投げ釣り専科【vol.10】下北半島投げ歩きPart Ⅳ

青森県下北半島の投げ釣りポイントを巡る企画「下北半島投げ歩き」。時期的に良く釣れるであろうカレイを本命とした実釣取材の模様をお届けします。果たして満足な結果が得られたのでしょうか?

風裏を探す

取材当日は深夜からの強い西風が吹き続け、投げ釣りには不向きな状況でした。当初は大間~佐井方面の釣り場を予定していましたが、とても対応できそうな感じがせず、風裏となりそうな大畑周辺で投げることにしました。

4本竿で勝負!

この日は晴天ながら強風が吹き付けているため、短時間の勝負も視野に入れながらも竿は4本セットし三脚に並べました。準備が整うと水平線から朝陽が顔を出します。

ベタ凪に見えるのは風裏ならではのこと

1投目からヒット!

今回の取材にはアオイソメを多めに持参しました。これだけあればエサ切れを心配せず、2~3箇所のポイントを釣査することができそうです。

エサは余るぐらい準備するのが投げ釣りの鉄則!

陽の出時刻が経過して間もなくのこと、右端の竿先が小刻みに揺れているのに気付きます、すかさず糸フケを取ってから大きくアワセを入れると、明確な魚信が伝わってきました。その手応えは期待に反して軽く、スムーズに抜き上げることができました。

最初のヒットは25cmのリリースサイズのアイナメ

時合いの訪れ?

リリースサイズながらもアイナメが釣れ、ボウズを逃れてホッと一安心(笑)。すると隣の竿のミチ糸が弛んで糸フケが出ています。これは魚が掛かってからオモリを引っ張りながら手前方向に泳いだ証拠。カレイであれば良型の確率が高いパターンです。

再び大きくアワセを入れると、先程よりも強い反応があり、ゴンゴン&ズッシリとした手応え。慎重に引き寄せると、水面に茶色い魚体が浮かび上がります。タモを使うほどではないと判断してゴボウ抜き…。ところが予想以上にメッチャ重いではありませんかっ!

最初はホッケと見間違え(笑) ついドヤ顔をしていました

無事に抜き上げに成功したものの、魚を見てから反省…。それは40cmを超えるアイナメでした。もしもスッポ抜けしたり、ハリス切れなどでバラしていたら、泣くに泣けなかったでしょう。

続いて本命登場!

良型アイナメに気を良くし、続いて他の竿を手にして聞きアワセを入れます。するとさっきのアイナメのような重さはありませんが、その魚はリーリングの最中に底に潜るような、カレイ独特の抵抗をみせます。決して慌てず道糸のテンションを一定にキープし、その魚をスムーズに取り込むことができました。

やっとアベレージサイズの本命をゲット!

3本連続で仕留めたのは30cm前後のマコガレイ。サイズ的には決して納得していないながらも、ミッションである本命の登場に肩の荷が下りました。

その後は同サイズのマコガレイ2を枚追加し、「いよいよ爆釣モードか?」と鼻息が荒くなった時、突然風向きが背中側から右方向に変わり、突風で三脚がなぎ倒されてしまいました。水汲みバケツからは全ての海水が流れ、ゴミを入れていた袋が危うく海に落下しそうになりました。こうなっては釣果よりも身の安全が第一。タックルを片付けて撤収することしました。

結局この日はカレイ3枚、アイナメ2匹で無念の打ち止め…。消化不良の状態で釣りを終了し、他の漁港ポイントや観光名所などを回って撮影に徹することとなりました。

取材2日目

前日の強風も収まって、噓のように無風の陽の出を迎えました。この日は尻屋崎にほど近くにあり、津軽海峡側に位置する尻屋岬港に陣取りました。岸壁では大型船が付けられ、風力発電関係の作業が行われていましたが、作業の邪魔にならないということで現地の了解を頂き、防波堤の先端付近に釣り座を構えました。

