ダイワキスマスターズ2024 【投魂】Forth Cast シード権争奪戦

2025年シード権争い

予選リーグで惜しくも準決勝進出を逃した12名の選手は、来年度のブロック大会1回戦から参戦できる、シード権2枠の獲得を目指すシード権争奪戦に挑む。競技内容は全選手が1エリアに入り、90分間で釣り上げたキスの総重量を競うものだ。

キスマスターズ全国決勝大会では予選リーグ、準決勝、決勝で採用されているマンツーマン方式が採用されているが、このシード権争奪戦では各地の予選、ブロック大会を通して行われている「マススタート方式」と同様で、選手には馴染みの深いルール。それだけに、観戦する側としては各選手の釣り座のポジショニング、遠近の投げ分け、移動のタイミングなど、総合的な判断力を間近に見ることが可能で非常に興味深い。

そんな意味合いもあり、編集部は同時に実施される準決勝ではなく、あえてシード権争奪戦の選手に密着取材を敢行した。

左側旗際に集中

この1エリアでのマススタート方式で重要になるのは、最初に選ぶ釣り座と言っても過言ではない。なぜなら朝イチで誰にも叩かれていないポイントには、キスが群れで居る確率が高いからだ。

特にシード権争奪戦でエリアの端となる旗から約100m程度のゾーンは、予選リーグで使用されていない区間であり、前日も誰一人として探っていないポイントである。しかも競技が開始されると、エリアの外側からキスの群れが入り込む可能性もあり、最も有利と考えるトーナメンターも多い。

そんな中で一番旗に近い位置にクーラーを置いたのは、若さゆえの機動力を活かした山崎選手。どうやら前日の中夜祭の時から、この場所を取ると決めていたようだった。

旗から約200m程度のエリアには合計8名の選手がスタンバイ、シード権争奪戦のスタート時刻を虎視眈々と待っていた。

好スタート!

やがて6:00となって競技開始の合図があり、90分間の熱い戦いがスタートとなった。前述のようにこのゾーンは手付かずの状態だったためか、1投目から各選手がキスを釣り上げる。

選手の背後から見る限り、どの選手にもチャンスがある感じだった。釣れるキスにサイズのムラがあるものの、日頃から鍛えた技術と総合判断力で、ポイント移動をするかどうかの見極めも見ものだ。

一方、エリアのほぼ中央でポツンと1人、周囲からプレッシャーを受けずにマイペースの釣りを展開していたのは鬼沢選手だった。

開始から30分が経過すると、それまでの自分の状況と他選手の釣況を見比べて、作戦を変更したり移動を開始する選手が多くなった。

開始早々こそゾロゾロと連掛けが見られたが、キスの魚影が薄いためか時間の経過とともに単発で取り込む光景も増えてきた。ただし、サイズは15cmクラスの割合が増えてきたように見える。これはきっと昨日までの濁りが解消し、海が落ち着いてきた証拠なのではないだろうか?

チャンピオンの意地!

そしてシード権争奪戦エリアの右端では、2連覇を達成した清水選手が腰を据えて釣果を伸ばしていた。他の選手が離れると少しだけクーラーを移動させて、できるだけ同じラインに仕掛けを通さない工夫を凝らしていた。

清水選手は9月4日から現地入りして3日間のプラクティスを重ねており、その時のデータを活かし、サイズの良かった4~5色付近に狙いを絞ってキャストを続けていた。そこで型の良いキスを1匹だけでも掛けて、ジックリとサビきながら2~3色付近のキスの追い食いを誘う作戦を展開しているように見えた。

大会直前は「3連覇しか考えていない!」と明確な目標を語ってくれた清水選手。結果論とはなるが、予選リーグの第1投で、キスが掛かった仕掛けをフグに食い切られてしまうトラブルに見舞われたのが痛かった。しかし、準決勝進出を逃した悔しい気持ちを切り替え、このシード権争奪戦に向けて集中力をキープしていた。

中身の濃い90分

90分を戦った選手達にとって、この時間はとても短く感じたことだろう。エサ付け→キャスト→仕掛け回収→針外し→魚をクーラー投入という1投毎の所要時間は、平均すると8~9分程度だ。つまり90分では10投前後しか探ることができないため、時間効率を最も重要に考える選手が多いのも当然だ。

それだけ1投に掛かるウエイトは大きく、もしも仕掛け絡みが発生したり、ミスキャストをしたり、素針を引いてしまった時のタイムロスは悔やんでも悔やみきれないのだ。1投の大切さを知り尽くした選手が集う戦いだけに、それぞれの選手の工夫とスキルは、参考となることが凝縮された濃厚な90分であったことは言うまでもない。

そして7:30を迎え、シード権争奪戦もタイムアップ。全選手が健闘を讃え合いながら本部に帰着し検量に入った。

全選手の釣果は次の通り。

1位の清水選手、2位の鬼沢選手が来年のブロック大会1回戦から参戦のシード権を獲得した。他の選手も僅差の釣果となっており、レベルの高いスキルを如何なく発揮していた。この経験とほろ苦い想いは、きっと来年のキスマスターズの糧となるはずだ。

シード権争奪戦を競い合った選手達には、心から感謝を込めた拍手を送りたい。そしてまたこの秋田の地に、再びその雄姿を見せて欲しいと感じずには居られなかった。

準決勝!

一方、同時刻で2024年の頂点を決める決勝戦に進む2名を決める準決勝が実施されていた。

そして開始から90分が経過し、検量に向かった各選手の表情は…

【検量結果①】
角張選手297g、高井選手420gで高井選手が決勝戦進出!

【検量結果②】
穴田選手330g、水上選手419gで水上選手が勝ち上がり!

なお、惜しくも準決勝で涙を飲んだ、角張選手と穴田選手には、2025年キスマスターズブロック大会2回戦から参戦のシード権が与えられた。予選リーグから繰り広げられた両選手の活躍と実力は、誰もが褒め称える素晴らしいものだった。来年のこの舞台に向けて、更なる飛躍が期待される。

【投魂】Last Cast 2024決勝戦につづく…

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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