サクラマスゲームにおけるナイロンラインの利点

サクラマスゲームにおいてナイロンラインは、主にメインラインとPEラインのリーダーに使用される。改めてナイロンの利点について解説したい。

ナイロンタックルの良さは実際使わないと分からない

クッション性によるバラシ減と理想的なフッキング


なんといってもその伸びによって、サクラマスの強烈な引きと目まぐるしいテンション変化、衝撃をクッションのように吸収してくれることだろう。また、その伸びはルアーをくわえた時の違和感を軽減することと、良い意味でPEのような前アタリを取れないことで、結果的にサクラマスが深くバイトし、反転した絶好のタイミングで釣り人側がアタリを察知し、フッキングを決めることができる。
反面、その伸びがあるゆえにフッキングの面ではある程度伸びた状態までテンションをかけてから行うよう意識する必要がある。これについてはソウルズ代表の佐藤偉知郎氏いわく「距離関係なく、ルアーアクションのブルブルという振動をしっかりロッドティップで感じられるところまで常にラインにテンションをかけてフッキングに備えることが大事」とのこと。

ナイロンならではの安心感

ゴム的効果が太さのデメリットをカバーする

これは伸びるナイロンがゴムと同じように収縮の力がルアーの放出力に変換されることにより、少ない力で効率的に飛距離を伸ばすことができる。確かに細いPEのほうがガイドとスプールエッジへの干渉、空気抵抗の面でトータル的に飛距離はナイロンより勝るが、伸びの少ないPEでは殆ど得られない効果によって思っているほど大きな差が出るわけではない。これらは偉知郎氏が語る「キャストフィーリングの良さ」につながる。

少ない力で安定した飛距離が出せる

強度耐久の安定性

サクラマスではポイントに入る際、藪漕ぎすることが多い。細号で、かつ編み糸のPEラインは知らずのうちに木の枝、笹、葦などの隙間に入り込み、ラインが毛羽立ちや解けるなどのダメージを受け、最悪ファイト中に思わぬブレイクを引き起こすこともある。また、ウエアのベルクロ・マジックテープやファスナーなどへの接触によって自爆的にダメージを負っていることもある。ナイロンも同じ環境にあるが、その太さとモノフィラメントの構造によりPEほど致命的なダメージは受けにくい。ただし、過信は禁物で、まめなチェックは必要。

こんな藪からの釣りを余儀なくされることも多々ある

固定重心ミノーとの相性

意外に知られていないのが、固定重心ミノーとナイロンの相性の良さである。元々固定重心ミノーはレスポンス重視のためセンターやフロント寄りの重心になっていることから、どうしてもキャスト時に姿勢がフラついたり、回ったりなどバランスを崩しやすい(重心移動タイプは後部重心で飛行姿勢が安定しやすい)。これにより飛距離が落ちるのは勿論、フロントフックがラインを拾う、いわゆるエビになってしまう頻度が高い。

PEタックルとナイロンタックルを使い分けてみると強く実感するのだが、実はPEタックルよりナイロンタックルのほうがルアー姿勢は安定し、このようなエビも圧倒的に減らすことができる。おそらく伸びが大きいナイロンはロッドの復元力とラインの放出スピードをオートマチックに調整し、ルアー放出をスムーズに加速させるからだろう。

固定重心ミノーのソウルズ「ナムサン11,17」とナイロンタックルの相性は間違いない。偉知郎氏が使用するメインラインはバリバス「スーパートラウトアドバンスビッグトラウト」12Lb

リーダーは長いほうがガイド抜けも良い!?

それでもPEのほうに魅力を感じている人も多いだろう。であればナイロンリーダーを試してみるのも良い。当然長ければ長いほど伸びは大きくなり、ナイロンのメリットが強調される。この長さの設定は奥深いものがあり、ロッドの調子、キャストの仕方によって理想の長さは異なる。だた1つ誤解されがちなのが「リーダーは長いとガイド干渉が大きい」だ。

勿論、リーダーを短めにしタラシを長くして結び目を完全にガイドの外に出せばガイド干渉は殆どなくなるが、例えばリーダーの長さを魚の大きさに合わせた60~70cm位にした場合、タラシを20~30cm程度にするとトップから3番目のガイドあたりに結び目がくると思うが、ロッドティップにラインが巻き込む、あるいはルアーがエビってしまうトラブルが思いのほか多くないだろうか?

これはトップガイド寄りのガイドに結び目が当たりスプールから放出される多くのラインが渋滞することで起こるのだが、逆に1.5~2ヒロのロングリーダーにし、1番ガイドとリールスプールの間、もしくはリールスプールに巻き込んだ状態でキャストすると意外にもガイド抜けがスムーズで、かつナイロンタックルと同じようなルアー姿勢の向上にもつながる。勿論、副産物としてクッション性によるバラシの減少も期待できることは言うまでもない。

おそらくはガイド干渉が少なくなるわけではなく、手元の1番ガイドに結び目が当たって効率的にコイル収束することでガイド抜けが良くなることと、1番ガイドに当たることでライン渋滞は発生するものの、スプールと1番ガイドが近くガイド内でのラインの渋滞量も少ないためトラブルが起こりにくいと推測される。

ただし、キャストの度にPEとリーダーのノット部が1番ガイドに強めに当たることから、ノット部への負荷は蓄積しやすいことは否めない。何事もなくても1日に2~3回は組み直すのが無難であり、結束の締め込みが甘いとその衝撃でリーダーが抜けることもある。また、極端なロングリーダーでリールスプールにノットを巻き込んだ場合は、結び目が大きいとスプール放出の段階でノットにライン同士が引っ掛かるトラブルもあるので、いずれにしてもノットは丁寧に仕上げたい。

ナイロンタックル、ナイロンリーダーを使わず嫌いな人も多いと思うが、その特徴、利点を知るために一度使ってから判断してみては?

セカンドバッグ持ち。こんなぶっ太いヤツのキャッチ率は確実に上がる

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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