ステップアップ!マスジギング「パターン」と「緩急」の意識改革!

青森/川村幸弘

本稿ではサクラマスジギングハイシーズン目前に迫る今、「パターン」と「緩急」の意識改革!をテーマに青森在住のロコアングラーの川村幸弘さんが紹介した本誌記事の再掲になります。是非参考に今シーズンもサクラマスに挑んでみて下さい。

脱初心者のテーマは「パターン」と「緩急」

皆さんはマスジギングを始めてどれくらいだろうか? 近年はインターネットによる情報共有やスローピッチジャークの普及、タックルの進化もあり、開拓期と比較して狙いやすくなったと思う。
言い換えてしまえば、ビギナーでも実績のあるジグをそれなりのタックルで操作すると、活性が高い日は楽に釣れてしまう。

しかし海の状況は千変万化であり、いざ低活性時に直面すると中々攻略の糸口を見つけることができず、いけないと分かりつつも根魚など底物狙いへシフトし、気付けばクーラー内は黒か茶色…。身に覚えのある方は多いのではないだろうか? 今回は、そんな低活性時にマスを1本でも多く掛けるため、私が実践している「パターン」と「緩急」について説明していきたい。

当日のタナとパターンを掴む

私がポイントに到着してまず一番最初に把握したいことは、当日のタナとヒットパターンとなる。マスジギングの基本中の基本であるが、ここでいう「タナ」は、1.マスが回遊しているタナ(船頭の指示ダナ)と、2.ジグにヒットするタナ(ヒットレンジ)の2つを指している。マスは一度興味を持ったモノに対して執着する時があり、1.の指示ダナ間でヒットしたのか、それとも弱ったまたは逃げるベイトを演出したジグを追った後、捕食範囲であるM2のヒットレンジでバイトしたかで話が変わってくるからだ。勿論、当日の海の状況・マスの活性によって、追尾する距離も変動する。

同じように「パターン」については、ジグの「上げ(ジャーク)」または「下げ(フォール)」のどちらの動きに反応が良いかを指している。これはキャッチしたマスの口に、フロント・リアどちらのフックが掛かっているかで傾向を探る。理想的なのは自分で数本キャッチすることだが、同船者がキャッチしたマスを見て、どちらのフックが口に掛かっているか確認するのも一つの手である。

マスがどこにいて、何処まで追ってくるのか?そして最も反応を示すアクションは上・下どちらの動きなのか? まずはこれを探ることから初めてほしい。毎回マスの活性が高ければ良いのだが、一日中コンスタントに釣れ続けるという日は中々ない。基本的には朝一、潮の動き始め、帰航時間が近づき始めた昼前後…あたりがチャンスタイムとなる。

しかし日によってはこのチャンスタイムが長かったり短かったりと、非常に不規則だ。しかし、予め「タナ」と「パターン」をある程度絞ることができれば、ポツリとヒットするような僅かなチャンスをモノにできるだけでなく、高活性時は一流しの間に複数本キャッチする確率も上昇する。指示ダナで漫然とジャークするだけでも、ある程度マスを釣ることは可能だ。しかし当日の有効なパターンを見つけることで、同船者が釣れないような状況でも、本命を捉えるチャンスが増えてくると私は考えている。

タックルの使い分け・ロッドのパワーとアクションの違いについて

皆さんはマスジギングの際、何種類のタックルを持ち込むだろうか? 単に予備タックルとして持ち込む方、タナやジグウエイト毎に使い分けるために、数本用意する方もいるだろう。私は後者で、時期やポイントの状況に合わせて3本程度を選んで持ち込むようにしている。基本は各レンジに対応するため、タナ30m以内、50~60m以内、80~120m向けに、シマノ「ジガーモーティブ(#0~#2+)」を用意するが、状況に応じて同「インフィニティ(#1~#3)」も併用する。

これは同じ番手でもロッドの特性が違うため、同じ操作でジグアクションを変えることが容易になるからだ。前項の「パターン」で「上げと下げ」の話をしたが、ここではタックルを使い分けることで【1】速い上げと、【2】速い下げ、【3】遅い上げと、【4】遅い下げといった4つに分けるイメージだ。例として【1】【4】で誘いたい場合は、張りのあるインフィニティ#3を使い、【3】【4】で誘いたい場合は、アクションがマイルドなモーティブ#2を使用する。ロッドを持ち替えることで、同じジグ・同じロッドワークでも違ったアクションを生み出すというわけだ。

