スルメイカ、ケンサキイカ、ヤリイカといったツツイカ系のイカを船で狙う釣法として人気を集めるイカメタル。メタルスッテ一つにドロッパーを付けたシンプルな仕掛けでゲーム性も高いのが特徴。本稿ではその概要を紹介します。
東北イカメタルシーズン
2023年、ケンサキイカが三陸を賑わせた
東北でイカメタルが盛んに行われているのは主に太平洋側のフィールドです。シーズンは春先の大型ヤリイカに始まり、夏場はスルメイカ、そして晩秋から冬にかけてヤリイカと、1年を通して狙うことができます。中でも2023年夏~秋に釣れたケンサキイカは、今大注目のターゲットです。
この3種のイカは同じツツイカといえど性格がまるっきり違います。スルメが積極的で果敢にアタックしてくるのに対し、ヤリイカは控えめでじっくりと見てから腕を伸ばすタイプ。その中間がケンサキです。これを踏まえアプローチしていきます。
タックルの揃え方
ドロッパーには浮力のある
ウキスッテやエギを使用する
シンカーの役割もあるメタルスッテ
この釣りはメタルスッテ+ドロッパーのシンプルな仕掛けでイカのアタリを取り、釣っていきます。ただ数を釣るだけなら、古くからあるイカサビキ仕掛けに分がありますが、イカメタルは1杯のイカと対峙し繊細なアタリを取って掛ける…ここに面白さが集約されています。
タックルは長さ6ft前後のM(ミディアム)クラスの専用ロッドにカウンター付きベイトリールの組み合わせ。ラインはPE0.6号前後にショックリーダーがフロロカーボンライン3号前後を1ヒロ(約1.5m)が標準的なタックルの目安。地域によってもっと強いタックルが求められるケースもありますが、東北・三陸エリアでは上記のセッティングで問題ないでしょう。
仕掛けはハリス先端にオモリの役目ともなるメタルスッテをセットし、エダスを出してドロッパーとなる浮きスッテやエギをセットします。上級者になれば自作する人も多いですが、始めは市販の仕掛けを使うのが間違いないです。
また、イカメタルの釣り方の一つとして近年人気のオモリグも有効。オモリグとはリーダーにセットしたオモリからロングハリスを出したタイプで、よりスローな誘いができる他、スピニングタックルによるキャスティングで広範囲を狙うこともできます。
釣り方・アクションの基本
三陸エリアでは通年イカメタルを楽しめる。
写真はイカ先生こと富所潤さん
【スルメイカ】
スルメイカ狙いでのアクションは、始めに指示ダナまでスッテを沈め、2~3回、大きくロッドをシャクってステイをさせます。性格的に獰猛なので、シャクリの他、シェイクなど激しめのアクションを好むことが多いです。指示ダナがない場合はボトムまで着底させてから前述のアクションを行いながら徐々にタナを上げていきヒットレンジを探っていきます。タナが上ずっている時は上のレンジから、今度はシャックったらフォールしてステイ…のように誘い下げていくのも効率的です。アタリもしっかりめに出ることが多いので、割と見逃すことは少ないでしょう。
【ケンサキイカ】
ケンサキイカも幅広いレンジに居るため、指示ダナがなければボトムから広範囲を探っていきます。明るい時間帯はボトム中心になります。基本のシャクリからのステイアクションですが、スルメイカよりは控え目なアクションを好む傾向です。ワンピッチジャークで数回誘い上げてしっかりとステイ。このステイ時にアタリが集中します。集魚灯が灯ると徐々にレンジが上がるので、ヒットするレンジを覚えておき、そこを集中的に狙うことで数を伸ばすことができます。
【ヤリイカ】
ヤリイカはスルメやケンサキなどと比べるとタナがハッキリしていて、基本的にはボトム狙いが中心となる。底から3m位までで、上げたとしても5m以内が中心です。仕掛けを下ろしたら必ず底を取り、根掛かり防止のためにも着底したらすぐにリールを巻いて底を切ります(糸ふけを取る)。前述のようにヤリイカはボトム中心のレンジであることから、ワンピッチジャークでシャクリ上げる必要はなく、むしろリールは巻かず同じ位置でのリフト&フォールでも良いしょう。
リフトは大中小の三段階だとしたら中くらいのリフト幅を基本とし、ゆっくりと誘ってピタッと止める。そこからジワーッとテンションフォールさせてステイ。アタリがなければまたリフトアクション…と繰り返していきます。ヤリイカは臆病で控えめなためじっくりとスッテを見ていることが多く、基本はやさしく丁寧な誘いがセオリーです。