岩洞湖NEW「深場スタンダード」

岩手県・岩洞湖/編集部

岩手県・岩洞湖における水深20m前後の深場。以前は上級者の「奥の手的領域」だったが、ここ数年はタックルの進歩や情報の拡散によって初心者でも身構えることなく手軽にエントリーするようになった。深場の魅力は、日中でも比較的安定して釣れることと、サイズが良いこと。しかし、実際やってみるとやはり浅場と比べるとどこか捉えどころがなく、思ったほど釣果が伸びない人も多い。そこで早くから同湖の深場をやり込んでいるバリバスワカサギフィールドスタッフの澤口信氏にその基本やコツを解説して頂いた。

岩洞湖の深場で大事なこと

まずは、深場において何が大事なのか。澤口氏的には、
「1.トラブルをなくす」「2.エサの交換」「3.オモリの重さの見極め」の3つ。勿論、これらは水深に関係ないことだが、深場になるとより大事だという。では、各々解説しよう。

1.トラブルをなくす

トラブルは釣果を下げてしまう原因の一つ。一度トラブルが起こるとリズムを崩し、焦りも加わって負のスパイラルから抜け出せないこともしばしば…。特に深場では浅場よりも必然的に仕掛け投入の回数が少なくなる分その影響は大きい。

まず深場において代表的なトラブルといえば「仕掛けのオマツリ」。同じテント内で隣の人と極端に距離が近い場合もそうだが、特に2丁竿でやる場合は手前マツリをしやすい。これは、深さがある分、仕掛けが斜めに落ちていったり、ワカサギに走られたりすると横移動も大きくなるため。全くなくすことはできないが、以下のことでかなり軽減できる。

・釣り穴の間隔を離す
物理的に離して仕掛け絡みを防ぐ方法。ただし、離し過ぎると当然穂先を見るのが大変になるので自分でベストな幅を見つけたい。ただ感覚だけだと忘れがちなので、例えば氷穴アダプタの何個分離すとか目安を決めて覚えておくと良い。

穴の間隔は中心幅50cm程度にしている

・オモリの形と投入方法
棒型のオモリは横にスライドしやすいので注意が必要だが、四面オモリのように形状が下膨れのタイプであれば直進性が高い。だからといって仕掛け投入を雑に行うと斜めに落ちる可能性がある。オモリを水中に入れたら仕掛けを落ち着かせる間としてワンテンポ待ってからクラッチを切ると良い。

・下針のパイプ
オモリ下の下針には絡み防止のパイプを付けているが、これが船でいうところの舵的な働きをする。これが曲がっていると当然オモリは真っすぐ落ちていかない。曲がっている場合は手で調整するがあまりに曲がりクセが付いている場合は一旦お湯などに入れて真っすぐにする。澤口氏は真っすぐなヘラ釣り用のパイプを使っている。

・巻き上げスピード
巻き上げスピードを速くすれば横移動の幅も狭まる。しかし、それによってバラシが増える可能性もあるので、あくまで可能な範囲で行い、優先度は低い。

2.エサの交換

水深に限らずまめなエサ交換は釣果に直結する重要事項だが、深場の場合は水深が深い分、仕掛けの上げ下げの距離が長く、また水圧もあってエサの内容物が出やすい。アピール度と食いが落ちないようこまめなエサ交換が必要となる。

深場ほどエサ交換はまめに!

オモリの重さの見極め

深場ということでオモリを重くしたくなるところだが、状況によっては重いオモリの大きいシルエットにワカサギが警戒したり、重さと穂先のバランスによる仕掛け、エサの動き(誘った後の落ち着き感、バウンド)をワカサギが嫌ったりする可能性がある。かといって軽過ぎても深場ゆえにタイムロスになるので、食いを優先しながらもできるだけ重いオモリを見極める。ちなみに、シルエットを嫌っているような時はタングステンのバリバス「TGスリムシンカークイックチェンジャー」などがお勧め。また穂先の角度(可変)とオモリのバランスによっては穂先が暴れてリールの糸がバックラッシュする可能性もあるので、可変の角度にも注意したい。

バリバス「TGスリムシンカークイックチェンジャー」を下針仕様に改良したものを使用。パイプも真っ直ぐ!

深場の釣りをさらに繊細に!