さらに【1】と【4】といった速度の違いを出したい場合は、インフィニティでM1速い上げ→テンションフォールでM4遅い下げ…というようなロッドワークでの調整が必要となる。

筆者の川村さんは、シーズン中に足繁く下北に通う

タックルの使い分け・リールのギヤ比について

ロッドと同じことがリールのギア比にも当てはまってくる。今更説明するまでもないが、ハイギヤ系(HG・XG以下HG)とローギヤ系(以下PG)について語らせて頂きたい。近年メーカーがリリースするリールの多くにHGタイプが用意されており、HGのメリットである巻き取り量や回収の速さが謳われる一方、PGはあまり脚光を浴びないように感じている。PGのメリットについて色々な釣り情報誌やネットを調べると「巻き上げが軽く、トルクがある」とばかり書かれており、HGのメリットと比較するとPGが選ばれないという背景もうかがえる。実際にキャスティングを伴う釣りにはメリットが少ないかもしれない。

しかし、任意のタナを狙うジギングやタイラバに当てはめた場合、魚がアタックするヒットレンジ内を、HGより小刻みに誘うことができるため、これがアドバンテージとなる場合がある。シマノ300番クラスのHGは最大巻上長が約70~80cm前後、PGリールは60cm前後となっている(カタログスペックより)私は300番クラスのPGリールへ、敢えて下巻きをせずにPEライン1.5号を200~300m程巻き込んで使用する。本来1.5号なら最大で400m以上は余裕でストックできるが、あえてスプールをスカスカにしておくことで、最大巻上長を50cm台にまで下げてしまうのだ。速い上げ下げ時はHGを使い、遅い上げ下げ時はPGを使うことで、さらに緩急差のある攻めを展開することが可能になり、ヒットレンジが狭い場合でも刻むようなアプローチができると考えている。

またPGを長年使用してきた感覚的なものだが、ファイト時の魚の暴れ方がHGと比べておとなしいように思える。私は強い力で引っ張れば引っ張るほど、魚は違和感を覚えて暴れると考えている。以前タモ入れを待つ練習として、5Kg前後の青物(イナダ~ワラサ)やヒラメを水面下でなるべく暴れさせずに泳がせるといった遊びをしていたが、ゆっくり円を描くように誘導すると、時折暴れるが意外と静かに泳ぐものだと発見したことがある。

また、陸奥湾でマダイを釣るベテランの方から、「大きいタイはゆっくり巻けば変に暴れない」と教わった。今では必要以上に魚を暴れさせないことが、PG最大のメリットではないかと考えている。勿論、PGはデメリットも理解した上で使用する必要がある。回収の遅さもだが、マスがヒットした後に上方向に向かって泳いだ場合、巻き上げ速度の遅さはHGに軍配が挙がる。ロッドやリールの長所と短所を見極めて、お手持ちのタックルが最大限の性能を発揮できるようなセッティングを見つけるのも釣りの醍醐味だろう。

話が逸れてしまったので本題に戻すが、私は今回紹介した2つを意識し、周囲が沈黙する中で釣果を出したこともある。最初にパターンを把握することの重要性について述べたが、ここまでの流れを一通り試した後、状況に応じたジャーク幅やフォール時間の調整、ジグを変更して最適化を目指していく。

セオリーにとらわれないジグウエイト

「タナ30mで200g使ってるの!?」。昨年よく同船者の方から言われた台詞である。皆さん様々なジグを持ち込むと思うが、このタナのときは○gといった先入観にとらわれていないだろうか?

この例の時も食い渋った時間帯で、同船者の殆どが130~150gのジグを使い、40m前後のタナを探っている時のことである。私が遅い上下の誘いを試し終わった後、速い誘いに切り替えた時、潮の影響で思ったほどフォールが遅かった状況だった。もう少し速くフォールさせることができれば、バイトを引き出せるかもしれない…と思い、あえて150gから200gのジグへ交換したのである。結果は見事マッチし、周囲が苦戦する中の連続ヒットとなった。また過去には60gのジグが水面下10mで猛威を振るった状況も体験している。なお、大幅なジグウエイトの変更は、同船者とのオマツリに十分配慮した上で試して頂きたい。

一つのジグをある程度使いこなしてくると、「この動き(感触)ができていれば釣れる」と、ヒットする時のジグの動きが分かるようになってくる。自分のジグがバイトを引き出すアクションができているかをイメージできるようになると、他のジギングシーンでも役立ってくるだろう。

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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