投げ釣り専科 【Vol.2】 トップキャスターのキス仕掛けコンセプト!

伊藤幸一氏(右:シマノインストラクター)、大野正浩氏(左:がまかつフィールドテスター)の名キャスターによるトークには、キス釣り仕掛け作成へのヒントが満ち溢れていた!

仕掛け作りに迷う頃…

各メーカー新発売の商品もベールを脱いで、今年のキス釣りトーナメントに向けて準備を始めているキャスターも多いのではないだろうか? 特に今年はシマノ「JAPAN CUP」のルールが大きく変更され、その戦略や仕掛け作りの方向性に迷うところ…。そこで今回の【投げ釣り専科】では、2024年1月20日、横浜パシフィコにて開催された「釣りフェスティバル」の山豊テグスブースで繰り広げられた、伊藤幸一氏&大野正浩氏の名キャスターによるトークショーの中から、仕掛け作りのコンセプトをご紹介しよう!

「JAPAN CUP」は大物狙い仕様!

シマノ「JAPAN CUP投げ」を過去に3回制している伊藤幸一氏によると、今年から始まる新ルール「3本仕掛け制限」では、仕掛けの工夫が必要とのこと。俗に「無限仕掛け」と呼ばれる市販の50本針連結仕掛けなどの場合、大半が針間隔は27~30cm前後の設定で、針サイズも5~6号が中心で、どちらかと言えば数釣り向きのコンセプトで仕上がっている。

シマノ「JAPAN CUP投げ」の第26回、第29回、第34回と3度にわたって全国制覇。地元の湘南のみならず全国各地のフィールドで投げ尽くす

しかし、今回の「JAPAN CUP」ルール変更の場合、競技時間、エリア、そして針数制限がある中で、いかにして他の選手よりもより重量のあるキスを釣るかのスキルが勝敗を分けることになる。従って、良型キスを掛けてバラさずに仕留めることが求められるが、そのためには仕掛けに対する一工夫が大切になると伊藤氏は語った。

具体的には次の通り。①針は6号以上で、バレにくく伸ばされにくく、強度があるタイプ。②針間隔を35~40cm程度に広く設定し、良型キスに警戒心を与えずに口を使わせる。③ハリスの素材には、張りがあってモトスに絡みにくいエステル素材が適している。④同じく絡みにくさから、ハリスの長さは3cm前後がオススメ。

市販の50本針連結仕掛けは使いや連結、状況に応じてその場で針数をチョイスできるが、今年から始まる「JAPAN CUP」新ルールの下で、ライバルと大きな差を出すためには、自分にできる努力と工夫を惜しまずにチャレンジしてほしいと、数多くのトーナメンターにエールを送ってくれた。

多点針仕掛け作りのコツ

一方、従来からのスタンダードなキス釣りのテーマであり醍醐味である「一投打尽」スタイルでは、いかに仕掛けを絡ませずに多点針仕掛けをキャストし、ズラリと奇麗にキスを掛けて回収するかが大きなステータスとなっている。このスタイルの第一人者であり、「がまかつ G杯」の最後の覇者でもある大野正浩氏が、多点針仕掛け作りにおける企業秘密的なヒントを披露してくれた。

地元は石川県かほく市。千里浜を始め好ポイントが続くフィールドで腕を磨いた。小柄な大野氏だが大会中に発せられるオーラはハンパない!

キス釣りトーナメントの中で、数釣りの代表格はどの大会かと聞かれたら、トーナメンターの誰もが「がまかつ G杯」と答えるだろう。そのG杯で何度も輝かしい成績を残した大野氏は、一投でいかに多くのキスを掛けるかに徹し、その思いを仕掛けに込めて実戦に挑んでいる。

その中で特筆すべきは、針間隔とハリスの長さの設定だ。具体的には下記の通り。

針間隔が30cmの場合、ハリス長は3cm。25cm間隔の場合、ハリス長は2.5cm。つまり、「針間隔÷10」をハリスの長さの目安にしているとのこと。針間隔を短くするケースは、小型サイズのキスの数釣りが中心で、ギリギリ限界まで針数を増やすことにしている。15本以上の多点針を使用する場合、エサ付け、キャスト、連掛け狙い、魚外しなどの際に、針同士が絡む可能性が非常に高くなってしまう。この時ハリスが長いと針同士の絡みが発生しやすくなるため、針数が多くなる分だけハリスを極力短くし、針がクロスする可能性を抑えようとする意図がある。

多点針仕掛けは、これまでのキストーナメントの歴史の中で最も求められた究極のスキル。よく活性の高いキスがガツガツとエサを食ってくる状況では、いわゆる「バナナ状態」になってしまいやすいが、その日その時の状況判断によって、針数、サビく速度、食わせる間などの選択を、数多くの「引き出し」の中から、最適な戦術を瞬時に選び出せるのが大野氏でもある。

サーフの女王とも呼ばれるシロギス。その奇麗な魚体から繰り出される強烈なアタリは、多くの釣り人を魅了する

準備と仕掛け作りはお早めに!

例年通りであれば、東北エリアのサーフでキスが釣れ始めるのはゴールデンウイーク前後。しかし、今年は高水温が続き、しかも山間部の残雪も少なくなっている。いつもなら4月頃に雪代が入って海に流れ込む水温が一気に低下するが、その可能性は極めて低いと思われる。

そのため、4月中旬にはあの奇麗な魚体が波間から姿を見せてくれ、シーズンインが早まる気がしてならない。トーナメンターの皆様は、今から仕掛けの準備をしておかないと、大会本番までに仕掛けを使い切ってしまうかもしれない(笑)。

投げ釣りの魅力をアップデート!

今回の伊藤氏、大野氏の仕掛け作りコンセプトは参考になっただろうか? この「投げ釣り専科」コーナーでは、キス釣りを筆頭に季節毎の様々な投げ釣りターゲットに照準を当てて情報を提供。釣り方、釣果、反省点などを多角的な視線で随時紹介するので、アップデートをお楽しみに!

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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