「スロー」と「ハイピッチ」で桧原攻略!

福島県・桧原湖北西部/編集部

3年前より武者修行的に恒例となった、山梨県在住、シマノフィールドテスター・尾崎渚氏の福島県桧原湖釣行。前々年の南部・ゴールドハウス目黒、前年の北東部・民宿ひばらに続き、今回の船宿は北西部の「やまぐっち」。北エリア最大船宿の激戦区でどのような釣りを展開するのだろうか!?

屋形のど真ん中に入座した

前日の降雪によって山は雪化粧

中層、当歳魚狙いのタックル設定

釣行日は令和5年11月21日。当日午前5時過ぎ、やまぐっちのめだかのがっこ前にはいかにも凄腕のロコアングラーが受付の開始を待っていた。その中にシマノモニターの寺山剛さんの姿もあり、尾崎氏は1年振りの再会を喜びつつ、情報を交換した。

受付で施設利用料と漁協の遊漁券を支払った後、釣り座指定。実は前日に同船宿にて下見実釣を行い、当日見事2番手となる544匹の好釣果を得ていた尾崎氏。てっきり同じ釣り座(ドーム2-5)にするのかと思ったら、全く違う釣り座(ドーム1-6)を選択。理由を聞いたら「こういう場合、調子に乗って同じ場所にすると大体痛い目に遇う」と尾崎氏。果たしてこの判断が吉と出るか凶と出るか!?

午前6時半からボートでの送迎が開始となり、間もなく沖合いのドーム船に到着。指定した釣り座に荷物を置いて準備にかかる。「ドーム1」の入って右側の列が好調のようで尾崎氏の釣り座はほぼ真ん中。ドーム船でのワカサギ釣りでは真ん中の釣り座は左右どちらからも群れが回ってきやすい反面、先に釣りやすい魚を抜かれてしまうため、特に群れの数が少ない場合は厳しいことが多い。濃い群れが回遊してきてほしいところだ。

時期的にはターンオーバー前で中層の様々なタナに現れる当歳魚の群れを狙う釣りがメインとなる。前日もそのような状況で、魚探を常に見ながら群れが入ってきたタナを直撃したところコンスタントに釣れ、3~5匹の多点掛けが連発するような時合いもあったとのこと。そのイメージを持ってタックルをセッティングしたが、強風、雨、雪など大荒れの天候で好調だった一昨日、昨日に対し、当日は真逆の晴天ベタ凪予報。状況が変わっていなければ良いが…。

穂先はシマノ「レイクマスターエクスペックM02E」。好奇心が強く動くものにリアクション的に反応しやすい中層の当歳魚が当日も主ターゲットになりそうなことから、誘いをかけて止めて微妙なアタリを目視で取っていくようなスローな釣りではなく、魚探から目を離さず群れを追いながら速めのテンポで誘いをかけていく。その誘いの動作がアワセとなる硬めの先調子モデルを選んだ。というと繊細なアタリは取れなそうだが、独自のへの字調子によって当歳魚の小さいアタリも大きく表現すると共に、胴から根本はかなり硬くテコの原理的に乗った時の重みをダイレクトに感じやすい。また、外部電源仕様で軽量なリールのシマノ「レイクマスターCT-ET」の手感の良さの合わせ技でワカサギの乗りを瞬時に判断できる。

渋カッコイイ、今季の新カラー、シマノ「レイクマスターCT-ET」ブルーブラックGR
尾崎氏はCT-ETを使って3年目。ここまで使い込んだ感想は「関東エリアで酷使してみて改めてその耐久性、パワー、トルクは本当に凄いと思う。当歳魚が多い桧原湖においては、その軽さによる手感度の恩恵も実感する」とのこと

への字調子が特徴のシマノ「レイクマスターエクスペックM01E

ミチ糸はシマノ「レイクマスターPE

シマノ「クイック角度チェンジャー

を使用し、アワセの効きやすさを保持しつつ穂先の感度を上げられる一段階下げの設定

ミチ糸はシマノ「レイクマスターPE」0.3号。仕掛けは、左の竿が袖1号、エダスの長さは4cm、右も袖1号でエダスは4cmと2.5cmの段差タイプ。桧原湖においては2cmクラスのショートエダスが多用されるが、尾崎氏の基本スタイルとしてロングハリス系の仕掛けを好む。これにはいくつか理由がある。まずホームグラウンドの山梨県山中湖では自走船の2点アンカーのため船が流れやすく仕掛けを自然に漂わせる、なびかせることが多い釣りが基盤になっていること。そして尾崎氏の積極的な誘いの速いリズムとの相性が良く、基本的にはエサが落ち切らないように絶えず誘いをかけ、ハリスを横に伸ばしエサを漂わせたナチュラルな状態(=アタリも出やすい)をキープする。もしショートハリスで同じような誘いをすればおそらくツケエサは動き過ぎて相性が悪いだろうとのこと。

オモリの重さは、前日は2号(7.5g)からスタートしたが、穂先のバウンドによるエサの動きをやや嫌う傾向があったため、徐々に軽くしていった結果、食いと手返し面のバランス的には1号(4g弱)がベストだった。このため、最初から1号を使いたい気持ちもあったが、やや攻めの意識で手返しアップを狙い5gをセレクトした。

エサは、前述の通り当歳魚を意識しリアクションの釣りとして、エサというよりはワームを使っているような感覚のため、エサ持ちが良く交換しやすい紅サシを選択。大きさは当歳魚を意識して小さくカットした(ごま粒よりやや大きめ)。

