以前、仙台湾にてタチウオジギングを経験しているシマノインストラクターの山本啓人氏。「仙台湾のタチウオは水深が浅くて、めっちゃ引くので今回も楽しみ」と語り、9月中旬、約5年ぶりに実釣。前回はスロージギングのみで実釣したが、今回は仙台湾では主流となっているスーパーライトジギング(以下、SLJ)も織り交ぜ、双方の強みを活かしながら状況に合わせ使い分け、タチウオ攻略を試みた。
水深20mのシャロ―でドラゴン級を狙え!
実釣当日、午前5時、塩釜越の浦「SAZAE DO」に乗り出船すると、間もなく水深20m、底が岩礁帯の浅場ポイントに到着。今回お世話になった磯野船長によると、周辺には小さいカタクチイワシのベイトフィッシュが入っており、タチウオもこれを狙って回遊しているとのこと。これを受けて、山本氏は「ベイトが小さい時はSLJが有利」と、まずはSLJからスタートすることとなった。
タックルは、ロッドがシマノ「オシアジガー SLJ B63-0」、リールがシマノ「オシアコンクエスト 300CT PG」の組み合わせ。PGをセレクトした理由は、水深が浅いポイントに対し、巻き取り量を抑えて細かくタナを探る狙い。ジグは、タングステンジグのシマノ「タングマン」60gをセレクトした。
前釣行のイメージを持ちながらも、まずは底から表層まで1ピッチジャークを基点に、テンポ良くタナを広く探ってみる。ここで注意すべきはジグのシルエットが小さい分、タチウオにのまれたり、ラインアタックが増えたりでラインブレイクする可能性は高くなること。追わせて食わせるようなアクションの組み立てや、シャクった後のラインテンションをかけるロッドの戻し方や、「オシアコンクエスト 300CT PG」のフォールレバーを若干入れるなど、ラインスラックをなるべく抑えたフォールを心掛けるなどの工夫が必要となる。
しかし、何も反応は得られず。「浅場がダメな時は深場に移動します」と磯野船長。早々に浅場を見切り、金華山の南側まで大きく移動した。
スロージギングの特徴と効率的な使い方
水深68mの深場ポイントに到着すると、今度はスロージギングをセレクト。「ベイトが大きい時、水深が深くなり集魚効果を高めたい時など、アピール力が必要な状況ではジグの大きさを活かせるスロージギングが効く」という。また、SLJの小さいジグと比べれば圧倒的にジグへのアタックが多くなり、ラインブレイクもしづらい利点もある。
使用したロッドはシマノ「オシアジガー フルベンド B60-0」。その名の通りロッド全体が大きく曲がるのが特徴で、ヒット直後のタチウオの強烈な突っ込みと、かつスレ掛かりなどでのバレやすさを全体で受け止めるのが狙い。リールは、シマノ「オシアコンクエスト 300CT MG」。デジタルカウンター機能は、タチウオのタナが目まぐるしく変わることもあり、いま自分がどのタナを攻めているのか分かりやすい。また、これと連動した巻き上げ距離アラーム機能により、カウンターを見なくても例えば底から5m、10mなど、クラッチを戻した位置からの巻き上げ距離をアラームで把握できる。例えば、タチウオのタナが底から20~30mと広いなら、10mおき、タナがベタ底なら5mおきにアラームが鳴るように設定する。
深場の活性をリサーチするため、フォールの動きが大きくアピール強めで比較的活性の高い個体に効果的な「スティンガーバタフライ サーディンウェーバー」130gからスタート。浅場と同様にまずは1ピッチジャークで底から20m程度までタナを探ってみたが反応はなく、すぐに底中心の釣りに切り替える。
ピッチを1/8〜1/4にし、底からあまり浮かさずゆっくりとしたフォールやリフト&フォールの動きで低活性なタチウオのバイトを誘う。この日は数日前のシケによるウネリもあり、このような丁寧なジギングが必要な状況にはつらいところではあったが、船の上下(=ラインテンション)に合わせてその都度ピッチを調整していく。
すると、シャクリ後のフォールのタイミングでコツという小さいバイトがあり、これに反応してフッキング! 鋭い突っ込みの後、テンションが一気に抜けるような緩急激しい引きは本命、タチウオ濃厚。これは、船下に突っ込まれて惜しくもフックアウトしてしまったが、「分かった! 見つけた!」と、タナとジグの動かし方について指標となる1つのパターンを見出した。
しかし、どうも食いが渋いことからジグを「スティンガーバタフライ センターサーディン」110g、前釣行でヒットカラーとなったパープルZGにチェンジすると、これが正解で良型を連続でキャッチ。このままスロージギングで押し切っても良さそうだったが、アタリが止まったタイミングで実験的に再度SLJを試してみた。しかし、タチウオのバイトはあったもののヒットには至らず、バイト数も増えなかった。スロージギング以上のメリットを感じなかったため、再びスロージギングのカテゴリーで釣り方をアジャストしていくことに。
ジグをセンターサーディンよりも大人しい、「オシア スティンガーバタフライ ペブルスティック サクラスペシャル」100gにチェンジ。これが功を奏して再び連発! この日は「スティンガーバタフライ センターサーディン」と「オシア スティンガーバタフライ ペブルスティック サクラスペシャル」をヒットの度合いを見ながら使い分けるのがベストと確信できた。
山本氏は「また仙台湾のタチウオの魅力を体感でき、何よりタチウオ以外の魚影も豊富で毎投のように何かしらバイトがあって楽しかった」と満足した様子だった。
仙台湾でのジギングにおいて、スーパーライトジギングとスロージギングの使い分けは、釣果を左右する重要な要素。浅場でベイトフィッシュが小さい状況ではスーパーライト、深場や大きなベイトにはスロージギングを駆使することで、効率的に魚を狙うことができる。各ジギングスタイルに適したタックルやジグの選び方を理解し、状況に応じた釣り方を実践することで、さらなる釣果が期待できるだろう。