【連載】ディープマスター釣魚録WEB #1新潟県佐渡沖 アラ&大アカムツ

新潟/岡本光央

「次に来る時はジャンボアカムツを狙いませんか?」昨夏の沖五目釣行(既報)の帰路、小林船長から出たオイシイ話。新潟県間瀬港「光海丸」はほぼ周年、中深場の高級魚五目釣り(エサ&ジギング)に出船する。間瀬港の南北~佐渡沖に点在する水深150~200mラインでアラとアカムツを2本柱にマゾイ、ウスメバル、マダラ、ムシガレイなど、いずれもメインターゲット足り得る美味な魚達が脇を固めるこの釣りを「沖五目」と称している。

その最遠ポイント(航程3時間)の佐渡沖では以前より職漁船が2kg超のジャンボアカムツを数揃え水揚げしている情報を個人的には掴んでいたが、常宿の光海丸でアプローチ可能と聞かされ心躍らぬはずはない。かつてはジャンボアカムツポイントとして知られた東~南伊豆沖(静岡県)でも今や2kg超クラスは幻と化し、昔話となりつつある現状でこんなチャンスを逃す手はない。海の良い時期に…ということで狙い目は5~7月。翌年の挑戦を約束して帰路に就く。

筆者が東伊豆で釣り上げた2.4kg。佐渡沖ではこのサイズが狙える
グラマーな6kgアラ。これ以上のサイズも夢ではない

光海丸のアラ&アカムツ釣り概要

筆者のロッドはアルファタックル「ディープインパクトカイザーT」に3000番電動リール

ロッドは中深場用、または青物用の長さ2.1~2.4mのオモリ負荷150~250号クラス、リールは電動リール3000or500番リールにPE5~6号をフルキャパシティ。仕掛けはナイロン18号ハリスの胴突き4本、200号オモリは親子サルカンにフックで直結、針はKINRYU「ホタ」17号赤、チモトに夜光イエローのマシュマロボール。

KINRYUホタ17号とマシュマロボールイエローのコンビは小林船長の推奨
ジャンボアカムツ&アラのマッチベイトは細身18cm程度のマイワシ

ツケエサはアカムツにはホタルイカと小振りサバ短冊の併用もしくは単体使用、アラには乗船前に購入可能のやや細身の16~18cm冷凍マイワシをメインに大振りのサバ短冊も実績あり。ただし「ジャンボアカムツはイワシに食ってきた」との船長情報も。

釣法は「タナを取ったら触らない」の放置プレイ。ともすれば異端とも思えるそれらには小林船長の経験と実績に裏打ちされた確固たる理由がある。

着底の速さを意識したリールサイズ。10kg超のアラも意識したライン号数。アラのエラ蓋縁でのカットリスクを踏まえたハリス号数、冷凍イワシのアゴを壊さずに刺し通しながら、大アラに伸されない針軸径と強度のバランス。同地のアラが主食としているであろう、ニギスに準ずるサイズと形状。根掛りのほぼない緩やかな斜面で海底のターゲットを散らさない工夫。説明されれば一つ一つが同地の釣りで理に叶った設定であると納得させられ、「郷に入らば郷に従え」の言葉そのままに臨む間瀬~佐渡沖だ。

ディープマスターのワンポイント

間瀬沖アラに細めの冷凍イワシが「イチバン」の理由とは、光海丸で最も実績の高いエサは乗船前にワンパック400円で購入できる冷凍マイワシ。イワシをメインで使用するならアタリが少な目の日で4パック、高活性時は5パック持参が船長のお勧めだ。

ちなみにこのイワシはやや細身で全長は16~18cm程度。ビッグなアラを狙うのだから、食用に販売されている丸々太った大羽イワシなら更にアピールが強く有効では?…と思いがちだが、小林船長は「大羽イワシじゃ食いませんよ」と事も無げに言う。

水族館や研究者の依頼で採集も引き受けることもある小林船長はアラ場で漁獲されるニギスがアラのメインベイトだからでは、と考えていると言う。かつて水族館よりニギスの生体を採捕してほしい旨の依頼がありアラ場でサビキ仕掛けを下ろすが、針掛りした魚は尽く奪い食われたのだとか。

この魚がニギス。丸干しが「沖ギス」などの名で販売される

ニギスのサイズ感とシルエットが近い細めのマイワシが間瀬沖のアラには「マッチ・ザ・ベイト」なのだろう。ならばニギスを使えば…と思えるが、底曳網で採捕した物を入手することは可能だが、鮮度が良くてもマイワシよりも口周りが脆くホタ17号の針掛けとエサ保ち面に難がありNGなのだとか。光海丸では「ビッグベイト・ビッグフィッシュ」のセオリーすらも当てはまらないようだ。

天候には恵まれたが…

5月釣行ではジギング組が意地を見せるもアラは「中」止まり
船中唯一の大物はジグでの6.8kgマダラ

そして今年5月11日、10名(エサ7名ジグ3名)の仕立てで佐渡沖へ。これ以上ない凪と晴天に恵まれ「最遠ポイント」へのアプローチは難なく叶ったが、アミエビの大量発生、低水温、終日動かぬ底潮のトリプルパンチでエサ組は撃沈。ジギング組がリアクションバイトで中小サイズのアラ4匹と6.8kgのマダラをキャッチし意地を見せたが、大本命アカムツは結局姿を見せず。次回に大きな宿題を残す釣行に。その後の出船ではアラ、アカムツ共に釣果が出ており、今後に期待が膨らむ間瀬~佐渡沖の中深場だ。

船宿紹介/光海丸(新潟・間瀬港)

http://koukaimaru.com/
■TEL 080-2291-5477
■「沖五目」乗合…1名 ¥15,000、仕立…平日¥170,000・土日祭¥180,000(12名まで可能)、氷(一袋6㎏¥600)とイワシ(一袋¥400)は乗船前に購入、ホタルイカ1パック、サバ1匹はサービス。

小林船長

WRITER

岡本光央

アルファタックル、ミヤエポック、フジワラ、ヤマシタ、ゴーセン、KINRYU、ルミカ、藤井商会、NIKKOフィールドスタッフ

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深海釣りの第一人者。埼玉県川口市在住のフィッシングライター。著書、番組出演など多数。釣り東北本誌にて長年「ディープマスター釣魚録」を連載。

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