最新版・東北釣り物ガイド シロギス 投げ釣り&チョイ投げ編

その奇麗な魚体から「サーフの女王」と呼ばれるシロギス。見た目からは想像もできない大きなアタリがクセになる!

風光明媚なポイントで静寂に包まれながらのキス釣りは、日常を忘れて心を癒してくれる!

投げ釣りを代表するターゲットと言えばシロギス。陽射しに輝く奇麗な魚体、繊細かつ強烈なアタリに魅了されている人も多いことでしょう。そして初心者からエキスパートまで、誰もが楽しめるのがキス釣り最大の魅力。本格的な投げ釣りからチョイ投げでも釣果に期待が持てるキス釣りは、釣りの登竜門でもありその奥深さは計り知れません。

シロギスの釣期

東北エリアにおけるシロギス釣りは、主に日本海側のサーフがメインとなります。適水温は13度以上で、ゴールデンウィーク頃から初モノの情報が飛び交い、6月に入ると本格的に釣れ始めます。暑さが厳しくなる夏場は小型が中心となりますが、涼しくなると15~20cm程度の中型キスの数釣りを楽しむことができます。

10月中旬に入るとキスは越冬の準備に入るため、積極的にエサを荒食いする、いわゆる「落ちギス」モードに入ります。この頃はエサが溜まりやすい場所にキスが群れを作って捕食することが多いため、釣れる場所と釣れない場所の違いが明確に出ます。従って「キスは足で釣れ」の格言のように、細かく移動を繰り返して群れが居るポイントを探し当てる釣り方がキモになります。

カケ上がりが1級ポイント

シロギス釣りの盛期は、産卵のために浅場に寄ってくる6~7月で、良型の抱卵したメスが近距離で掛かって、まさに激震を楽しませてくれます。大型のキスを釣るコツは、波打ち際~100m以内の距離にあるカケ上がりを、じっくりと丁寧に探ることです。カケ上がりの前後は砂が掘れて深くなっていることが多く、キスの群れが身を寄せやすい1級ポイントになっています。

カケ上がりを探す要領は、まずフルキャストしてオモリの重量と海底の抵抗を感じながら仕掛けを引いてきます。途中で抵抗が大きくなって重いと感じる箇所があれば、そこがカケ上がりで上り坂のような形状になっています。また目で探す場合は、少し立ち位置が高い場所から海面を見ると海底が浅く茶色っぽく見えて、常に波が立っている場所が目印になります。

上手くポイントに仕掛けを届けられたら、
1投で何匹も釣れるのがキス釣りの醍醐味

カケ下がりも有力

反対に、急に抵抗が軽くなってスゥ~っと滑るような感覚が伝わる場所は、カケ下がりと呼ばれ下り坂のような形状になっています。ここは波が崩れて海底の砂を叩いて少し掘れており、キスのエサが溜まりやすいポイントとなります。ここで狙う場合は、オモリが滑り落ちた位置で仕掛けを止めて、ミチ糸のテンションを保ちながらキスからのシグナルを待ちます。

《投げ釣りタックル》

シロギス釣りの醍醐味は、フルキャスト時の爽快感であると言う人も多いです。遠投するためには重いオモリを使用する必要があり、それに耐えられるポテンシャルとパワーを備えたタックルが必要になります。同時に100m以上の遠方から送られるキスの繊細なアタリもキャッチできる、天ビン、ミチ糸、タックルなども求められ、総合的なバランスが重要になってきます。

《チョイ投げタックル》

盛期のシロギス釣りは、波打ち際から数m先の至近距離でもゾロゾロと釣り上げることができるようになり、お子様連れやキャンプなどのアウトドア気分でも、キスのアタリを存分に楽しむことができます。使用するタックルは、オモリの重さと竿の負荷のバランスだけを注意すればOKで、ルアーロッドなどであればアタリの強さも増幅し、病み付きになる人も多くなっています。

遠投も視野に入れた本格的な投げタックル(左)
手持ちのロッドで手軽に釣行できる
チョイ投げタックル(右)

