良型という状況にマッチする。「巻き上げスピードは、トルクのバランスが一番取れている2が基準となります。もしそれでもバラシが多いなら1ダウン、入れ食いでバラシも少ないなら1アップさせる感じです」と尾崎さん。
ミチ糸はシマノ「レイクマスター PE」0.2号。仕掛けは、全長80cm程度のエダスが細めで5本針のものからスタート。エサはベニサシ、シロサシを反応を見ながら使い分け、集魚効果の高いブドウムシも仕掛けの真ん中にセットした。
レイクマスターCT-ETに新機能搭載!
今シーズンのモデルから、巻き上げ通常設定の巻き上げ速度と、別に設定した巻き上げ速度を瞬時に切り替えられる「スピードシフト」機能が搭載されている。仕掛けを高速で回収したり、低速で巻き上げて良型の口切れを回避したりと様々な使い方が可能だ。ちなみに「アワせて乗りを確認し、巻き上げに入ったところで抵抗が大きいと、掛かり方の悪いことが多いです。これは口の横とかスレ掛かりに近い状態でとてもバレやすくいのですが、その抵抗感である程度察知できます」と尾崎さん。このような時に即減速もできるスピードシフト機能によってカバーできることもありそうだ。
気まぐれなワカサギをどう釣る?
尾崎さんといえば、リズム感良く誘って次々と連掛けしていく攻めの釣りを得意とする。今回もその自分の領域に上手く持っていければと考えていた。それが1つ穂先に現れており、本来なら02クラスのパワーで間に合いそうだが、1ランク上の03をセレクト。これは最初に設定した7.5gのオモリをあわよくばもっと重くして手返しアップしたい狙いがあった。「あとは穂先のパワーを1ランク上げることにより、穂先先端をなるべく水平気味に保ち、アタリの表現幅を増やす狙いもあります」と尾崎さん。
底層に映るワカサギは、確かに浅場にいるワカサギに比べると上下動は少ないものの、それなりに動いていて活性は悪くなさそうに見える。「基本的に深場のワカサギは水圧によってあまり動かないと思いますが、このくらい動いている反応のであれば釣らなきゃならないですね」と尾崎さん。いつもの攻めの誘いで簡単に食ってくるかも?と期待したが、岩洞湖の深場ワカサギはなかなか食ってくれない…。
すると、しばらく放置していた竿にアタリが出たことから誘い過ぎの可能性を考慮。徐々に誘いの幅を小さく、スピードも遅く、止めの間を長く、スローな釣りにシフトしていくとポツポツとアタり出した。それでも確信のアタリが出てアワせても乗らない、置き竿にして誘わないとアタる、かと思えば誘うと素直にアタるなど、気まぐれなワカサギ。完全正解とはいかないが、誘いの幅は数cmくらい、5秒前後止めるような超スローな釣りで地道に釣果を増やした。
ここまでで分かったことは、底から1mの範囲がワカサギのタナになっている中で掛かってくるのは仕掛けの上部が中心。「上に居るワカサギのほうが口を使うみたいです。ブドウムシも効いていますね」と尾崎さん。ただ、確信アタリで乗らない理由はブドウムシにアタックしている可能性もある。そう思って外すとアタリが確実に減ってしまうことから多少のストレスは致し方ないようだ。あとは、アタリに対しても即アワセするよりは2テンポくらい遅くし完全に穂先が入ってからアワせたほうが乗ることも多かった。
状況に合わせた引き出し探し
釣りが進むにつれ、反応の仕方も変わり、中盤では尾崎さんはオモリの重さを7.5gから4gに軽くし、誘いのテイストをよりマイルドにした。また、左の竿の仕掛けを全長1m強の長めの変則仕掛けへ変更。タナとなっていた底から1mの範囲を的確に捉えつつ、オモリをギリギリ着底させて仕掛け全体の張りを抑えるようなテンションをゼロ状態にする通称「ゼロテン」、さらにはジンタン1号を追加してのフカセ釣りなども展開。劇的に釣れるわけではないが、居るワカサギに対して誘い方を変えて飽きさせない効果で1匹1匹着実に釣り上げていく。
そして午後になるとまたパターンが変化。角度チェンジャーを調整し、穂先の角度を一段下向きに変更すると、明らかに乗りが良くなった。また止めの時間を1~2秒まで減らし、誘いのペースを上げたところ素直にアタってくる。これによってペースアップし220匹まで釣果を伸ばした。これは仕掛けの上げ下げに時間がかかる深場の釣りにおいてかなりのハイスコアである。
「岩洞湖らしい深場の釣りができて超楽しかったです!」
その難しさと、釣れるワカサギも10cm超えの良型が多く、1匹1匹釣った感があり、「岩洞湖の深場の釣り」を堪能した尾崎さんだった。