深刻化するカワウの食害 ― アユ資源への影響

いまアユ釣りが盛んな河川ではカワウによるアユの食害が深刻になっている。まずはがまかつフィールドテスターの工藤康弘さんから届いた米代川二ツ井で撮影された衝撃の写真をご覧あれ。

お盆中に米代川二ツ井銀杏橋付近で撮影されたカワウの大群

目視でざっと数えてみると、手前から奥にかけて広がっている群れ全体で200~300羽程度は確認できる。ここ数年、同川ではカワウの群れを見られるようになっているが、今年は天然アユの遡上が多いことでさらに大挙しているようだ。

カワウの摂食量は?

カワウ1羽あたり1日に300500程度の魚を食べるとされる。
※アユのサイズに換算すると、
体重100g前後のアユ → 1日に35尾程度
体重50g前後のアユ → 1日に610尾程度

カワウ1羽が1日にアユを6~10尾前後捕食すると仮定すると、
・200羽の群れ → 1日あたり1,200~2,000尾規模
・300羽の群れ → 1日あたり1,800~3,000尾規模
のアユが被害に遭う計算になる。これが数箇所で、何日も食べられているとなればかなり深刻な状況である。

カワウ被害に関心を!

以上、漁協や釣り人はもちろん、地域にとっても大きな資源被害となっていることは間違いない。そのため、秋田県内では内水面漁連が主体となった秋田県カワウ対策協議会があり、弊社も所属している。カワウの追い払い、漁銃による駆除、ドライアイスによる卵の駆除など、様々な策を講じてはいるが、カワウは全国をまたにかけてエサの多い河川を渡るため、単県、単体組織での対策では限界がある。また、野鳥保護の観点から駆除の数や方法も制限されている。

カワウ被害の実態を知らない釣り人が多く、まずは釣り人の声を届けることが大事だ。最近はアユルアーブームにより河川に関心を持つ釣り人が増えてきている。これを機に、ぜひ1人でも多くの人にカワウ被害の実態についても知っていただきたい。

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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