
海水温が近年世界で最も上昇している宮城県、岩手県界隈。その影響で狙える魚種も大きく変わってきている中、アジングと共にライトゲームで人気なのが冬から春にベストシーズンを迎えるメバリング。今回、Seaguar ZERO ONE PROJECTメンバーである宮城県在住の小田島海斗さんが、同メンバーで千葉県在住の川越すずさんをガイドし、今宮城県で一番熱いフィールドの女川町・出島でアタックした。
釣り人に開かれた島、女川町・出島
出島は、女川町の北東部に位置する有人の離島で、釣り人の間では昔からロックフィッシュの楽園的存在。以前は定期船で渡る必要があったが、2024年12月から出島大橋が開通し、気軽にアクセスできるようになった。女川町では釣り人も重要な観光客として見ているが、釣り人が増えることによって起こりやすいゴミ問題や漁業者とのトラブルを防ぐために、釣り人向けのパンフレットの配布や漁港入口などへの注意看板を設置している。行政がこうして釣り人を前向きに理解してくれることは珍しく、良好な関係を継続するために我々釣り人もマナー、モラルを守る意識をより高めたいものだ。
釣り場のポテンシャル
外洋に面した島というだけあって、全周で潮流が通りやすく、魚影が濃い。東面は険しい磯エリアが広がるが、所々エントリーできる場所があり、ロックフィッシュゲームができる。西側は本島との間で水道を形成し、北に出島港、南に寺間港があり、ライトゲームが成立するフィールドとなっている。狙える魚種はメバル、アジの他、アイナメ、ソイなどのロックフィッシュ、ケンサキイカ、アオリイカのイカ類も有望。
メバルのシーズン
基本的には冷水を好む魚なので、冬~春の比較的水温が低い時期が狙い目となる。サイズは10~18cmクラスの比較的小~中型中心ではあるが、20cmオーバーの良型も釣れる。




タックルコンセプト
まずは実績ポイントの出島港南側にある防波堤周りから釣ることに。「ボートでプラグを使用したメバルゲームの経験はありますが、オカッパリで軽量なジグヘッド単体を使用したライトゲームは初めてなので、今回小田島さんに教えてもらいます」と語ったのはすずさん。
小田島さんのタックル
ロッド/ノリーズ「エコギアスペック KATSU-AJI 67」
リール/ダイワ「ルビアスLT2000S-P」
ライン/シーガー「PEX4ルアーエディション」0.2号
リーダー/「グランドマックスFXショックリーダー」1号




すずさんのタックル
ロッド/バス用ウルトラライトクラス
リール/小型スピニング
ライン/シーガー「PEX4ルアーエディション」0.3号
リーダー/シーガー「グランドマックスFXショックリーダー」1号




グランドマックスFXショックリーダー誕生!


軽量なリグを扱い、根ズレのリスクもある中でタックルバランスは重要。特にラインは太過ぎれば軽量なリグを飛ばしにくく、風や潮流の抵抗によってレンジキープなども困難になる。メバリング、アジングのメインラインではエステル系、フロロカーボン、ナイロンなども視野に入るが、小田島さんは感度、強度、細さ、扱いやすさの面で総合力が高いPEをセレクトし、ストラクチャーや魚に擦れやすい先端部分はリーダーを結束し根ズレ強度を高めている。今回リーダーに使用したシーガー「グランドマックスFXショックリーダー」は4月発売予定の新製品。グランドマックスFX自体はエサ釣りのハリスとしてお馴染みで、フロロカーボンならではの根ズレ強度と結節強度が高い。加えて適度なしなやかさ、軟らかさを持つことで、仕掛けが自然に馴染み、食い込みも促す。この特徴を知り、ライトゲームなどのショックリーダーに使用するルアーマンもいたが、今回よりそのニーズに合う仕様として携帯性に優れた30m巻きのコンパクトなショックリーダーサイズがリリースされた。号数のラインアップも幅広く、エギング、シーバスなど様々なルアーゲームに活躍するが、小田島さんはこのメバリングにおいて0.6~1.2号の範囲でシチュエーションによって使い分けている。メバルは目が良く、警戒心も強い魚だ。フロロカーボンならではの水に近い屈折率でその警戒心を解くと共に、「グランドマックスFXショックリーダー」の自然な漂い、食い込みの良さで食い渋りにも貢献する。
リーダーの結束方法は、小田島さん的にはメインとなる極細のPE0.2号、リーダー1号の組み合わせにおいて、必要な強度を安定して出せ、かつPEラインの高切れもしにくい電車結びを採用している。

