筆者 八木光亘

近年、岩手沿岸ではライトゲームのシーズナルパターンが確立され、暖かくなるにつれて釣果が盛り上がりを見せています。今年は特に太平洋側の積雪が少なく、雪代も落ち着いて湾内の水温低下もほとんど見られません。これにより湾内の状況は安定しており、夜間の厳しい寒さも和らいで、アングラーたちの活動も活発になっています。その結果、SNSには多くの釣果投稿が見られるようになりました。
今回は、今年の岩手沿岸の春のメバリングについて、筆者の釣果を交えながら紹介したいと思います。
海水温上昇と魚種の変化
ここ5年ほどで、岩手沿岸は海水温の上昇により大きな影響を受けています。この影響で、既存の魚種の減少が見られる一方で、新たに生息域を広げた魚種の増加が目立っています。その中でも、三陸沿岸で人気を集めているのがアジングとメバリングです。地域差はありますが、筆者のホームエリアでは春を中心に、冬から夏にかけて長期間メバルを狙うことができます。
今回は、特に春のメバリングに焦点を当て、シーズンの特性をおさらいしたいと思います。
メバルのシーズンと特性
メバルはソイやアイナメと同じように、基本的に冷水域を好みます。3月から5月の水温が比較的低い時期、そして20度を超えない水温域が狙いやすいポイントとなります。岩手沿岸では、サイズはおおむね20cm前後がアベレージですが、エリアによっては30cmを超える大型のメバルも見られます。
特に春シーズンは産卵後の個体が多く、良型のメバルを狙うチャンスです。この時期、メバルはアミやシラスを多く捕食しているため、これらを意識した釣り方が重要です。

岩手沿岸の特徴
岩手県はリアス式海岸が広がっており、非常に起伏が激しい地形が特徴です。山田、大槌、釜石などの湾口が狭く、外洋の影響を受けにくいエリアも存在します。このため、時化や濁り、底荒れの影響を受けにくく、湾内は比較的穏やかな環境が保たれています。
また、宮古などでは湾内に河川からの伏流水が流れ込んでおり、湾奥には海藻帯が多く見られます。こうした環境では、春に特有のアミパターンに適したエリアを選びやすいのも特徴です。
岩手沿岸では、メバルに限らずアジやヤリイカ、スルメイカ、カレイ、ロックフィッシュなど、年間を通してさまざまな魚種を狙うことができます。

春シーズンのポイントとタックル選定
春シーズンには、アミパターンを前提に動くことが釣果に繋がります。アミパターンとは、メバルがアミやプランクトンを捕食している時期に、岸壁の海藻などに隠れやすい状況で発生する釣りのパターンです。アミやプランクトンは遊泳力が弱いため、潮流や風に乗って漂います。このため、スローな展開が有効です。
アミは主に表層に浮いているため、プラグや1g以下の軽めなジグヘッドを状況に応じて使い分けることが重要です。タックルバランスは汎用性の高いものを選ぶことがポイントです。
【筆者のタックル】
・ロッド:reins『ZEIGO 67 ROKUDENASHI』
・リール:DAIWA『EXIST LT2000S-H』
・ライン:VARIVAS『アバニ ソルトウォーターフィネスPE X8』0.2~0.3号
・リーダー:VARIVAS『ライトゲーム ショックリーダー』1~1.5号
・ワーム:reins『アジアダー、アジアダーMID、アジマタシャッド』
・プラグ:ZIP BAITS『ザブラ ラファエル』、DAIWA『つゆかぜ、ふうか』

アミパターン攻略のポイント
アミパターンを攻略するためには、アミが溜まっているポイントで風や潮流の流れにルアーを漂わせることが基本となります。ここでは、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

・ポイントの選び方
アミの集まりやすい常夜灯、潮目、風の当たるポイントを選び、魚が隠れる海藻が絡むエリアが特に有効です。
・プラグの選び方
フローティングミノーや沈下速度の遅いシンキングペンシル(シンペン)など、レンジをキープしやすいルアーを選ぶと良いでしょう。
・基本の動かし方
ルアーが速く泳ぎ過ぎないように糸を張りすぎず、ドリフトさせることが重要です。魚は速い動きに違和感を感じるため、ステイなどを挟みながらスローな展開を心掛けましょう。
・ジグヘッドの選び方
風や潮流に合わせて、ドリフトがしやすく、アングラーが扱いやすい重さのジグヘッドを選びましょう。目安としては0.5~1g程度です。
・ワームの選び方
アミやプランクトンは透けているため、基本的にはクリア系のカラーのワームを使うのがベースです。赤やオキアミ系のカラーなど、暖色系が特に効果的です。
これらのポイントを意識することで、メバルとの距離がぐっと縮まります。アミパターンを上手く攻略し、尺越えの大型メバルを釣り上げ、岩手沿岸の春のメバリングシーズンを盛り上げましょう!
