秋田県男鹿半島は東北で屈指のマダイやクロダイ、メジナなどの磯釣りの好ポイントとして知られている。例年であればゴールデンウィークあたりから釣れ始め、夏場の小休止をはさみ初秋から年末までがシーズンとなるが、近年の全国的な海水温上昇に伴い、今年は2月下旬から3月末までにクロダイの40cmオーバーが釣れ盛るというこれまでに例のない状況だった。
まさに掛かりすぎ!
10月中旬、例年であれば男鹿磯釣りの最盛期だが先述した通り釣期がずれだしているせいか釣果情報は今ひとつ。そんな中、熱き磯釣りが男鹿加茂沖磯のみさご島へ渡った。
今回のメンバーは遠山浩行さんと小笠原晴彦さん、澤木俊さんの3名。遠山さんは磯釣り歴30年以上のベテランで、これまで自作ウキなどを使用し良型クロダイやマダイをゲットしているがまかつファン。小笠原さんもがまかつファンで、2022年に「第41回G杯争奪全国がま磯(グレ)選手権大会」の地区予選で準優勝し、高知県で開催された全国決勝大会に出場するほどの強者。澤木さんは仕事の関係で秋田県に転勤してから男鹿磯の魅力に取り憑かれた熱き釣り人。
準備を整えた3人はそれぞれの選んだポイントで仕掛けを流した。
遠山さんの使用ロッドは愛竿の「がま磯INTESSA GⅣ」。このロッドは攻守ともに釣り人をサポートしてくれる絶対的信頼感で掛かった魚をタモ網へと誘ってくれる。針は「ナノグレ」3号を使用。
小笠原さんはグレ(メジナ)狙いで、ロッドは「がま磯グレ競技SPECIL Ⅳ」を使用。針は魚の口元へのコンタクト性最優先にした形状設計で、針先には貫通性能を極めた鋭利なスパットテーパーを採用した「掛かりすぎ口太」4号でチャレンジ。この針が後にドラマを作り出した。
遠山さんは釣り始めてからほどなくして20~25cmクラスのマダイやメジナをコンスタントに釣り上げるも、なかなか良型がヒットしない。小笠原さんはミチ糸1.7号にハリス1.7号、ウキはナナメウキの全層探り仕掛けで攻めており、アタリが出ると高確率で掌サイズのマダイやメジナをヒットさせ掛かりの良さを実証していた。
加茂周辺で唯一の釣果!
釣り始めて数時間後、小笠原さんのロッドにこれまでとは違う強いアタリがきた。小笠原さんは慌てることなく的確にアワセると良型の手応えが伝わってきたが、「がま磯グレ競技SPECIL Ⅳ」はなんなく45cmクラスのクロダイをタモ網へと導いた。その後も30cmオーバーのメジナを確実に針掛かりさせ、釣り上げた。
この日加茂沖磯にはなんにもの磯釣り師がクロダイやマダイ、メジナを狙っていたが、尺オーバーをゲットしたのは小笠原さん1人だった。小笠原さんの釣技の良さは勿論だが、食いついた魚を確実にモノにした針の性能も見逃せない日となった。