青森県中泊町 “さかなと海”ふれあい体験学習 リポート

会場となった小泊漁港では釣り教室も行われた

海、魚、漁業に触れよう!

令和6年7月5日(金)、青森県中泊町の主催により、“さかなと海”ふれあい体験学習が開催された。会場となった小泊漁港には、小泊小学校(2、3、5年生)、薄市小学校(5年生)から総勢27名の生徒が集まり、釣りの体験学習をはじめ魚や海に関わる知識を学ぶ貴重な機会となった。

成田組合長の挨拶の後、各学年毎に設定されたカリキュラムに従って体験と学習が進められた。

魚釣り体験

両校の5年生は釣り体験場所の岸壁に移動し、サポートスタッフが準備してくれていたタックルでチョイ投げ釣りを体験することに。

生徒達は2人1組に分かれ、構え方、竿の振り方、投げ方を教わり、そして投げる前に周囲に友達が居ないかなどの注意事項に対し、真剣な表情と眼差しで頷いていた。

この日が初めての釣り体験となる生徒も多く、最初のうちはミチ糸を持つ指を離すタイミングが掴めず、投げても思う方向に飛ばなかった。
しかし、サポートスタッフからのアドバイスを素直に聞き入れ、徐々にシッカリとキャストできる生徒が増えてきた。

会場では表層を泳ぐ魚の姿を生徒が発見、ツケエサのアオイソメを見せた状態でその魚を狙う「サイトフィッシング」が一気に広まった(笑)。

その魚の正体は…

フグ、フグ、フグ…(笑)
それでも魚のアタリをキャッチし、引きを体験した生徒達からは大きな笑い声と歓声が上がり、岸壁には生徒達の楽しそうな空気で覆われていた。

予定していた75分の釣り体験会はあっという間に経過したが、釣りへの興味やこの体験が生徒達の心には強く焼き付いてくれたことだろう。

また、生徒達に釣りの基本を手取り足取り教えてくれて、事故もなく楽しい雰囲気を作ってくれたサポートスタッフの皆様の活躍には感謝を申し上げたい。

サポートスタッフのおかげで生徒達は楽しい体験となった

漁協の仕事を見学

釣り体験を終えた生徒達は、続いて高級魚マツカワガレイの養殖場を見学した。

中でもグリーンライトに照らされた水槽では、二回りほど大きなマツカワガレイばかりが元気に泳いでおり、生徒達は大きく育っている理由を聞きながら、海や魚の神秘さに驚きの表情を見せていた。

続いて漁協内で漁師が潜って採捕したサザエの生簀で説明を受けた後、加工所に移動してスルメイカを「のしいか」に加工し袋詰めする工程を目の前で見学。

のしいか作りの加工場はスルメイカを焼いた香ばしい匂いで満たされており、食欲を掻き立てられた付き添いの先生が思わずつまみ食い、生徒から突っ込まれるシーンも…(笑)。

自分が袋詰めした「のしいか」を記念のお土産として頂くと、「お父さんのお酒のオツマミで食べてもらいます!」との言葉に、加工所内は笑い声で満たされていた。

質問&食事会

見学や体験を終えた生徒達は、漁師や漁協職員の仕事に関する説明を受けた後、「何か質問がある人はいますか?」の声に、多くの生徒が積極的に手を挙げていた。

漁業に携わる大人達からは、1人でも多くの生徒が地元に残り、漁業や海に関わって欲しい願いの声が伝えられた。この日の体験や学習が心に響き、将来は中泊の漁業を支える人材となってくれることを期待を持たせてくれた1日となった。

最後は小泊漁協婦人部の皆様が心を込めて作ってくれたサザエカレーと海藻の酢の物が振舞われた。

生まれて初めてサザエを食べるため、恐々と口に運ぶ生徒も居れば、「美味しい!」と元気いっぱいにお代わりに向かう食べ盛りの生徒の姿も続出していた。

今回の“さかなと海”ふれあい体験学習は、中泊町と小泊漁協のコラボで毎年開催されている。当地では少子高齢化、過疎化の進行により、地元の基幹産業である漁業の存続が大きな課題となっている。
また、地域の子供達は浜育ちでありながら、生活環境の変化に伴って海や魚に触れ合う機会も希薄になっている。

全国各地の漁業の町でも同じような傾向があるかもしれないが、今回の体験をした生徒達の中から、将来の中泊町を担う人材が出てくることを願うばかりだ。


みんなが口にした料理と素材に、その想いが込められているのではないかと感じさせられた。

WRITER

釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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