リグは「ジグ単」
小田島さんはシンプルにジグ単、ジグヘッドリグのみでメバリングを楽しんでいる。ジグヘッドの重さは1~3g、ワームは1.5~2inのシャッド系、ピンテール系を使用。前述した通りメバルは目が良い魚で、ワームカラーも釣果にかなり影響する。基本的に明るい時間はクリア系をベースにしながら、光量が落ちていくほどソリッド系カラーに近づけていくが、あまり条件にこだわらずアタリがなければ積極的にカラーを替える。

シンプルに楽しめるメバリング

釣りを開始した時間は午後3時頃でまだ明るい時間帯。釣果こそ期待できないが、明るいうちにポイントの水深、地形、メバルの着き場がチェックできるので、ナイトゲームに活かすことができる。また、本番のナイトゲームに備えて今のうちにすずさんに釣り方を一通りレクチャーした。
メバリングは釣り方が比較的シンプルでビギナーもエントリーしやすく、引き味も良いのが魅力。基本的に夜行性が強い魚のため、釣り方はデイゲームとナイトゲームで大きく変わる。デイゲームの明るい時間帯はストラクチャーにぴったり着いた個体を狙い、ダート系、速めのフォールでリアクションバイトを意識した釣り方になるが、正直なかなか釣れない。ナイトゲームの暗い時間帯は、メバルはエサを求めて中層~底層を回遊しているので、広範囲をスローなただ巻きでトレースして遭遇率を高め捕食してもらうような釣りで、日中よりも圧倒的に釣れる。


しかし、この日は若潮で潮があまり動かないためか、日没のゴールデンタイムを迎えてもメバルの活性が上がってこない。日中と変わりなくストラクチャーから離れずあまり捕食行動を摂っていないイメージだ。こうなれば、ある程度メバルの着き場を絞り込み、比較的スローな動きでメバルに確実にリグを見せるアプローチを続け、活性が少しでも上がった時に口を使ってもらう展開となる。
最初のポイントではメバルの姿も見えたため、日没後もある程度粘ってみたが、さすがにアタリが遠いため、寺島港へ移動を決断。次なるポイントは防波堤の根本にテトラが入ったポイントで、その沈みテトラの切れ目とカケ上がりが絡んだ所に着くメバルをただ巻きで狙う。すると、小田島さんに2回アタリがあった後、やや深めを狙っていたすずさんに待望の初ヒット! ロッドの曲がりと時折鳴るドラグ音は良型メバルの証。当日の気温は5度以下で、殆ど真冬のような寒さだったが、体高のある20cmクラスのメバルに、「やった~、嬉しい! 足下のテトラの切れ目辺りで底を取り直そうとステイしていたらアタりました」と貴重な1匹に満足そうなすずさんだった。


メバルは群れで行動することが多いため、連続ヒットを期待したが、状況は変わらず。当日の状況からして粘っても厳しいと読み、移動を即決。防波堤の先端で水深15m前後の深場を狙うことにした。それまでは1~2gのジグヘッドをメインにしていたが、さすがにその水深には軽過ぎるので3gにウエイトアップ。居れば一発!かと思ったが、やはり甘くはない。低活性で底べったりの状況を考慮して、何度か根掛かりをするくらいベタ底狙いをするがアタリはない。そこで、ジグヘッドを0.5g軽い2.5g、ワームをシャッド系から微波動でアピール力を押さえたピンテール系にチェンジし、食い込みを重視したセッティングにした。キャストして着底後、チョチョンと軽くトゥイッチしてからカーブフォールのアクションを2回、スローなただ巻き後にステイでカーブフォールさせるとコン!と明確なバイトがあり、即フッキングを入れてヒット! 良型メバルを深場からリフトする引き味を存分に楽しみ、抜き上げキャッチした。





このヒットを参考に、すずさんもピンテール系のワームにチェンジしたところすぐに2匹目をキャッチ。「小田島さんの言う通りのアクションでカーブフォール中にモソッとアタりました。1匹目の時も底付近でステイした時だったので、おそらくそれもカーブフォール中に食ってきたと思います」と、当日のパターンが1つ明確となった。
やはり小田島さん曰く今、宮城県で一番熱いフィールドとあって、平日にもかかわらず当日も多くの人がナイトゲームを楽しんでいたが、良型メバルに満足した2人はここでストップフィッシング。「次回はハイシーズンにイージーな入れ食いを体験しましょう!」と再釣行を約束した。

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