秋田県・米代川/編集部
2015年より秋田県ではサクラマスの解禁日が4月1日に変更された。6月解禁時代は高水温、渇水、澄み水が攻略のキーワードだったが、メインシーズンとなった4~5月は雪代による高水と濁り、そして代掻き水の濁りに釣り人は頭を悩ませることになった。
水況を把握し、ポイント、釣り方を
マッチさせてキャッチした1本は格別!
雪代が本格化する目安
山間部の最高気温が12~13度をボーダーラインに雪解けが進み、釣りに支障が出るレベルの雪代が出る。当然、最高気温が高い、時間が長いほど雪代の量は多くなる。
上流域で雪代が出始めるのは、その時の気温にもよるが、おおよそ午後2~3時。そこから気温が十分に下がる午後10時頃まで雪代は継続して出る。たまに気温が20度近くまで上昇することがあるが、早々に昼頃から雪代が出始め、夜間もあまり気温が下がらず雪代がなかなか止まらないと、翌日の下流域は釣りにならないレベルの雪代が流れ込む。
米代川上流域で参考となる水位観測所は鹿角の「花輪」。傾斜(流域)によって雪代の流下スピードは変わるが米代川では時速10km前後が目安となり、下流域までは70~80kmあるので、増水の影響は7~8時間後に出ることになる。
支流からの雪代もあるので、4月の下流域は慢性的に濁っているが、最低気温が2~3度まで下がり、最高気温が10度以下になった日の次の日はかなり濁りは取れ、チャンスとなる。このあたりの回復力の速さは米代川ならではだろう。
年にもよるが、本格的な雪代期は4月20~25日まで続き、代掻き水が出始めるGW後半までが比較的濁りが少なくチャンスになりやすい。
濁りによってサクラマスの警戒心が
薄れるのを利用する手もある
代掻き水のメカニズム
代掻きとは、田起こしが完了した田んぼに水を張って、土をさらに細かく砕き、丁寧に掻き混ぜて、土の表面を平らにする作業のこと。当然水田は極度に濁り、その余分な水を川へ流すため川も著しく濁ると共に、水田で温められているため水温も上昇し、サクラマスの活性を著しく下げてしまう。逆にリバーシーバスやニゴイなどは活性上昇してしまうが…。
代掻き中の水田
5月下旬、代掻き期が終わると、
下流域ではリバーシーバスのヒットが多くなる
また、水田に農薬が使用されている場合は様々な成分も含んでいるため、pH(ペーハー)も変化する。いずれにせよ、サクラマスにとってはかなりの状況変化で、これが落ち着くまでは正直釣れる状況ではなくなる。
水田単体で見れば代掻き水は2日程で抜けるが、当然山間部から平野部まで膨大な数の水田がありそれぞれ時差があること、代掻きから土が落ち着く約1週間後に行う田植えによってまた濁りが出ることなどから、最終処理場的な川はどうしても濁りの期間が長くなる。
河川や流域によって代掻きで濁る期間は多少前後するが、米代川においてはおおよそ5月のゴールデンウィーク後半から5月25日頃まで続く。ただその期間でも広範囲で作業を休むタイミングが重なり、奇跡的に釣りに影響ないくらいまで濁りが取れる時間帯もある。
それ以降は6月解禁時代のように、渇水、高水温、澄み水の悪条件となり、中~上流域、雨後の引き水が攻略のキーワードとなる。
こちらの記事の詳細は別冊釣り東北「サクラマスの神髄」、「トラウトステージvol.15米代鱒」で!