【連載】酒魚放浪記WEB 第3回 三陸オカッパリでヤリ・スルメ!

秋田/佐藤 浩

前回の記事はこちら「第2回/ツルツル食感のクロソイ!

わっぱが隊員Tさん「岩手の防波堤でスルメイカ釣れてるようだんす。いがねすか?」
「マジだすが!いぐっすべ!」
このように2つ返事で岩手遠征が決まった。

なんだか岩手県では例年よりひと月ほど早く防波堤のイカ釣りがスタートしたらしい。防波堤からツツイカ系を釣ったことがないので、釣り方が全く分からない私。近年、太平洋岸のイカ釣りにハマっている隊員Tさんのお誘いは、まさに渡りに船ということで、今回はTさんの車で岩手県の防波堤に車を走らせた。Tさんといえば、自称「わっぱが」を名乗っているが、本当は、クロマグロからサクラマス、ブラーでの五目釣りまでこなすエキスパートで、本当は全然わっぱかじゃないアングラーなのだ! 営業妨害だと怒られそうなので、このへんにしておくが(笑)。本当のわっぱが釣り師はこの私で、今回の初めて挑戦のイカ釣りも相当なわっぱがな予感しかないが、なんとかスルメイカ1杯を目標に頑張ってみよう!

まずは現地で酒と釣り具と情報を入手

夕方6時頃に現地到着。まずは呑兵衛な2人が立ち寄ったのは、閉店ぎりぎりの道の駅「釜石仙人峠」。売店で早速地酒を購入(笑)。それから「つり具オヤマ」で、イカの仕掛けと情報収集! 店長は前の晩、仕事終わりから50杯釣ったとのこと(驚)。Tさんはテンション上がるが、私には全く分からない釣りなので釣れる気がしない。そこで店長にお勧めの仕掛け、店オリジナルのフラワーと、当地で人気のマグナムを数個見繕ってもらい、付けたほうが良いと言われたケミホタルと、ウエイトを増したい時のためのガン玉を購入。そして釣り方を教わった。

オリジナルのフラワー仕掛け
当地で人気のマグナム
その他、ケミホタルやガン玉を準備中

詳しいノウハウは「つり具オヤマ」で仕掛けを購入して店長から直接聞いた方が確実なので、ざっくりと。潮の流れに対してダウンクロスにキャスト、任意のレンジまで落としたら1回シャクリを入れて、ラインを張らずスラッグを出したまま、フォールを繰り返し、レンジを変えたり、止めてホバーリングさせたりして誘ってみると良いとのこと。

スラッグをだしたままで、暗い夜にどうやってアタリが分かるのだろうか?とりあえず実釣あるのみ! 防波堤に着いた頃はすっかり日も暮れ、満月が奇麗。この日は大潮だが満月はイカ釣りには良くないという。しかも潮はもうすぐ下げ止まりで、既に釣れる気がしない…が、ここまできたらやってみるしかない。

最初に釣れたイカは◯◯イカ!?

釜石周辺の防波堤にエントリー。夜景が奇麗だ

選んだ仕掛けはマグナム9gのピンク、ショックリーダーの上20cm位の所にケミホタルを装着した。キャストするとマグナムはスリムでバランスが良いので、エギと比べると驚くほど飛距離が出る。店長の話だと遠投で釣れたということなので、とりあえずポイントには届いているはずだ。

シャクってはスラッグを出したフォールを繰り返すが一向にアタリはない。下手だからか?イカがいないのか? Tさんもアタらないようなので、イカがまだ回遊してこないだけかと思った矢先、Tさんに1stヒット! 流石と思ったらなんだか様子が変??上がってきたのはサバでわっぱが(笑)