釣り座の選択

サーフで波打ち際から近い距離を狙う場合、重要になるのはポイント選びです。海岸線を見ると一直線になっていることは珍しく、凸凹などの変化があることに気付きます。そこで釣り座を構えるのは、周囲よりも掘れている凹の場所で、その海中の延長線上は深くなっており、キスが釣れやすいポイントになっています。

仕掛けはゆっくり動かす

仕掛けは投げっ放しで動かさないでいると、天敵のフグにハリスを切られてしまいます。そのため「アリが歩く速度」と例えられるように、超デッドスローなスピードでリールを巻くか、竿先だけを陸側に少しずつ動かす操作が必要になります。仕掛けを動かすことでキスにエサの存在を知らせることにもなります。

防波堤や岸壁でも砂地ならキスの好ポイント。
ファミリーでも楽しめて気分は最高!

追い食いを狙う

キス釣りでは複数針の仕掛けを使用します。群れで泳いでいることから、エキスパートになると10本以上の針数でゾロゾロと何匹も連掛けするなど、効率の良い釣りをしています。連掛けのコツは最初にアタリがあったら仕掛けを止めて掛かったキスを暴れさせ、周囲に居るキスの捕食スイッチを入れて追い食いさせることです。

活性が高い時に追い食いを待ち過ぎると
「バナナ状態」になって仕掛けがグシャグシャに…

同じ距離を再現する

東北エリアでは取り扱っている釣具店も多いジャリメがオススメ。細身で小針に付けやすくてキスの食いが良いだけでなく、飛行中の空気抵抗も少ないことから仕掛け絡みのトラブルも発生しにくいメリットがあります。ポピュラーなアオイソメでも十分に釣れますが、前述の原因によるトラブルのリスクが多く、ジャリメの予備エサとして持参しておくと良いでしょう。

ムシエサが苦手な人にはこちら!

ヌルヌルしたムシエサが苦手で触れない人も多いことでしょう。そんな人向けに各メーカーからフレーバー付きの人口エサが販売されています。形状や色合いもジャリメ、アオイソメなどに酷似していて、決して侮れない存在でもあります。また、活きエサに滑り止めの粉をまぶすとシッカリと掴めてエサ付けもスムーズ。どちらもオススメの逸品です。

マルキユー「パワーイソメ」は活きエサは、
魚が好むエキス配合で実績も高い

遠投力は強い武器

キス釣りでは広いエリアを探ることで釣果に結び付く可能性が高まります。そのため、本格的な投げ釣りを志す場合、遠投力は避けて通れない要素になります。また、針数を増やすと空気抵抗も増えて飛距離がダウンすることから、遠投ができればより多くのキスと出逢えるチャンスが広がります。

クーラーは必需品

サーフは直射日光を遮る物がなく、晴天の夏場は早朝から灼熱地獄…。せっかく釣ったキスを美味しく食すためには、付着した砂を払ったらすぐに氷でキンキンに冷やしたクーラーに投入しましょう。また自分の水分補給を忘れないためにも、しっかりとした保冷力のあるクーラーは欠かせません。

砂に直置きはNG

あらゆる釣りで使用されているリールは精密機器で、粗末な使い方をすると故障する場合があります。サーフは細かい砂が足下にあり、直接リールを置くことは絶対に止めましょう。各メーカーから販売されている竿立てを活用すればエサ付け時の仕掛け絡み防止にもなり、一石二鳥の働きをしてくれます。

針やゴミの放置は御法度

キス釣りのメインフィールドはサーフで、海水浴や水遊びに興ずる子供達と共有することになります。裸足で砂浜を走り回る子供も多く、そんな場所に仕掛けや針が落ちていたら大変な事態になることも安易に予測できます。ゴミを入れる容器などを必ず準備し、決して他人に迷惑を掛けないように注意しよう。

多彩な料理で!

白身でクセのないシロギスは、様々な料理で美味しく食すことができます。釣りたての新鮮なキスは淡白な味わいの刺身、良型は塩焼きやフライ。小型は素揚げしてからの南蛮漬けがオススメで、忘れてならないのは定番の天ぷら。また、背骨を2度揚げした骨せんべいの食感も良く、シロギスはどんな料理にしても飽きのこない優秀な食材。こんなに手軽で楽しい釣りは止められません!

WRITER

釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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