令和5年3月上旬のこと。岩洞湖の通称ワラビ平周辺の水深19mにて澤口氏が仲間と釣行した際、深場の面白さ、難しさ、コツなどがよく現れたので紹介したい。

当日は他の釣り人がとっくに釣りを開始しているであろう午前6時過ぎからポイント決めを開始。澤口氏も以前は漁協が定めた開始時間の午前5時と同時に氷上に降りていたが、暗い時間に反応が良いポイントは日中に抜けてしまうことが多々あった。ここ数年は陽が昇ってからのほうが日中に安定して釣れるポイントを見つけやすく、また体力的にも安全面にもメリットが多いと感じている。

タックルは、穂先がアタリが取りやすいバリバス「桧原MAX319燻紫銀SFX」。仕掛けは右が同「基本7本鈎」狐1.5号、左が同「白(極細二段誘い7本鈎)」狐1.5号。ハリスの長さが2~3.5cmでどちらかというとアタリの出方優先。チモトの玉はミルキーピンク玉仕様と留めなしタイプで反応を見る。針はキープ力の高い袖で、号数はワカサギのサイズが7~10cmの良型中心ということでやや大きめの1.5号とした。オモリは同「四面オモリ」7g。エサは、食いを調べるため右に白サシ、左にベニサシを付け、半分にカットした。

魚探を見るとワカサギの反応はほぼベタ底に映るため、まずはオモリを着底させ、5cm程度底を切ったタナに設定。前情報も含めて、多点掛けは殆どなく1匹1匹確実に釣っていくような展開が予想された。

日中でも底ダナなど魚影が抜けにくいのが深場の魅力


使用したタックル

【穂先】
バリバス「レーシングマックス321WRX」/先端には超超ショート化した非常に軟らかい新マイクロフィルム、バット部には硬調な46Tハイカーボンと、0.8:9.2という極端な超先調子モデル。中層で連掛けする状況よりも、今回のような深場で単発居食いするような渋い状況に対し、素早くアタリを察知し、最短距離でアワセを効かせ、1匹1匹確実に掛けていく掛けていく釣りに向いている。「深場ではワカサギが寄ってきた前アタリが分かって心構えができるし、アタリに対してしっかりと掛けられバラシも少ない。軽い穂先なので誘いながら手感でアタリを取れるのも強み。ロングハリスの鈍さも補える」と澤口氏。穂先とリールの間にはバリバス「エアロMAXブーストスペーサー(プロト)」と「エアロMAX可変ソケットFull-tune」をサンド。どちらも超軽量の50Tカーボンを採用し、肉抜きもされている。手感がかなり良くなり、アワせた後に魚が逃げようと尾びれを振る振動まで手に感じられるという。

【仕掛け】
深場でもとりあえず迷ったら「基本」だが、今回のように深場ではロングハリスや赤金玉が効く状況も多いので「釣頃」も欠かせない。


澤口氏得意の左右交互に1.5~2秒1回のリズム、上げ幅10cm程で誘うが、思ったほどペースが上がらない。ここで普通ならもっとベタ底を意識したくなるところだが、「ベタ底で食わない時は逆に上げると食いやすい」と逆に底から15cm程オモリの位置を上げたところペースアップに成功。それでも平均3分に1匹のペースでもう少し速くアタリを出したいところ。そんな中、澤口氏より倍のペースで好調なのが隣でアカムシをエサに釣りをしていた伊藤麻里子さん。「なんだかサシ系のエサと相性悪くて今シーズンはアカムシで通したら釣果が安定しました。ただ、もうすぐシーズン終わりで売ってないので半分ダメになったようなやつをなんとかかき集めましたw」とのこと。このあたりもワカサギ釣りの面白いところで、ワカサギの好み関係なく、その人の誘い方のクセなどによってそういう相性が出ることがある。

アワセも兼ねたリズミカルな誘いで反応がない時は時折2m程巻き上げ、ワカサギの目先を変える

「レーシングマックス321WRX」先端のフィルム、めちゃくちゃ短い!

良い感じで食い出した!

と、ここで澤口氏が着目したのは伊藤さんのアカムシそのものではなくまずオモリの重さ。伊藤さんが5gを使用しているのを聞き「釣れている人の真似をして、自分も反応が変わるかを試すのも大事」と早速真似してみる。また、アカムシの赤色を参考に左の仕掛けを紅金玉仕様でロングハリス系のバリバス「釣頃7本鈎」狐1.5号に交換。さらには、穂先をバリバス「レーシングマックス321WRX」にチェンジした。結果的にこれが大正解でアタリが出るスピードが倍以上となり、200匹を超える釣果を伸ばした。「やっぱり仕掛けによってワカサギの反応は変わる。また仕掛けが合っていたとしても穂先とオモリの重さによってエサの動きの質がマイナスに働くこともあるが今回は上手くいった」と澤口氏。納得の釣果で2023年の氷上シーズンを締めくくることができた。

岩洞湖の深場で200匹釣ったら大満足! 釣り応えありあり!!

WRITER

釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

株式会社 釣り東北社
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