米代サクラマス「ポイント&時合いの絞り込み術」

秋田県・米代川/編集部

「米代川はサクラマスが釣れない場所はない」といっても過言ではないほど、その魚影の濃さと河川環境の良さでどこでも釣れる可能性はある。しかし、より高確率で…となれば話は別。サクラマスの居場所や活性に関係するファクターを考慮しながらポイント、タイミングを絞り込むことが大事である。

適水勢について

適水勢とは、ヤマメ釣りで有名な岩手県の伊藤稔さんが用いた言葉で、魚にとって体力を使わず、かつエラ呼吸をしやすい、最も居心地の良い「特定の流れ」のことを指す。人間でいえば、いつまでも歩いていられるようなスピードのこと。ヤマメと同じ魚とあって、サクラマスもこの流速を好む。どのくらいのスピードなのかは水温にもよるが、およそ秒速40cm前後を指す。ポイント形態でいえば、底の起伏によって水面にヨレや筋が入るような「トロ瀬」がそれにあたる。

勿論、この流速でなくても殆ど流れのないトロ場で休むこともあれば、逆に白泡が立ち波立つ荒瀬に居ることもあるが、この適水勢のトロ瀬に居るサクラマスこそ、活性やアプローチの面で釣り人にとって最も狙いやすいといっても過言ではない。

同県のサクラマス河川の雄物川や子吉川、ひいては全国のサクラマス河川と比べても、米代川のトロ瀬の多さ、長さは圧倒的だ。

いかに「流れ」を読むかが大事

地形パターンも考慮

確かに米代川にはトロ瀬が無数にあり、どのトロ瀬にもサクラマスが居る可能性はあるが、逆にいうとなかなかポイントを絞りきれない。

そんな中でより高確率なトロ瀬を見つけるには、その前後の流れを見るのは勿論、流域全体のパターンも考慮する必要がある。

例えば、二ツ井大橋上流にあるトロ瀬。同所は毎年両岸ともまとまった数が釣れる、超有名ポイントとなっている。同所は、そのトロ瀬の区間の長さと底石の大きさで好条件が揃っているのもあるが、上流の内川合流付近から米白橋までが魚止め的に遡上しにくい流れとなっている。また、下流にも外面下流の大カーブの荒瀬があるため、ここを越えるにはかなり体力を使うため、上流のトロ瀬で確実に休息を取るので、群れが停滞しやい区間となっている。これがもし上流、下流がすんなり遡上できるような地形、流れであればこんなに釣れることはないだろう。

二ツ井大橋上流にあるトロ瀬付近

潮汐による時合い

とはいえ、トロ瀬に居るサクラマス全てが口を使う、ルアーを追うわけではない。そこで口を使うスイッチになるといわれているのが、その定位した場所から動く、遡上するタイミング。じっとその場から動かない時は目の前にルアーを何度も通しても反応しないどころか逃げていくが、なんらかのきっかけで活性が上がり、レンジが浮上ずる、横に泳ぎ出すと途端にルアーにも反応する。

動くきっかけになるのは増水の他には潮汐も関係するといわれている。特に、荷八田~杏林裏といった下流域では潮位変化による水の動きや塩水くさびによってサクラマスの回遊、遡上などが影響される。中流域だと4月のサクラマスは午前8~9時あたりなど水温の上昇するタイミングが時合いになりやすいが、下流域ではこれとは別にド日中に突然バタバタ釣れることもある。これは水温というよりは潮汐絡みの影響であることは間違いないだろう。ゆえに、時合いが終わった後で人がまばらになった後でも潮汐によって再度時合いが来る可能性もあるので、人が多くて思うように入れない時などは頭に入れておくと良い。

こちらの記事の詳細は別冊釣り東北「サクラマスの神髄」、「トラウトステージvol.15米代鱒」で!

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釣り東北WEB編集部

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