佐藤偉知郎が挑む雄物川サクラマス「ナイロンを活かした静寂の攻防」動画公開中

4月1日からいよいよ秋田県のサクラマス釣りが解禁となる。主に米代川、雄物川、子吉川の3水系がフィールドとなり、その3つ全てが全国区のサクラマス名河川となっている。その中で、サクラマスカリスマアングラーの佐藤偉知郎氏は米代川をメインフィールドにしているが、国内では自身未踏、夢のサイズ「70cmオーバー」が一番釣れやすいのは雄物川だと語る。

70に近い川、雄物川本流

その理由は、まず雄物川本流と支流の玉川で釣れる個体の特徴(太くて頭が小さい砲弾型)が、大型のサクラマスが多く遡上するロシア・コッピ川や富山県黒部川と似ていること。「以前黒部川でよく釣れた70cm前後のいわゆる黒部鱒。温暖化や海水温の上昇などによってその緯度が上がり、それらの個体が秋田県の河川に遡上しているように思える」とも語る。

そして、雄物川本流は地形的に河川と道路が離れている所が多く、ポイントを探すのが非常に困難で、かつ底質が石や岩ではなく大きな岩盤帯であるため、流れが良さそうに見えても深過ぎることが多い。米代川や子吉川では「いかにも」というポイントで釣れるが、雄物川本流ではそれが通用しないことも多い。とにかく何度も通って釣れる水位、ポイントを見つけなければならないが、逆に釣り人が足を運びにくく、未開拓河川となっている。「玉川まで遡上してしまうとさすがに競争率も高く釣れにくいが、雄物川本流であれば4月の水温が低く一番釣りやすい時期に70cmオーバーが釣られないどころか、ルアーを一度も見ていない可能性もある。雪代があまり出ていないタイミングを狙えば可能性は高い」と偉知郎氏は語る。

なぜナイロンにこだわるのか?

さて、同映像では偉知郎氏がメインラインにナイロンラインを使用する理由を中心に解説している。ナイロンならではの程良い伸びによる、キャストフィーリング、ベストタイミングでのフッキング、バレにくさなどの利点を好むが、意外に知られていないのが少ない力でルアーを効率的に飛ばす効果。細いPEラインと比べてどうしてもその太さが先行し「ナイロン=太くて飛ばない」と考えがちだが、極端にいえばゴムのような伸び効果により、パワーをロッドだけでなくラインにも貯め、その太さによる干渉を補うことができる。それでもPEラインより飛距離は落ちるのは否定できないが、実際使ってみると思ったよりも飛ぶことに驚くはず。そしてPEラインにはない特徴にメリットを感じられるはずだ。

それでもPEライン派からすると「飛距離のダウンは我慢できるが、感度面の鈍さはちょっと…」という人も多いだろう。確かに、スプーンやバイブレーションなどで、岩や岩盤のボトム周辺を繊細に釣るような釣り方では感度が優先されるが、魚のバイトを全て捉えるのが正義が良いかというと一概にそうとはいえない。「感度が良いということは魚からも同じであり、それが違和感となる。理想のフッキングは、魚がルアーを深くくわえたまま反転した時に、カウンター的にアワせること。ナイロンはある意味それをオートマチックに調整してくれる」。これがPEラインの場合は、深くくわえる前に違和感を覚えて放してしまうリスクがある。しかし、PEゆえに浅いバイトを捉え、即フッキングが上手くいき、皮一枚でなんとか取り込める可能性も勿論ある。PEラインを使用しある程度バラシを承知で、とにかく掛けることを優先のするも良し、ナイロンラインでヒット率は下がるが掛けた魚はできるだけ確実に取り込むのも良し、だ。

とはいえ、ナイロンラインなら何でも良いわけではなく、ものによって伸び具合、直線強度、結束強度、耐摩耗性も異なる。偉知郎氏が絶大な信頼を置き、伸びのちょうど良さと強度の面で昔から愛用しているのはバリバス「スーパートラウトアドバンス ビッグトラウト」12Lb。このラインでビミニツイストを組んでからフィッシャーマンノットでショックリーダー「スーパートラウトアドバンス エクストリームショックリーダー」を20、22Lbを結束している。

スーパートラウトアドバンス ビッグトラウト」。映像の裏話で、ヒットの前に根掛かりし、強く引っ張ってルアーを救出できた偉知郎氏はそのラインの強さに思わずバリバスの謳い文句である「プレミアムクオリティ」と発した直後、嘘のようにヒットとなった
4月の雪代によって冷たい水を考慮し、適度な伸び、軟らかさをもたせた「スーパートラウトアドバンス エクストリームショックリーダー

ナムサンアクションで流芯から誘い出し!

映像のポイントは、雄物川の中流域。上流から見て右岸側に緩やかにカーブ、底質は砂中心だが、所々に石や木などのストラクチャー、カケ上がり、溝が絡んでいる。同ポイントにおいて、編集部的には石組みの下流にできたヨレを狙い、過去にそこで何本か獲ったことがあるのだが、偉知郎氏が狙ったのはそこではなく、やや上流の流芯。お得意ともいえるヘビーシンキング系ミノーのソウルズ「ナムサン17」を使用し、アップクロスでキャスト後、3回ほど縦の大きなジャークを入れてからただ巻きする、通称「ナムサンアクション」で攻める。流芯の深みに潜むサクラマスに対し、ジャークによるブルブル!ブルブル!と強烈な波動でスイッチを入れてチェイスさせてから、ただ巻きでのターンで食わせるイメージ。

実はこの前日にも同じ場所、同じアクションで2ヒットさせているのだが、その模様はサクラマスDVD「ジャーキングスピリットIX」に収録している。特に雄物川で最初にヒットさせたサクラマスは…と、その内容はDVDをぜひご覧頂きたい。

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釣り東北WEB編集部

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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