熱投幕開け
早朝5:30、前夜祭の楽しい余韻を残しながら、各選手は開会式が行われる大磯町役場下の大会本部付近に集合した。まだ暗いうちから本部の設営に従事した、スタッフの皆様には心から感謝を申し上げたい。
1回戦開始!
開会式が終了すると、各選手は思い思いのポイントを目指して移動を開始。前日の情報ではキスの活性は低く、しかも群れが薄いようで、アタリがあったら連掛けを狙うよりも1匹ずつでもバラさずに確実に取り込む作戦が有効に思われた。
編集部は通称「電光掲示板下」にクーラーを置き、開始時刻を待った。左隣には実力者の力石選手、右隣にはルアーマンというシチュエーション。
6:30となり競技開始。編集部は前日の下見で比較的アタリが多かった3色以内の近場を攻めることに。前日にアタリがあっても掛からないケースがあったため、仕掛けにはやや大き目の針をセレクト。
第1投は1色半で微かなアタリ。慎重に取り込んだのは10cm程度の小型ながらも検量対象となるキスだった。
この大磯海岸は、波打ち際にある「アゴ」と呼ばれるキツいカケ上がりと、日本海側では滅多に見られない長い波足が特徴。この2つの要素でせっかくキスをフッキングしても、バラシが発生するリスクがあったため、無事にファーストキスを仕留めてホッと一息。
良型キスはどこに…
その後も数投に1回、ポツポツと単発で小型のキスが掛かる展開。周囲を見渡す限り匹数は決して悪くないが、今大会は総重量勝負のため、良型キスが1匹でも入れば上位20名による2回戦(=決勝戦)に進出する可能性がグンと高まりそうだ。
そんな時、2色を切ったところで絶好のアタリ! 波打ち際のバラシリスクを考えて、やや強引気味に魚をランディング。しかし、そこには細長い本命のシルエットではなく、朝日にキラキラと輝く白く平べったい魚だった…。
そして残り時間も60分を切って、いよいよボーダーラインが気になる状況。ここまでの釣果は小型キス6匹。フグなどの嬉しくないゲストはも良く口を使ってくれて、魚が居ないポイントではないのだが、如何せん良型が入らない。
痛恨!
焦りを感じながら丁寧にサビき、時には仕掛けを止めてアタリを誘っていると、この日一番の明確なキスのアタリをキャッチ! 思わず「やった!」「絶対バラさないぞ!」とつぶやきながら、中層を引く速度でリーリング。
ところが…
波打ち際まで寄せたところで高波が押し寄せる。「ヤバいっ!」と言う間もなく、仕掛けが波に揉まれて反転してしまった。嫌な予感を抱きながら仕掛けを回収すると、案の定そこに魚のシルエットはなかった…。痛恨のバラシだ。
気を取り直して次のキャストに賭けると、再び明確かつ大きなアタリ!「今度こそ!」と波が寄せるタイミングを計りながら取り込もうとすると、今度は「アゴ」にオモリが引っ掛かってしまった。何と、2投連続のアクシデント。しかも良型と思われるキスを取り逃がしてしまった…。
1回戦検量を終えて
2投連続バラシのミスが命取りにならないようにと祈りながら、編集部は本部に戻り検量を受ける。ただただ1gでも多い数字になることを願っていたが、その結果は6匹「90g」だった。
1回戦の全選手の結果は次の通り。
通過ラインの20位は真間選手(神奈川)、編集部は90gで次点の21位という結果に終わった。8gの差での決勝進出を逃し、来年への課題として猛省するしかなかった。
最後まで諦めない姿勢
ここで特筆したいのは、終了間際の30分前の田島選手(通称アーロン名人)の行動だ。編集部の背後を「ダメだ~」「まだ2匹です」「最後は地引網の後に賭けてみます」と言いながら、9:00に始まる観光地引網ポイントを目指して移動して行った。
しかし、そのポイントには危険があるようで釣り座を構えることができず、少し戻った位置でキャスト。そして着底からそれ程の時間も置かずに仕掛けを回収していた。すると、波間から良型と小型キスが現れ、見事に2連掛けに成功していた。
こちらは本部まで徒歩で戻る時間の余裕を見て、仕掛けを外していた瞬間だったので、アーロン名人の一撃には驚くと共に、最後の1投1秒まで諦めずにギリギリまで攻める姿勢の大切さを突き付けられた。キス釣りトーナメントでは基本中の基本で、何度も失敗し成功も重ねていたことなのだが、この舞台で若き世代に手本を示されてしまった。
前年度優勝者の齋藤和典選手を加えた決勝戦は、10:30分開始で2時間の戦い。短時間で今年のチャンピオンが決定する。
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つづく…