釣りの幅を広げるソフトルアー+αのハードルアー戦術!

秋田/天野広之

一般的にメバルのルアーフィッシングといえば、ナイトゲームでワームをスローに引いてくるといったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか? しかし、それはもう過去の話といってもいいのかもしれません。現在、多くのメーカーからメバルをターゲットとしたプラグやジグといった「ハードルアー」がリリースされており、自分自身これらを駆使することで、今まで反応しなかった魚にも口を使わせることができるようになりました。これは、ハードルアー特有のアピール力と、ソフトルアーにはない操作性がバイトを引き起こすトリガーになっていることに他なりません。そこで今回はハードルアーの特性を活かしたルアー選択・誘い方など、進化を続けるSWライトゲームの世界をご紹介したいと思います。

ハードルアーとソフトルアー

今回はハードルアーを取り入れたメバルのライトルアーゲームがテーマですが、本題に入る前にソフトルアーの特性にも触れておきましょう。ソフトルアーの特性としては、文字通りの素材の柔らかさからくる食わせの能力が挙げられます。これはバイト時の吸い込みの良さにもつながっており、ハードルアーにはないものです。また、ジグヘッドリグのウエイト次第で各レンジをカバーできるのもソフトルアーならではの利点です。

それに対してハードルアーはどうなのかといいますと、注目すべきは強いアピール力でしょう。これはハードルアーの各カテゴリーに共通して言えることで、ソフトルアーよりもボディーやリップで水を押す波動が強く、その存在感は抜群です。その他、各カテゴリー毎にこのような特徴があります。

【トップ、フローティング系プラグ】
浮力があるので、リーリーングの遅い早いに関わらず潜行レンジより下に外れない。他のハードルアーより軽量な部類だが、重心移動システム搭載のものは飛距離が出しやすい。

シンペン、シンキング系プラグ】
一般的には任意のレンジまで沈めて引けるのでジグヘッドリグに近い操作感で扱える。また、フォールでもボディーが水の抵抗でアクションするので、ゆっくりとしたフォールでも誘うことが可能。

【スピンテールジグ、メタルジグ】
沈みが速くクイックかつ不規則な動きを演出しやすい。その動きからくるボディーやブレードからのフラッシングもあり、アピール力が最も高い。

効果的な使いどころとは?

簡単にまとめると、このような感じですが、各カテゴリーの特徴をもっとシンプルに捉えると「浮力」、「フォール」、「高比重」になります。これが活きてくる場面とはどんなものでしょうか?

【フローティング系プラグ「浮力」】
シーズンの中でも春から初夏と秋頃にかけては、メバルの活性が高いことも多く、エサを求めて積極的に動き回ります。このような状況下、特にナイトゲームでシャローレンジを意識している場合は、浮力のあるプラグを使うのが効果的です。潜行レンジより下に外れることもなく、飛距離も出しやすいなど、この浮力がもたらす操作性を利用しない手はありません。パイロットルアーとして、テンポ良く釣っていくような場面で使いたいルアーです。

【シンキング系プラグ「フォール」】
この手のプラグをフォールさせることで広いレンジを探ることができるのは勿論ですが、私的にはルアーを横に引いてくるスペースが無い場合に、縦方向へ誘えるのが強みと考えています。フォールで見せつつジャークを織り交ぜることで、リアクション的に食わせることができますから、主に日中にストラクチャー際や、シェードを狙うというような場合に有効なルアーになります。

【メタルジグ「高比重」】
軽めのジグヘッドリグと比較すると、攻めるレンジもアクションの強弱も対極に当たるジグ。この高比重のボディーから生まれる動きを取り入れることで、釣りの幅が大きく広がります。ボトム付近に居る魚にスイッチを入れて釣る場合や、沈みの速さを利用して流れや風等をかわすなど、これは比重の高いジグ・メタル系のルアーにしかできない攻め方でしょう。

どちらかといえば、デイゲームでバーチカルに誘いをかける時に使うことが多いルアーですので、状況に合わせてシンキング系のプラグと組み合わせてルアーローテーションしてみるのがお勧めです。

実釣での組み立て

このように、ハードルアーの特性を理解することで使いどころが見えてきたのではないでしょうか。ソフトルアーのみを使うよりも、その時々の状況にアジャストでき釣りの効率も上がりますし、色々なファクターを加味してルアー選択をしていくことで、釣りが単調にならず、より楽しめると思います。

それでは、ここからはハードルアーをどのように実釣に組み込んでいくかです。状況に合わせてルアーを選択するといっても、色々な要素が絡んできますが、まず一番に考慮するものとしては、釣りをする時間帯でしょう。日中と夜では、魚の付き場や動きも違いますので、反応しやすいルアーも当然変わってきます。

