【連載】ディープマスター釣魚録WEB #2秋田・鳥海沖の極上!脂噴きオキメバル

秋田/岡本光央

今回紹介するのは自身の東北釣行始まりの船、20年来のお付き合いとなる秋田県平沢港の「飛龍」。オキメバルの神様と称される佐藤登咲船長の下、トップシーズンを迎えた秋田県・鳥海沖の極上ウスメバルにこだわりの仕掛けで挑む。

脂噴きメバルとオール疑似

オキメバル(標準和名:ウスメバル)自体は自身のホームグラウンドである関東圏にも分布し数、型共に遜色ない釣り場もあるが「ここのオキメバルでなければ」が自身の本音だ。

強いこだわりの理由は「勝手に命名・脂噴きメバル」の存在に他ならない。飛龍のホーム、鳥海沖のオキメバルは釣り上げた際に口から噴き出すほど腹腔内に脂肪塊を蓄えたグラマラスボディを有する個体がおり(25~30㎝に多い傾向だが、時に35cm超の大型にも「脂噴き」が存在)その味覚たるや関東周辺のそれとは全くの別物。20余年前の初釣行から心を鷲掴みにして離さない魅力溢れる存在なのだ。

口腔内から噴き出す大量の脂肪塊。鳥海沖メバルの真骨頂
フジッシャー毛鉤+マイクロイカタンがオール疑似の基本形

そんなメバル達と対峙する際のもう一つのこだわりが10年来の「オール疑似」。現行の同地スタイルに従いオキアミコマセこそ併用するが、フジッシャー毛鈎のメバル仕掛けに配すツケエサは「マイクロイカタン1.8inch」を筆頭としたニッコー化成のワームオンリー。交換不要の手返し良さと手指や服、船縁を汚さぬ清潔感、そしてホタルイカや短冊エサと遜色ない釣果。ルアーフィッシングに通ずるカラーセレクトの面白さも相まって、新たな「オモシロさ」を生み出してくれる。

「飛龍」でのタックルと仕掛け

今回セレクトはHBオキメバル260とAC-3JPCのコンビ
フジッシャー仕掛けは各色持参
マゾイ狙いでバス用ワームを混ぜ込むことも

【ロッド】6対4~7対3アクション、長さ2.3~2.6mのオキメバル専用竿。硬軟は各自の好みにもよるが、使用オモリに対し「やや負け気味」のセレクトがセオリー。使用オモリ250号に対し、150号クラスを用意する。素材は跳ねを抑えるグラスファイバー製が圧倒的に有利。今回はアルファタックル「HBオキメバル260」をセレクト。

【リール】水深150m前後が中心だが「良型10匹以上連なる」のは勿論、ホッケの満艦飾でもガンガン巻いてオマツリを回避するパワー&スピードが必須。併せて口切れしやすいオキメバルを確実にキャッチできる高性能のドラグも不可欠。これらを踏まえて筆者はミヤマエ「コマンドAC-3JPC」を使用。ラインは高強度PE「ダイバーX8」6号。

【仕掛け】藤井商会「フジッシャー毛鈎」細地ムツ14号のオキメバル専用仕掛け(ミキ糸8号70cm・ハリス3~4号30cm)10~15本針。水温や水色によりヒットカラーが異なるため紫系、緑系、青系、橙系、赤ピンク系など各色を持参する。夏季は緑、紫、青が強い印象だが、あくまで傾向で絶対ではない。仕掛け上端には藤井商会「水切板」などの小型ヨリトリ器具。併用するコマセは積極的に振り出すスタイルではないこと(コマセを振ると群れが散るとされる)、水中抵抗が少ないことからステンレスカゴが主流。ただし、使用コマセがオキアミかアミかで網目サイズを選択する必要がある。状況に応じて「輝泡」など小型水中灯の併用もあり。オモリはポイントに根掛かりが少ないことと「船で仕掛けを曳いて反応に合せる」スタイルを踏まえ「横方向の潮当たり」=糸フケの少なさを優先し鉄製より体積の小さい鉛製のフジワラ「スカリー」をセレクトする。

【疑似餌】コマセのオキアミとサイズ、カラーをリンクさせたニッコー化成「マイクロイカタン1.8inch」を基本に、マゾイに色気を出す際にはバス用「ZAZAリーチ」など大型ベイトの併用合もあり。

【ツケエサ】オール疑似の筆者は使用しないが、基本はホタルイカ壺抜きの肝付ゲソ。口から眉間をチョン掛けする。手返し優先なら幅5~6mm、長さ数cmのイカ短冊。着色や味付けはお好みで。ポイントや時期によりイカよりもサバ短冊(イカ短冊と同寸)やワカサギ、ハゼ、モツゴ(下アゴから上アゴに針掛け)、シラウオ(下アゴから頭頂の硬い部分に針掛け)など小魚が有効なケースもあり、各種持参が◎。

6月15日の釣行から

2年振りの釣行となるこの日は好天に恵まれ午前5時40分、鳥海沖「白瀬」でスタート。1投目はアタリが遅く数が付かなかったが、2投目には良い反応を捉え着底直後から全員のロッドが次々と躍り込む。アタリ毎に針間隔分ずつ巻き上げ合図まで誘い上げ、この日一番の25~35cm9連に破顔一笑。

以降も数の変動はあるものの、オマツリ以外での空振りは皆無と順調。序盤でサバ、中盤以降ホッケが回る場面もあったが数は少なく大事に至らず。午後0時30分の納竿までに36cm0.7kg頭に「オール疑似史上最高」クーラー一杯の50匹超えに大満足。エサ使用のメンバーは更に数を伸ばし、近年の釣行ではトップクラスの食い気を見せた。

見よ!これが鳥海沖のグラマラス・オキメバル
でっぷりとした腹部

そして勿論、お目当ての「脂噴きメバル」を存分に堪能。首の付け根が盛り上がって体高がある25~30cmの個体は腹腔内に白色の脂肪塊を蓄えた、まさに極上品。肝醤油の刺身や炙り、煮付けは言うに及ばず「ただ塩を振って焼いただけ」でその美味さには舌を巻く。今回惜しむらくは自身の「裏本命」大型マゾイとの対面が叶わなかったこと。好物の刺身が食べられず残念だが次回釣行への理由付けができたので!?よしとしよう。

ちなみにこの日は被害0だったが、夏季はサメ禍(奪い食い)が多発する鳥海沖。メバルの食い自体は活発ゆえ、釣行時にはサメ被害回避装置「海園」の持参・活用を強くお勧めしたい。

サメ被害回避装置「海園」
40cmクラスのホッケも交じる
これも良型のマアジ

船宿・遊漁船情報

飛龍(秋田県にかほ市・平沢漁港)
・TEL 090(3122)6552
・オキメバル…3~10月
・乗合 ¥13,000
・氷 ¥500 エサ・コマセは各自持参

WRITER

岡本光央

アルファタックル、ミヤエポック、フジワラ、ヤマシタ、ゴーセン、KINRYU、ルミカ、藤井商会、NIKKOフィールドスタッフ

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深海釣りの第一人者。埼玉県川口市在住のフィッシングライター。著書、番組出演など多数。釣り東北本誌にて長年「ディープマスター釣魚録」を連載。

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