そしてすぐに私にもヒット! なかなかの重さでロッドがグイグイと引き込まれるので、こちらも魚と確信(泣)。走らないのでサバとは違う感じだが、手前でケミホタルが浮いてきたので??そしたらイカだった! 抜き上げる、グッドサイズなヤリイカだった。冬の男鹿で何度かテーラーのエサ釣りで狙った時は釣れなかったので嬉しかったが、狙いはスルメイカなのでなんだか微妙(笑)。魚っ気が出てきたようなので、気合いが入るが再び沈黙…。

まずまず?な釣果で遠征の締めくくり

この日はダメな日かと思い始めた頃、シャクりを入れたら再びイカの手応えが! 上がってきたのはスルメイカだった。これで本誌連載時代から通算して祝50魚種目達成! すぐにTさんもキャッチ! その後はポツポツ釣れ始め、明確にロッドに伝わるアタリは2回あったが、乗せることができず釣れたのはシャクった瞬間に掛かっていたといった感じでスルメイカの難しさを痛感した。しかし、なんだかんだでヤリイカ1杯、スルメイカ7杯と、私にとっては十分満足な釣果となった。

隣で釣っていた地元の釣り師に話を聞くと、先日はケンサキイカの群れが入っていたとのこと。ケンサキが釣れれば三種コンプリートだったと少し残念だったが、別の防波堤に立ち寄るとこちらではケンサキイカが釣れていた。ケンサキはフラワーを使った別の釣り方があるようなので、もっとハイシーズンになったら挑戦したいと誓い帰路に就いた。行きも帰りもTさんの運転に感謝しかなく、秋田に着いたのは午前2時。何も運転していないのに私は疲れ切って、家に着いてすぐに布団で夢の中だったが、Tさんはそのまま秋田でアジングをしたとか! やはりエキスパートは釣りと向き合う姿勢が半端ないと恐れ入りました。

ヤリ・スルメの2種食べ比べ!

翌朝にイカを捌く。刺身と焼きイカ用に切り分け、購入したばかりのアニサキスライトを試してみようと思ったが、どこに置いたか忘れてわっぱが(笑)。仕方がないので蛍光灯に切り身をかざして確認したが、アニサキスは見つからず、オッケー(多分)。

そしてふっくら焼き上がったイカは最高のアテだ!

そして夜、釜石で購入した地酒「純米吟醸 浜千鳥」を開栓! 力強い飲み口で爽やかな吟醸酒を楽しみながら、まずはヤリとスルメのお造りの食べ比べから。ヤリは硬く噛み応えがあり、もう一晩寝かせたほうが良かったかも? スルメは柔らかく甘いイカの旨味が広がり、スルメの勝ちと言いたいが、大きなイカと仔イカの違いもあるので比べるものではない。

ワサビ・生姜醤油、レモン塩と楽しみ、エンペラとゲゾは軽くボイルしたので、酢味噌で楽しんだ。わずか一皿のお造りだが、色々、味変することで、イカの全てを味わうことができた。そして焼き物はスルメイカをシンプルに塩焼きと、醤油・砂糖・日本酒を混ぜたタレで照り焼きにした2種! 新鮮だからかふっくら焼き上がり、塩もタレもあまりの美味しさにあっという間に皿が開いた…。もっと釣れたら良かったのにと、釣れただけで嬉しかった気分から、酔うにつれてわがままな釣り師根性むきだしで今宵も更けてゆく…。

三陸イカシーズンは始まったばかり!これからが楽しみだ!

これからハイシーズンとなっていく東北・太平洋岸のイカ釣り。防波堤からのお手軽から船からのイカメタルなど楽しみ方も様々。食べて最高なイカ釣りを、皆様も挑戦してみては? それにしても東北は一年中どこかでイカ釣りを楽しめるようになりましたなぁ。

WRITER

佐藤浩

記事一覧へ

秋田県在住。渓流やサクラマスといったルアーフィッシングにこだわりを持ち自然と向き合ってきたが、歳を重ねるにつれ、他の魚も釣ってみたい欲が増し、「酒魚放浪記」の連載スタートと共に、今では魚種、釣種問わず魚を追いかけている。

記事を探す

魚種から探す