右に伸びる防波堤をセレクトしましたが…

爆釣をイメージしたが…

このポイントも陽の出前から入り、前日と同じく4本竿で釣りをスタートします。4~5色の距離を広角に投げ分け、10分程度の間隔で聞き上げるスタイルで探ります。

ところが…竿を煽る度に毎回根掛かりが発生します。糸フケを取ってから竿をミチ糸とを一直線状にし、ミチ糸を持ってテンションを掛けて後ずさりしながら引っ張ります。するとズッシリとした重さを伴いながら、根掛かりが解消してくれました。その正体はこちらでした。

仕掛けに毎回絡む藻に大苦戦…

もしかすると海底にはビッシリとアマモが生えていて、魚がエサを発見する前に根掛かりが発生しているのかもしれません。開始から10数投するものの、朝まづめのゴールデンタイムなのに、掛かるのは藻ばかりの展開…。「藻ぉ~イヤだぁ~!」と嘆きの声が出てしまいました(笑)。

地元の人に聞け!

あまりにも強烈なアマモの攻撃に閉口していると、いつの間にか隣に地元のベテラン釣り師が竿を出していました。近付いて挨拶し、釣り物や仕掛けなどの質問を投げかけると、使用するのは全長5m前後の磯竿です。仕掛けはオリジナルの中通しオモリで、ルアー釣りでいうところのテキサスリグのようなイメージで、アオイソメをツケエサにした探り釣りでした。

これまでの藻が絡み続けている状況をお伝えすると、どうやらこの防波堤の10数m先からは、切れ間なくアマモが生えているとのこと。狙うのは足下の沈みテトラから藻が生え始めているまでの間、わずか5m位のゾーンをネチネチと探ると、メバル、ソイ類、アイナメなどが釣れるようです。

その地元のベテラン釣り師は、早々と見事なマゾイを実際に釣り上げて見せてくれました。

通い慣れている地元の人には敵いません(涙)

こちらはアマモの生えていないポイントを探し当てようと、毎回ムキになってフルキャストを繰り返し、挙句の果てに根掛かりの連続…。一方で手軽にチョンチョンと誘いを掛ける至近距離の探り釣り。釣り方も釣果も対照的でしたが、ポイントを知り尽くした人には敵うはずがありません。

最後は35号の投げ竿で15m程キャストする方法で、何とか20cm前後のアイナメをヒットさせ、ボウズを逃れることができました。しかし、その後も釣れ続く気がせず、ほぼ惨敗の空気を纏いながら撤収しすることとしました。

結果論となりますが、この尻屋岬港は本格的な遠投の投げ釣りには不向きでした。このポイントはアジング、メバリングのライトタックルや、ブラー仕掛けなどでチョイ投げで攻める釣り方が良さそうでした。

尻屋崎の太平洋側

その後は尻屋崎を観光し、太平洋に面する尻労漁港を見て回りました。

左側の防波堤には車で乗り入れられるが、這い上がる波には注意が必要!

ここでは投げ釣りでナメタガレイ[標準和名:ババガレイ]が狙える数少ないポイントです。ただし岩盤やテトラなどで根掛かりが頻発する場所だけに、今回はその対策も仕掛けも準備しておらず、巡回するだけで終了となりました。しかし、冬場には一度チャレンジしてみたいと投争心が湧いてきました。

チャレンジスピリット!

このようにして、「下北半島投げ歩き」の後半戦が幕を閉じました。釣果としては今一つで、ハートは悶々としていましたが、ポイント開拓を兼ねてチャレンジすること自体に意義があると感じました。『投げてみないことには何も始まらない。』そんな信念を持って次なるスポットを巡ってみたいものです。

春爛漫のこの時期、普段行ったことのない新たな釣りスポットを求め、様々なフィールドを釣り歩くのも楽しいものです。失敗も含めてその経験が自分の「引き出し」となって追加され、さらにスキルアップと釣果アップに繋がるものと確信しています!

WRITER

釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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