ベニサシ

アカムシ

エサはこのくらいに小さくカットした

スローな釣りでベタ底の良型攻略

ポイントの水深は約13m。6~9m付近の中層に濃くはないがワカサギの反応が出ている中、釣りスタートするも10分、20分と経過するも全くアタらない。「明るくなって口を使ってくれれば良いが…」と不安な立ち上がりとなった。

そこでオモリを軽くしようとオモリケースを手にしたところ、しばし誘いを止めた仕掛けにアタってきた。「自分の誘いのリズムが合っていないのかもですね。がちゃがちゃ動かし過ぎかも」と1つヒントを得る。オモリを前日と同じ1号に換えたところこれに落ちパクしてきた。やはりオモリは軽いほうが良い? 誘いのリズムも1/2~1/3のペースに落としたところ、太陽が出始めたのもあってか一時的ながら食い気が上がり7~8cmの良型が5匹釣れた。前日中層で釣れたのは4~5cmの当歳魚メインだったことから「昨日と天候などの条件が変わって、明らかに群れが変わりましたね」と尾崎氏。

序盤はスローな底釣りで良型を拾い釣りした

魚探にかなり厚い群れが入った時に単発で釣れるくらいの状況で、開始から1時間が経過した時点で20匹程度と依然低調。前日は中層の薄い群れでも食ってくれたが、全然食ってくれないどころかタナを合わせると消える。かといって中層でタナ決めして待ち伏せしてもペースが上がらない。

なかなか埒が明かないことから、底釣りに切り替え、オモリの所にはハンガーで寄せエサのブドウムシを追加。ブドウムシには明確な違いを感じないためすぐに外したが、底釣りにしたことでコツコツとオモリ上の針、3本以内にアタリが出るようになった。「まずは中層の連打を狙わず、ボディーブローのようにじっくり攻めるしかないようですね」と尾崎氏。昨年寺山さんから「桧原湖ではスローな釣り、放置系の釣りにはアカムシが有効」と聞いたアドバイスも参考に、エサをベニサシからアカムシに替えてみると7~8cmの良型が安定的に食い出した。ただ、食い出すと無意識に誘うリズムがどうしても速くなり結果アタリが遠のく。しばし逸る気持ちを抑えながらスローな釣りを展開した。

今釣行最大の12cmオーバー!

ようやく得意の当歳魚ハイピッチモードへ!

午前10時過ぎから状況が変わり始める。底から2~4m上の中層に安定して入ってくる群れがアカムシを付けた針でなく、紅サシのほうを食い始めた。このサインに「同じことをしていてもペースアップしないので変えていかないと」と、アカムシの針を全て紅サシにチェンジ。誘いのリズムも上げて、エサをピッピッとシャープに動かすリズムの釣りに切り替えると、当歳魚が掛かり始めた。さらには、午前11時前から針を0.5号の小針にチェンジし、より当歳魚を意識した攻め方にしたところ明らかに乗りが向上。釣れる魚のサイズも小さくなったことから、それまで取りきれてない魚が釣れるようになった。これが上手くいき、時速60~70匹のペースに上がった。

「レイクマスターエクスペックM02E」から「同M01E」にチェンジ

黙々と釣り上げる尾崎氏

5点掛けでラッシュをかける!

中層(タナバラケ)釣りのコツ

【基本】
●オモリは魚探に映りやすい鉛系を使用
●魚探を常に見て、ワカサギの群れが映った瞬間、素早くミチ糸を出し入れし、タナの下にオモリの軌道を合わせて直撃する。
●基本的に穂先でアタリを取ることはせず、アワせた直後に一瞬乗りを確認するくらいの脇見に留め魚探から目を放さないようにする。
●魚探の反応の出方によってそれが当歳魚なのか、2歳以上のある程度大きいサイズなのかを見分け、前者はリアクション狙いの釣り、後者はスローな誘い方にする。

【Gタナバラケが激しい場合】
目まぐるしくタナが変わる、反応が2層に分かれるなどタナバラケが激しい時は、電動リールの棚停止ボタンはあえて使用しない。底を起点としてオモリが10cm程切る位にラインストッパーにミチ糸をかけてタナを仮固定したら、あとは魚探に映るオモリの軌跡を見てワカサギの反応にダイレクトに合わせていく。また、左右の竿を別々のタナに合わせることは少なく、基本的には同じタナの中で2、3回誘ってアタらなければ10cm位の刻みで細かく調整をしてより食いやすいタナをピンポイントで見つけることを意識している。

視線は常に魚探へ

そして終了30分前、「ちょっと確かめておきたい」と穂先を一番手軟らかいシマノ「レイクマスターエクスペックM01E」にチェンジ。竿の硬さが変わったことでリズムをつかむのに若干戸惑ったが、よりアタリを弾かなくなり時速80~90匹ペースまでアップすることができ、結局454匹まで延ばすことができた。周りの魚探の映りと比較して、群れの濃さや回遊してくる順番など客観的に優位性は低い釣り座だったが、当日ベスト3の釣果となった。

釣行を終え、尾崎氏は「ベタ底のスローな釣りに対応できたのは良かったが、中層の当歳魚にはやや振り回された感があり、もう少し攻略のしようがあったんじゃないかと思う。具体的には、重いオモリの使用を想定していたのでミチ糸を0.3号にしていたが、0.2号を使ってオモリをもう少し軽い号数にしていたらバランス的に良かったかも。まだまだ詰めが甘いですね。でもやっぱり桧原湖はムズ楽しかった!」と感想。手応えを感じながらもまた次回の課題を見つけ向上心を忘れない尾崎氏だった。

取材協力:やまぐっち

当日ベスト3の釣果でフィニッシュ!

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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