【ナイトゲームの場合】
ハイシーズン時期ですと、最初に投入するとすればフローティングミノーでしょう。ベイトを探して上を意識している活性のいい個体を手返し良く拾うのが狙いで、湾内の堤防や磯際等の手前の水深が浅い場所では特に有効です。

次に少しレンジを入れるのであれば、シンペンでもいいですし、これよりもレンジを下げるのであれば、重めのジグ単に換えます。例えば、海中の藻やシモリを釣る場合、根掛かりのリスクもありますので、無理にプラグで攻めずにソフトルアーを使う方が無難です。水深が深くなるにつれてプラグのメリットも薄れてしまいますから、適材適所で使い分けましょう。

【デイゲームの場合】
魚はストラクチャーやシェードに潜んでいるので、ルアーを横に引くよりもその場所をタイトに狙っていきます。水深が浅く、流れがないような場所ならシンペンのスローフォール&ジャークで攻めることができますし、流れがあって水深のあるような所ですと、バイブレーション、スピンテールジグ、メタルジグといったルアーでリフト&フォールのような使い方で攻めるのが効果的です。この時、速い動きに反応するけど食いきらないこともあるので、ダート系のジグヘッドのワームでフォローを入れるのもありです。

ここまでハードルアーの特性や使いどころを中心に解説してきましたが、ソフトルアーのみを使うよりも対応できる状況が多くなったのが、お分かり頂けたと思います。裏を返せば、使う側(アングラー)の自由度も高くなっていますから、固定概念に縛られずに釣りをすることが大事です。それが釣りの幅を広げることにつながっていきます。

デイゲームの可能性

メバル=ナイトゲームといったイメージを持つ方が多いのは、やはり「夜のほうが釣れるから」と感じているからでしょう。確かにメバルは夜行性ですので、夜に活発に動きますし活性も高いです。そこに食わせやすいソフトルアーを使えば高確率でバイトに至ります。だからといって、日中に同じ釣り方をしても釣れない…これはメバルが日中は藻場や根周りに潜んでいて、夜ほど活性も高くないのでルアーを積極的に追わないのが要因です。このような背景でメバル=ナイトゲームといったイメージになっているのではないでしょうか。

ですが、デイゲームが全く釣れないかというとそうでもありません。日中にストラクチャー周りに潜んでいるのであれば、そのような場所にはメバルが高確率で居るということで、逆にポイントを絞りやすくなります。そして、夜と違って視界が効くからこそ、着き場を目視して的確に攻めることができますし、ルアーの着水点やラインの動き等、視覚から入る情報が加わることで釣りの精度も上がります。このようなデイゲームならではのメリットを理解すれば、日中は不利だという固定概念を打ち消すことができるでしょう。

デイゲーム×磯

釣りの幅を広げるということを考えれば、私的には「デイゲームの磯」が面白いシュチエーションではないかと思います。自然の力で形成された磯は変化に富んでいるので、魚の着き場も多いのはもちろんですが、釣っていて飽きないし、攻めがいのあるフィールドです。そこをデイゲームで釣ることで、状況を観察しながら、釣りを組み立て釣果へつなげていく。この過程を楽しめるのはデイゲームならではです。

デイでは磯場が有望

足場の悪い磯場ではありますが、日中であればポイント移動もしやすいので、積極的に魚を探すスタイルが成立します。特にこれからスキルアップしたいアングラーの方にチャレンジしてもらって、ライトルアーゲームの幅を広げてもらえればと思います。


ハードルアーには、ハードルアーの良いところがあり、ソフトルアーには、ソフトルアーの良いところがあるので、うまく組み合わせて使うことがポイントです。極端な話、とりあえず魚を釣りたければジグヘッドリグのワームだけあれば何匹かは釣れるでしょう。しかし、ハードルアーとソフトルアーのポテンシャルをそれぞれ発揮させて攻めることで、色々なシュチエーションを攻略し、より多くの魚を釣れるようになると思います。そして、確実に釣りが楽しくなるとことでしょう。皆さんも色々なルアーで、メバルを狙ってみて下さい。広大なフィールド、そこには新たなライトゲームの世界が広がっています。

WRITER

天野広之

ヤマガブランクスフィールドスタッフ

記事一覧へ

秋田県在住。子どもの頃から地元・男鹿の海で釣りに親しむ。今も変わらずライトゲーム、シーバス、エギングなど旬の釣り物を狙っている。

記事を探す

魚種から探す