東北でもここ数年で爆発的に釣果が伸び人気を集めている船タチウオ釣り。これまで狙って釣ることが難しかったターゲットだけに、個体数の増加で一気にアングラーも増えました。本稿では船タチウオ釣りのジギング、テンヤ釣法の概要を紹介します。
追波湾がアツい!
今でこそ太平洋側の青森八戸沖や岩手三陸沖でも安定して狙えるようになってきましたが、宮城県では2018年頃から右肩上がりでタチウオの漁獲高が増え、それに付随してタチウオを専門に狙った遊漁も成立するようになってきた経緯があります。
中でも好フィールドとして知られる追波湾は、指6本以上のドラゴン級のタチウオも釣れるなど、数形共に良いのが特徴。それも北上川(追波川)から流れてくるプランクトンが豊富でベイトも多く居るからだと思われます。またタチウオが好む環境として、ウロコがないタチウオは岩礁帯でキズ付くのを嫌い砂泥底を好むとされ、これも追波湾で多くの釣果が上がる理由でもあることでしょう。
ちなみに通常、魚のサイズを計測するとすれば、長さや重さが一般的ですが、タチウオの場合、体高に指を当てた時の本数で計測されることが多いです。
船でタチウオを狙う方法として、主に「ジギング」と「テンヤ(エサ)」の2通りです。日によってどちらかの釣り方に釣果やサイズが偏ることもあるので、できれば2通りの狙い方を用意して釣るのがベストです。
ジグで狙うタチウオ
タチウオジギングで使用するジグは
オーソドックスな
センターバランスタイプが相性が良い
始めにタチウオジギングのタックルから紹介します。イメージとしては、食い込みを阻害しない柔軟なティップセクションと、ジグの操作性を上げる張りのあるバッドを有したスローテーパーのジギングロッドです。長さは6~7ftクラスが扱いやすいでしょう。専用モデルも数多く出ています。
リールはバーチカルで探るためベイトが扱いやすく、PE1号前後が200m程入るキャパシティーのものが望ましく、タイラバ用などもマッチします。
ラインはPE0.8~1.2号でショックリーダーにフロロカーボン5号前後を1ヒロ(約1.5m)結束。ジグロストが多い場合はその先に50Lbクラスのリーダーや専用ワイヤーを先糸として使用する場合もあります。
ジグはタチウオ専用モデルとして多く出ています。ジグ選びに悩んだらオーソドックスなセンターバランスタイプが万能なアクションでオススメです。ウエイトは100~180gが目安。フックは専用のバーブレスフックを前後にセッティングします。
釣り方の基本は1ピッチまたは1/2ピッチのスロージャークで指示ダナ近辺を探っていきます。アワセ・フッキングに関しては、ジグの場合、ジャークをした時の反動でややオートマチック的にフッキングします。タチウオ用のフックは刺さりが良く細軸なタイプが多いので、過度なアワセを入れるとフックが伸されたり折損したりするケースもあるので、ほどほどがベスト。
テンヤで狙うタチウオ
タチウオ用テンヤ。
太軸フックにエサのイワシなどを巻いて使用する
テンヤ釣法はエサを使うものの、ルアーフィッシングのような攻撃的な釣りです。専用のテンヤ仕掛けにイワシなどの魚をエサとしてセットします。40~60号のウエイトを揃えておくと良いです。
釣り方の基本は、指示ダナ近辺をショートジャークで数m巻き上げてからのポーズ・ステイ。ここで食うケースが多いですが、反応がなければ繰り返して誘います。他には指示ダナの範囲内のその場でコヅキのような小刻みなシェイク・バイブレーションからのポーズも非常に有効。このようなアクションを多様することから、テンヤ竿は先調子のものが多いです。
アワセ、フッキングは、テンヤの場合は太軸で大きなフックを備えているため、アタリがあればこちらからバシッと掛けなければフッキングしにくいので、積極的に掛けていきましょう。
ファイトのキモ
定番ターゲットに定着した宮城のタチウオ。
写真はトップレンジ代表・丹野氏)
タチウオはフッキングが決まった直後の最初の突っ込みが激しく強烈な引きを見せます。そのためドラグはやや強めに設定しておき、なんとか1stランをしのぎたい。ここでドラグが弱くテンションが抜けると、バーブレスフック使用のためバラすことも多々あるので注意が必要だ。
なんとか走りを耐えて頭をこっちに向かせることができれば、タチウオは細長い魚なので楽に上がってきます。後はテンションが抜けないように慎重に巻き上げてこよう。
タチウオの歯を見てもらえれば分かるように、それに触れたらひとたまりもありません。フックを外す時は、滑りにくくしっかり握れるフィッシュグリップで首の部分を掴み、プライヤーでフックを外します。素手はケガの原因になるので止めておこう。