秋田県内のアジングは、例年だと4月中~下旬から港湾エリアで釣れ始め、ちょうどゴールデンウィークにピークを迎えますが、今年は2~3月には既に男鹿半島周辺で釣果の声が聞こえていました。その状況から、編集部が仕事帰りによく通う弊社の近所にある向浜サーフもシーズンインが早いと思っていましたが、予想に反して5月上旬を過ぎても一向に良い情報は入りませんでした。同月下旬になってようやく始まった感が漂い、5月末に調査出動となりました。
サーフアジングの魅力
アジング=港湾エリアというイメージが強いですが、秋田中央~県南の延々と続くサーフも実はアジの好ポイントです。そして、釣れる時間帯がはっきりしており、日没後の30分間が最も釣れやすい時間帯です。しかも、釣れるのが岸際中心となるため、超効率的な釣りを楽しむことができ、仕事帰りにちょっと魚の引きを味わい、晩酌の肴を調達するという人も少なくありません。
スタイルに応じたタックル設定
5月末、勤務時間中にせっせと釣りの準備を合法的に済ませ、午後6時に退社した編集部は近所の砂浜へと向かいました。5分でももさだ海岸の駐車場に到着すると、同じく仕事帰りの協力者Kさんと遭遇。夕日が沈む絶景の日本海に癒されながら砂浜へ向かいました。
一つ気がかりなのは風向き。予報では午後から弱い西風~南のはずでしたが、午前中からの東風のまま。釣りやすい条件ではありますが、プランクトンなどのアジのベイトが沖に離れるためか、釣果が落ちることがあります。しかし、来た以上は釣りするのみ!
ライトタックルの利点を活かして即釣り開始。編集部Sはジグ単、近距離戦を意識した正統派アジングタックル、編集部Kは明るい時間帯のロングキャストを意識した7ftクラスのメバリングタックルをそれぞれ使用しました。
【編集部Sのタックル】
ロッド:シマノ「ソアレエクスチューンS58SUL-S」
リール:シマノ「ヴァンキッシュC2000S」
ライン:バリバス「アジングマスター [エステル]LEMONi(レモニー)」0.25号
リーダー:バリバス「アジングマスターショックリーダー[フロロカーボン]」1号
【編集部Kのタックル】
ロッド:オリムピック「GOFS762UL-T」
リール:シマノ「ストラディック3000M」
ライン:バリバス「アジングマスター エステル レッドアイ」0.4号
リーダー:バリバス「アジングマスターショックリーダー[フロロカーボン]」1.2号
エステルラインの特性
軽量リグを扱うアジングのようなテンションをかけにくい釣りには、直進性と低伸度が特徴のエステルラインがとても向いています。実際、今回使用してみて、サーフにおいてはロングディスタンスでも軽量リグが砂を擦る感覚すら明確に伝わってきました。
ただ、エステルラインはその特性ゆえリールへの馴染みが悪いことで基本的にはライントラブルも起こりやすいのがデメリットです。しかし、今回使用したバリバスの「アジングマスター」シリーズはこの課題をクリアすべく適度なしなやかさを持たせています。実は編集部S、Kは今回釣行直前にそれぞれ新しいラインを巻くという一番トラブルを起こしやすい状態で使用したにもかかわらず、2人ともノントラブルでした。
バリバス「アジングマスター [エステル]LEMONi(レモニー)」
かなり発光が強い膨張色のレモンカラー。軽量なリグを扱う繊細な釣りだけに、ラインの位置、テンションなどの状態や、その変化から得られるボトムタッチやバイトなどの情報も重要となるが、まづめの暗い時間帯でもラインがとても見やすい。サーフにおいては、波打ち際での複雑な波や流れ、北防では足場の高さゆえの風の影響など、情報伝達を妨げられがちですが、エステルラインの特性はこれらを軽減してくれます。
バリバス「アジングマスター エステル レッドアイ」
ナイトゲームで使用される白系ヘッドライトに対し、くっきりとシルエットが現れるカラー。日中のクリアな水色ではカモフラージュカラーともなり、ナーバスなデイアジにも効果を発揮します。
時合いは飛行機が運んでくる!?
