【新連載】鯵道楽(あじどうらく)#1防波堤アジング

秋田/佐藤浩

私は長年渓流釣りをやってきたが加齢による体力の衰えから、最近は近くの海での釣りが多くなってきた。まだ若いころ、夢中で沢を歩き清流の宝石・ヤマメを追いかけた日々が懐かしい。還暦を目前に考えているのは、私の終いの釣りは何だろう? 渓流釣りの友と話していたのは「免許を返したらお互いチャリで防波堤さかようべ!」。当時は半分冗談だったが、なんとなくリアルが見えてきた…。

最後はアジ釣りかな? 子供の頃からサビキで豆アジと遊び、今ではアジングを楽しんでいるわけだが、アジ釣りはサビキからエサ釣り、近年ではルアーと多様な釣り方で、フィールドも防波堤、磯、サーフ、沖と広範囲で楽しめる。ルアー・エサ・毛針など多様な仕掛けと、本流から源流と様々な釣り方があるヤマメ釣りに似て、しかも味が良く、初心者からベテランまで楽しめるアジが終いの魚に相応しい? そんなアジを釣り方と食を極めてみたい! そんな観点から「鯵道楽」の連載をスタートしたい。連載タイトルはお気づきの方も多いかと思うが、秋田の家庭には必ずある万能つゆの東北醤油(株)「味どうらくの里」をインスパイアしたものである(笑)。

アジング春シーズン開幕!のはずが?

早春、今年も防波堤からのアジの釣果が新潟から始まり、山形・庄内も良型連発の声が聞こえてきた。秋田もそろそろか? ここ数年の傾向では4月中旬には防波堤アジ釣り開幕となるのだが、この春の秋田は暖冬であったが水温が低く、ゴールデンウィークが過ぎた頃、ようやくまとまった釣果が出てきた。ということで私もアジ釣りスタート! 

私のパイロットルアーはジャッカル「DEKAキビキビナーゴ」で、色を各色揃え、状況にマッチした色を探すといった釣りをしている。反応がなければ、ダウンサイズやワームのタイプを換えていく。

ロッドはヤマガブランクス「ブルーカレントIII510」、リールはシマノ「ツインパワーC2000S」
ジグヘッドはティクト「アジスタ」
パイロットワームはジャッカル「DEKAキビナーゴ」

しかし、2回目の釣行までノーバイト。周りも全く釣れていない。いつになったらアジで一杯やれるのか? 釣りよりもその先の晩酌を心配してしまうが(笑)。初めて釣ったアジは塩辛にしようと決めていた。アジの刺身を塩こうじに漬けて一晩寝かすだけの簡単メニューだが、想像しただけで日本酒に最高なのは間違いない。漬けるための塩こうじはだいぶ前に用意していたので、あとはその日を待つだけなのだが…。

そして、その日は来た!

夕まづめ、防波堤先端のサビキ釣りの方たちに、良型のアジが連発し始めたが、ちょっと離れた私の周りはアタリなし。ジグヘッドを1gから1.2gに上げ、ボトムをシェイキングしていたら待望のヒット! ようやくこっちにもアジが回遊してきたか? しかし、後が続かない…。

ボトムシェイクでポツポツと掛かるが、シェイキング中にヒットしているといった感じで、アジ特有の吸い込むアタリにアワせるといった醍醐味を感じることなく、1時間で7匹ほど釣ったところで塩辛には十分だと納竿。すると、先端のサビキ釣りの知り合いから手招きで、塩焼きサイズのアジを数匹頂いたが、こちらのサイズのアベレージは、私のアジとはひと回り違っていた! まあ、初回はこんなもんでしょう(笑)。

頂き物も含めて塩辛制作分のアジを確保!

仕込みを開始する

早速、自宅に帰り塩辛作り! まずは三枚に下ろすが、今まではゼイゴを削いでから包丁で皮を引いていたが、今回、ゼイゴを削がず、頭の方から手で皮を剥いてみたら、簡単に綺麗に剥ぐことができた。そして小骨を抜くのに今まで毛抜きタイプからペンチタイプまで色々試してみたがどれもイマイチ。そこで堺刀司の作った骨抜きを購入! 骨を挟みやすく剛性が高く力がしっかり伝わり、骨抜きが楽しかった!

三枚に下ろして塩を打つ
堺刀司の作った骨抜きを導入
塩こうじでアジを漬けてジップロックに入れて寝かせる

下ろしたら細く切り分け、準備していた塩こうじに漬けてジップロックに入れ冷蔵庫で寝かせる。手に付いたこうじを試しに舐めてみたらショッパイ! 私が買っていたのは寒こうじ。漬物に使うこうじなので、これで良いと思って買ったのだが、塩こうじより寒こうじのほうが2倍くらい塩分が多いらしい。これは失敗か? すぐスーパーに走り、塩こうじを買い試しに舐めてみたら、こちらもなかなかしょっぱいので多分大丈夫だろう(笑)。

絶品!アジの塩辛とお茶漬けで舌鼓

翌日、ジップロックを開封。水で寒こうじを丁寧に洗い、皿に大葉を敷き盛り付ける。表面にテリがあらわれ美味そうなアジ塩辛だが、成功だろうか? 今宵の1本は、近頃、店頭に並び始めた夏酒「刈穂 純米吟醸 六舟 サマーミスト」。塩辛を箸で少し摘まみ口に入れたら、塩こうじで熟成されたアジの旨味が広がり、それを夏酒で流しこむ。ん~呑ん兵衛にはたまらんですなあ(笑)大成功! そして最近ハマっている、ポテトサラダのイカの塩辛乗せをアジで試してみたが、塩辛の旨味と塩っ気でポテサラが酒の肴に大変身! グラスを持つ手を離せなくなり、そろそろ酔いがまわり、お開きのタイミングで〆のお茶漬!

アジの塩辛めっちゃ美味いです!
最近ハマっているポテサラに塩辛をトッピング!

大き目の茶碗に熱々のご飯をよそい、塩辛はたっぷり贅沢に乗せて、上から白だしを溶いた熱いお湯を掛け注ぐ。刻み海苔・ネギ・白ごま・ワサビをトッピングして食べてみたら…言葉にならないくらい酔っ払いには最高! 途中、追い海苔とネギを追加。そこは宅飲みなので贅沢に追加して楽しむと良いだろう。

〆はお茶請けで決まり!
合わせる酒は「刈穂 純米吟醸 六舟 サマーミスト」

アジの塩辛は1週間以上日持ちする。日を追うごとに身にとろみが出て旨味も増してくるので、味の変化を楽しむのも良いだろう。アジがいっぱい釣れたり、刺身が残った時など簡単に作れて保存が効くので是非試してみてほしい。

WRITER

佐藤浩

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秋田県在住。渓流やサクラマスといったルアーフィッシングにこだわりを持ち自然と向き合ってきたが、歳を重ねるにつれ、他の魚も釣ってみたい欲が増し、「酒魚放浪記」の連載スタートと共に、今では魚種、釣種問わず魚を追いかけている。

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