投げ釣り専科【vol.8】 下北半島投げ歩き PartⅡ

陸奥湾の北西部にある「鯛島」周辺では、船釣りでマダイが良く釣れる。この周辺では6月以降であればユムシをツケエサにした投げ釣りでビッグなマダイが狙えるかもしれない⁉

陸奥湾側で実釣

【メインターゲットはカレイ】3~4月の主な狙いはカレイ類。マコガレイを中心に、ミズクサガレイ(標準和名:ムシガレイ)、イシガレイ、ヌマガレイ、クロガシラガレイなどにも期待が持てる。今回は陸奥湾側の某漁港で三脚に投げ竿を並べてみた。

使用した仕掛けは一部でカレイに効くとされている、派手な集魚パーツを駆使した自作オリジナル。様々なパターンやバージョンを準備しており、ご要望や機会があれば随時詳細をご紹介したい。

【アオイソメはカット】カレイ釣りで特効エサとなるのはアオイソメ。1つの針に数匹を房掛けするのが一般的だが、その付け方に一工夫を加える。アオイソメをそのまま丸ごと針付けすると、キャスト時に空気の抵抗を受けて空中でクルクル回転し、エダスやミキ糸に絡み付くことがある。絡んだ仕掛けにカレイが食い付くことは珍しく、できれば避けたいトラブルである。

またアオイソメが一瞬の衝撃を受けて自ら身切れを起こし、胴体から切れて頭部分しか針に残っていないこともある。キャストした直後、自分の周囲に「イソメの雨」が降ってきたという経験はないだろうか? ツケエサがそんな状態の仕掛けを好ポイントに止めてアタリを待っていても、本命のカレイが口を使ってくれることは稀だと思われる。

また、空気抵抗が大きいということは、その分だけ飛距離が落ちるというマイナス面も出てくる。フルキャストしても狙ったポイントまで届かない状況であれば、可能な限り対策を打ちたいところだ。そのため、キャスト前に自分で尻尾を切りそろえる行為は、プラスにはなってもマイナスになることはないだろう。

ダラリと長いアオイソメは細い尻尾部分をハサミでカット!

そして最も釣果に直結すると思われるのは、カットした切り口から流れ出るアオイソメのエキスだ。その匂いは間違いなくカレイの嗅覚を刺激し、集魚効果が高くなると思われる。さらに、細い尻尾部分がなくなることで、切り揃えたエサの端から針先までの間隔が近くなり、魚の口が針先に届いてフッキングに至る確率がグンとアップする。

尻尾だけ食われてフッキングしないケースが減少することで、もしも食い付いた魚がカレイ以外のゲストやエサ盗りの場合、何がエサに食い付いたのか、その正体を把握しやすくなる。尻尾を切ることが勿体ないと思う人もいらっしゃるかもしれないが、他の大物投げ釣りにも通用することから、この春シーズンに是非とも試してみて頂きたい。

最初はマゾイ

第1投は陽の出前のまだ暗い時間帯だった。4本の竿を投げ終わり、少し一休みしてから最初に投げた竿を聞き上げると、ズッシリとした重さが伝わってきた。グングンと引っ張る手応えこそなかったが、その重さに対する期待で胸が膨らむ。やがて水面に魚のシルエットが現れ、そのサイズからタモ入れは必要ないと判断し、ラインテンションを緩めずにゆっくりと抜き上げた。

ファーストヒットは黒光りしたマゾイ。30cmを超えるサイズに更なる投志がメラメラと湧いた

アイナメはリリースサイズばかり…

クロソイの手応えに気分良くしたが、その後はツンツンと竿先を震わせる小さなアタリが続いた。大きくアワセを入れてから巻き上げると、何とか逃れようと暴れる魚信こそ伝わってくるが、その重さはクロソイの比ではなかった。

アイナメが3連続でヒットするも、全てが25cm程度のため優しくリリース

同じアイナメでも40cmを超えるサイズになると、首を左右に振って抵抗する際の衝撃は「ゴンゴン」という感じでハンパない。もしもミチ糸にPEラインを使用していると、最初の大きなアタリがダイレクトに伝わって、その衝撃で竿ごと海に引き込まれたり、三脚が倒されたりすることもある。

この対策としてはミチ糸に伸びがあって、クッションの代わりとなってくれるナイロンラインが適している。若しくは、ドラグフリー機能を持つ投げ専用スピニングリールが威力を発揮する。このタイプのリールは、大アタリでもミチ糸がスムーズに放出され、竿の飛び出しを防いでくれるばかりでなく、ドラグ音がアタリを知らせてくれるというメリットもある。置き竿スタイルで新しくリールを購入する場合は、ドラグフリー機能付きを検討する余地があるだろう。

やっと本命!

やがて干潮の潮止まり前の時合いを迎え、エサを付け直そうと聞き上げると、再びシッカリとした重さが伝わってきた。今度は引き寄せる途中で底に潜ろうとする抵抗を感じ取れた。この感触は間違いなくカレイ。そう確信しながら取り込んだのは、30cm前後の魚体だった。

無事に取り込んだのは本命のカレイ。ムシガレイかマガレイか、魚種判定にしばらく悩んだ…(笑)

カレイが良く釣れるのは、満潮や干潮の前後に訪れる潮の変わり目だ。特に大潮や中潮などの干満差が大きい日には時合いがハッキリと把握できるほどで、一気にバタバタとアタリが集中することがある。一方、小潮~長潮~若潮などの潮の動きが少ない日は、ポツリポツリと釣れ続く場合もある。

この日は大潮直前の中潮だったこともあり、短時間でカレイのアタリが続いた。

カレイがダブルで掛かると何とも言えないハッピーな気分となる(笑)
釣れた数枚のムシガレイの口からこんなムシ(ウオノエ?)が出てきた

これからが本番

今回の「下北半島釣り歩き」の実釣は、陸奥湾沿岸の漁港で行った。約6時間での釣果はご覧の通り。

ムシガレイをメインとして8枚のカレイとマゾイ1匹をキープ。(アイナメはオールリリース)

決して満足できるサイズではなかったが、1回のトラブルもなくスムーズに時合いに対処できたのは、釣果以上の収穫だった。例年通りであれば、これから6月末頃までが陸奥湾沿岸の投げカレイシーズン。複数種類のカレイ、そして50cmを超える「座布団」クラスの大型カレイの実績もあり、釣行計画の一部として検討してみてはいかがだろうか?

ただし、「Part Ⅰ」でお伝えした通り、下北半島でも釣り人のマナーの悪さが目立っており、くれぐれも他人の迷惑にならない行動と、全ての釣り人の手本となるキャスターマインドを持ってチャレンジして頂きたい。

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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