日没までは1時間近くあり、時合いにはまだ早いですが、調子が良い日だと明るいうちに釣れ始め、そしてサイズが良い傾向があります。前述した風向き的に微妙な条件となれば期待するのは難しい状況が続きました。
「最近はあの飛行機が来たら時合い到来ですよ」と協力者Kさん。どうやら時間的に午後7時10分の秋田空港到着便が着陸態勢に入った頃が日没の時間帯とマッチしているようです。
面白いものでその直後、編集部Sにヒット!「波打ち際で釣れました!」と今季初のアジに嬉しそう。これを聞いて、それまでメタルジグのロングキャストでリアクションバイトを狙っていた編集部Kもジグヘッド2g、2inワームのジグ単にチェンジすると、同じように波打ち際でヒット。引きが強すぎて他の魚かと思ったほどでしたが、まぎれもなく本命アジ。サイズは27cmの良型でした。
サーフでのヒットパターン
波打ち際の5m先にキャストし、ラインをやや張りながら5秒程待って沈めた後、ラインが波になるべく食われないようにロッドを高めに保持。アピールするためのシェイキングを5回、レンジキープのためのポーズを3秒、これを1クールとして2回目のポーズでクン!と明確にアタリが来ました。
次の1投でも全く同じパターンでヒット。引きは先ほどよりも強くはなかったものの、25cm前後のアジがヒット。しかし、引き寄せるタイミングが悪く、波に揉まれているうちにバレてしまいました。この反応が最後。時間にして10分、あっという間に時合い終了となりました。
それでも、一瞬にして釣りで一喜一憂できる環境にありつける秋田クオリティー。贅沢この上ないです。
北防波堤でデイアジング
サーフの状況は確認。では、ベイエリアはどうかと、翌朝編集部Kは秋田港北防波堤へ向かいました。
同所は、土日祝祭日に開放している有料管理釣り場で、ファミリーフィッシングのイメージが強いですが、様々な釣りのエキスパートを満足させます。アジングにおいてはデイゲームが成立する貴重なフィールドです。その理由は、まずポイントの水深が平均5~6m、深い所で10mと深いこと。河川からの水が流入することでアジの警戒心を和らげる適度な濁りに常時覆われ、ベイトも豊富です。平日がクローズするため週末に人が集中し、ポイントは早い者勝ちですが、サビキのアミを偏食しておらずワームにも反応しやすいことが挙げられます。
約800mの長さがある防波堤の中で、基本的には水深があり、潮通しの良い先端が数、サイズ共に有望です。ちなみに前週は42cmというメガアジも釣れていました。ただし、先着20名となっており、早い時間から並ばないと入れないリスクがあります。
シーズン的な周期で周辺にアジの群れさえ入っていれば先端以外でも十分釣れますが、北向きの水色が良い通称男鹿側はサビキ釣り向きで(実際サビキ隊が並ぶ)、アジングなら濁りが男鹿側よりきついパイプライン側のほうが成立しやすいです。ということで、200m付近のパイプライン側からチェックを入れてみました。
北防は五目スタイルが楽しい!
まずは前日のヒットリグ、2gのジグヘッドにストレート系の2インチワームをキャスト。すっかり陽が上がってデイゲームの様相のため、あまり上~中層には浮いていないだろうと、フリーフォールで確実に底を取ります。シェイキングで誘いを入れ、浮き気味になった分、ポーズを加えてカーブフォールでレンジを下げボトムレンジをキープ。このパターンでじっくり手前に寄せてくると、ドフッというバイトがありました。突っ込みが重いこの引きは…クロソイでした。
パイプライン側は5m沖に基礎となるゴロタ石が防波堤と並行してびっしりと沈んでおり、ソイ、カサゴ、メバルなどの根魚マンションとなっています。アジングに絞れば外道かもしれませんが、五目釣り的にこれらもターゲットにしたほうが楽しいです。次のキャストでもクロソイがヒットしました。
アジはどこにいる?
さあ、アジはどこだ?と、先端のほうに向かうと、400m付近のパイプライン側でアジングをしていた方が15cm程のアジを連発させていました。ここから先端側だな…と目星をつけて、500m付近のパイプライン側を狙ってみました。すると、1stフォールにココココッといかにも小アジのようなアタリ。2度、3度アタるも乗せられなかったり、抜き上げ前にバラしたりしながら、15cm程の本命アジをキャッチ。前日のアジよりも小さいですが、デイゲームということで満足度は高いです。
その後も、アジが回ってくればSから借りたライトな正統派アジングタックルで上層狙い、アジの気配がない時間はやや強めな自分のタックルでボトムの根魚を狙いとタックル=エステルラインの号数の使い分けをしたところバイトをコンスタントに捉えられ、デイゲームも存分に楽しむことができました。