執筆:テル岡本
昨年に続き今年10月上旬も台風で流れた宮古沖釣行。自身初フィールドでのマダラに挑むべく、今シーズンラストの東北釣行。3度目の正直に賭けた10月27日の顛末や如何に!?
マダラという魚
タラ目タラ科 Gadus macrocephalus
国内の分布:北海道全沿岸、青森県~茨城県の太平洋沿岸、青森県~山口県の日本海沿岸
特徴:頭が大きく、体長は頭長の3.2倍。背鰭3基、臀鰭2基を有す。側線有孔鱗は第3背鰭直下まで連続的で以降は不連続。上顎は下顎よりも長く、下顎には眼径と同等若しくは長い1本の髭を有す。この髭は「アンテナ」の役目を果たすとされ、水族館の展示では斜め前方に「髭」をピンと伸ばして泳ぐ様が確認できる。大口の中には鋭い歯が内向きに並び、一度咥えた獲物は逃さない。「鱈腹食う」の語源とされる旺盛な食欲で年に40~70%も体重が増加。10~12年で体長1mに達し、大型は20㎏を超える。
マンボウ、マグロ類に次ぐ産卵数の多さと前述の貪欲さと成長の速さが大量に漁獲され続けても資源量を維持できる要因とされるが、獲れば資源量は減少し獲らなければ回復するのは東日本大震災後の東北太平洋岸の状況で一目瞭然。成熟した白子はタチ、又はタツと呼ばれ珍重。「タラコ」は通常マダラではなく、スケソウダラの卵巣を指す。
タックルと仕掛け
ロッド:大型のパワー、数本が連なった際の大負荷に負けない強度と粘り腰だけでなく、PEラインの伸びのなさでダイレクトに伝わるショックをカバーし、バラシや糸切れを防ぐしなやかさも必須。マダラを食わせる「底叩き」をスムーズに演出可能なアクションを設定したグラスチューブラー素材2m前後の深海専用竿。使用オモリに対して「負けない」アクション&パワーのモデルをセレクトし底叩きと根掛かり回避を優先させる。使用オモリ350~400号でのお勧めはアルファタックルの今秋新製品「 ディープオデッセイBGXモデルG」。
リール:ロッド同様パワーは不可欠。大型の数珠繋ぎも余裕で巻き上げ、上層のサメ禍対策「魚が付いた状態で高速巻上」も可能な高い実用巻上力は重要なポイント。釣場の水深からPE6~8号を400mキャパシティで釣りは可能だが、根掛り頻発のポイントでは高切れなどライントラブルを配慮して糸巻量にも余裕が欲しい。お勧めは5サイズで9同等のパワーを有すミヤエポックの「R800」。
ヒットカラーを見出す面白さ「仕掛け」
0㎏超の大物や「白の提灯行列」が期待できる釣りだがハリスやミキ糸号数は地域や釣り場、船宿により異なる。荒根で根掛かりの激しい宮古沖ではハリス8~10号、50~70cm・ミキ糸14~16号1~1.4m。針は長軸&特殊形状でバレ難い、チモト付近が傷付かない、鋭い歯の並ぶマダラの口から外しやすいと3拍子揃った「ホタ鈎」17~18号がお勧め。深海バケ「フジッシャー毛鈎」も効果抜群。水温・水色で変わるヒットカラーを見出し釣果に繋げる面白さもある。針数は4~5本で充分。手返し良く、パスせずに全ての流しを投入する事が確実な「釣果」に繋がる。ステ糸は10号1,5~2mとし、オモリは根掛かりでのロストを考慮して多目に持参。海底に残っても環境に負担を掛けない鉄製のフジワラ「ワンダーⅠ」を推奨する。
集魚ギミックアラカルト
マダラには「ボーっと光る緑色」が極めて有効。仕掛け上部にはルミカ「ケミホタルイカ6in」と「ハイビット」をフックで連結して配し、各針のチモトにはルミカ「ルミコグリーン」とヤマシタ「マシュマロボールL・夜光イエロー」、空針ではニッコー化成「スーパータコベイト6in」やヤマシタ「パニックベイトアコウ・グリーン夜光」も併用、ド派手にアピールする。また深海バケを含む全てのハリにニッコー化成「激臭匂い玉7Φ」のイカゴロエキス配合タイプを通し差し、嗅覚にもアピールする。
小型主体もダブルありで満足!
アルファタックルのYouTubeチャンネル動画撮影を兼ね、10月27日に岩手県宮古港「ゆたか丸」の「第三ゆたか丸」をTEAMメンバーと石巻の鈴木さんグループのエサ&ジギング混合の9名でチャーター。2年越しで宮古沖マダラに初挑戦叶う。
期待の1投目、海面直下での縄切り禍に遭遇する波乱の幕開け~持病の目眩頭痛に悪戦苦闘。潮は程々に流れて釣りやすいが活性が上がり切らないか、アタるも掛からず、巻き上げ中や取込時に針外れ…食いの浅さがそこかしこで見て取れる展開で型も1~2kg級と小振りが目立つ。それでも終盤には大艫がジグで5kg級をキャッチし「らしい」画となり、船中トップは15匹。序盤のトラブル連発で出遅れた自身もダブル交え7匹と土産は充分、サイズ的に望み薄かと思われた白子もザックリ詰まった個体があり、季節の味覚を堪能する事が叶った。その後日による上下はある物の釣況は次第に上向き傾向。本稿掲載後も期待大の宮古沖だ。
マダラ料理なら洋食!
誰もが知る白身の総菜魚だが、血抜きを施した「釣り鱈」は一般流通の切り身とは一線を画す美味。正に「釣り人の特権」だ。この時期ならでは、の白子料理は白子ポン酢を筆頭に焼き物、揚げ物、鍋の具材…極上の味覚を余す事無く堪能したい。身肉は季節柄真っ先に鍋のイメージだが、筆者一押しはフライやムニエルなどの洋食。ここではフライのレシピを紹介する。
フライ3種(ノーマル・チーズイン・梅紫蘇挟み)
材料:皮を引いた柵/パン粉/鶏卵/小麦粉/塩/胡椒/スライスチーズ/練り梅/大葉
タルタルソース用:マヨネーズ/鶏卵/玉葱/パセリ(生、乾燥の何れも可)/塩/胡椒/ピクルス(なくても可)
調理のコツ
1.タルタルソースを作る。鶏卵は固ゆでしてみじん切り。玉葱はみじん切りにして水にさらし、辛みを抜いてから水気を絞る。パセリのみじん切りと共にマヨネーズで和え、塩・胡椒で味を調える。ピクルスのみじん切りを加えればより本格的。食卓に出すまで冷蔵しておく。
2.皮を引いた柵は適当なサイズに切り分け、ノーマルはそのまま、チーズと梅紫蘇の挟みフライにする物は半分の厚さに開く。この時一辺は繋げておくこと。
3.ノーマルとチーズ挟み用には軽く塩、胡椒を振る。梅紫蘇には塩のみ。(軽く塩を振り、水分を絞った保存用マダラなら塩は振らない)
4.チーズ挟みはスライスチーズを、梅紫蘇は開いた内側に練り梅を塗り、大葉を挟む。
5.小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣を着ける。
6.180℃の油で色よく揚げる。揚げ過ぎるとタラの水分や挟んだ具が油に溶け出し、はねるので注意。
7.挟み揚げはカットして盛り付ける。ソースは好みの物で良いが、梅紫蘇はそのまま、若しくは醤油で食す。
ゆたか丸 岩手県宮古港
℡ 090-4634-3130
マダラ乗合 ¥12,000
エサ・氷は各自用意