東北の春夜をアツくする「夜アイナメゲーム」#1 なぜ夜に釣れるのか?

岩手/大泉純輝

昨秋から高水温が続き、例年とは少し異なるシーズンの進行となった東北のロックフィッシュシーン。特に東北の代表的なターゲットであるアイナメは、渋いながらも「デイゲーム」で釣れ続けている状況です。そんなアイナメが1年のうち春の時期においては、一時的に「夜型」となることをご存じでしょうか? 今回は、東北の春夜をアツくする「夜アイナメゲーム」の魅力やメソッドをご紹介したいと思います。#1では夜アイナメの行動パターンなどの生態やポイント、狙い所などを紹介。

まずは「夜アイナメ」の生態を知る!

毎年秋から冬にかけてスポーニング(産卵)を終えたアイナメは、その後ディープに落ちる個体が多く、例年通りであれば、この時期にデイゲームでショアから狙うのは厳しい傾向にあります。一方、イワシなどベイトフィッシュの回遊次第ではシャローエリアに回る個体もおり、また、産卵後にシャローエリアで越冬した大型のアイナメが狙える時期でもあります。

春に一時的に「夜型」となるアイナメですが、なぜ一時的に夜型になるかというと、ざっくり言えば、「効率よく捕食活動ができるから」です。まだまだ水温が低いこの時期、活発に動き回ることが難しい中で効率よく捕食活動をするためには、エサの豊富なポイントに居ることが大切です。

漁港内の外灯周りでは、光合成により植物性プランクトンが増殖し、それを食べるため動物性プランクトンが集まります。この動物性プランクトンを食うために集まるのが、アイナメのエサとなる「サケ稚魚」や「イワシ」「メロウド」などのベイトフィッシュです。毎夜毎晩群れをなして外灯周りに集まるので、フィッシュイーターであるアイナメにとっては効率よく捕食活動ができる恰好のエサ場となりますよね。いわゆる、「食物連鎖」。これが「夜アイナメ」の生態です。

ポイント選びのコツは?

次に「夜アイナメ」のポイント選びのコツと、狙いどころについて解説していきます。

基本は外灯が効くエリアが有望
日中に海藻の有無など地形を把握しておこう

夜アイナメを効率よく狙うためには、「外灯の有無」が大切です。前述のとおり、基本的に外灯がないよりはあったほうが良いので、外灯のあるポイントの選択をオススメします。個人的には白色のものよりもオレンジ色のような暖色系の外灯のほうが夜アイナメの実績が多く感じます。

さらに外灯に「ベイトフィッシュの有無」を絡めて、狙うポイントを絞っていきます。夜アイナメはベイトフィッシュに左右されることが多いので、とても大切な要素になります。メインのベイトフィッシュは「サケ稚魚」や「イワシ」「メロウド」ですが、タイミングによってはコウイカの一種である「ミミイカ」、イソメやゴカイ類の「バチ」、エビやカニなど甲殻類系に着いていることもあります。その時期その場所のベイトフィッシュが何なのかを把握し、かつ、ベイトフィッシュが溜まる場所や回遊するポイントを選ぶことが、夜アイナメの釣果アップへとつながります。

「外灯」に「ベイトフィッシュ」を絡め、ポイントを絞ったら、次は狙いどころについてです。隅から隅まで探るのも良いですが、ポイントも広いですし、時間も有限です。私はある程度狙いを絞って探り、反応がなければポイント移動という「ラン&ガンスタイル」で釣り歩いています。

狙いどころで重要なのは「明暗」です。関連して夜アイナメの着き場を知っておくことも大切です。エサとなるベイトフィッシュは「明」に集まりますが、基本的に夜アイナメは「明」のエリアに常に留まっていることはなく、「暗」のエリアに居ながら時折「明」のエリアに出てきてそこに集まるベイトフィッシュを捕食します。その「明」と「暗」を作り出すのが、外灯のような「光源」です。この「光源」によってできる岸壁の際の明暗、ヘチのえぐれの明暗、人工物であるブロックやテトラ、建物の明暗(水中含め)、船の影の明暗、外灯の光の切れ目・沖の明暗など特に「明暗」の境目は夜アイナメの実績が多い傾向にあります。時にはボトムなどにあるアイナメの魚体より小さな石でできる明暗に着いている個体も居ます。

以上のポイントを選んで探っていけば、効率よく、より魚に近付くことができると思います。また、私の実績ですが、過去に釣りをしていて夜アイナメが釣れたことのあるポイントや、魚が着いていたストラクチャーは、後日高確率でまた別の魚が着くので、探る価値ありです。外灯の位置やベイトフィッシュの種類・回遊ルート、地形やストラクチャーを「デイゲーム」中も意識して観察するなど、日頃のたゆまぬフィールドワークが釣果アップへとつながります。

WRITER

大泉純輝

エコギア、フィッシュリーグプロスタッフ

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岩手県在住。釜石市がメインフィールド。ロックフィッシュ、イカメタル、フライフィッシングを中心にシーズナルの釣りを楽しみ発信中。ロックフィッシュトーナメントへも積極的に参戦している。

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