花見には欠かせない
トゲクリガニは主に東北の太平洋沿岸や青森県の陸奥湾内における、船や投げのカレイ釣りの嬉しいゲストとして良く釣れる。
その見た目は「ケガニ」を一回り小さくコンパクトにした感じだが、茹でるだけでなく、汁物や蒸したりしても身の濃厚な味と旨味を楽しむことができる。
今回はゲストではなく本命として青森県八戸港で実釣取材したが、青森県内では桜が見頃となる花見シーズンまでが旬となっている。
チョイ投げで狙える!
トゲクリガニは港湾の岸壁からのチョイ投げで釣れることから、誰にでも簡単に狙うことが可能だ。
勿論、本格的なカレイ狙いの遠投でも釣れるが、掛かってから寄せるまでの距離が長いとバレやすいのがネックだ…(笑)
タックルは10〜15号のオモリをキャストできるルアーロッドなら何でもOK。
小型スピニングリールにPEライン1号を150mほど巻き、ショックリーダーとしてフロロカーボン5号を結ぶ。
オモリには固定L字型天ビンが仕掛け絡みが発生しにくくてオススメだ。
狙い方はシンプル
トゲクリガニ釣りは難しいテクニックもスキルも必要なし! ただ投げて糸フケを取ったら、三脚にロッドを立て掛けて竿先の動きに集中するだけ。
あえて注意を促すとすれば、隣や周囲の人に配慮し、斜めに投げてオマツリをさせないことぐらいだろうか。
ただし、長時間仕掛けを動かさず放置してしまうと、エサ盗りにアオイソメを食われてしまい、頭部しか針に残らないことが多い。
カレイならアオイソメを吸い込んで丸呑みするので、頭部だけが残ることはない。画像のような状態であれば、エサ盗りはトゲクリガニである可能性が高そうだ。
バラシ対策は?
前述のようにトゲクリガニは取り込み中にバラシやすいのだか、その原因は単純で、アオイソメを挟んでいたハサミを開いてしまうからだ。
トゲクリガニをキャッチした時は、そのフッキングできた要因をチェックすると面白い。
また、使う針は軸が細くて刺さりやすいタイプを選びたい。針の違いで釣果は雲泥の差になるか可能性があり、泣くか笑うかの分岐点になるだろう。
仕掛けの工夫
今回の仕掛けは、丸セイゴ針14号、ハリスはエステル2号とし、それを3本束ねてシモリウキ、夜行玉の穴に通し、ウキ止めゴムで固定している。
アオイソメのボリューム感を出してトゲクリガニにアピールしながらも、3箇所の針がボディーのどこかに引っ掛かることをイメージしている。
ところが、時には想定外の魚が掛かることもある。この日は40cmに迫る良型マコガレイが3枚!
たまたま2号ハリスで無事にタモ入れできたが、良型アイナメなどが掛かったら、ハリス切れで涙を飲んでいたかも…
さらには、夜中になるとアナゴの活性が上がり、細ハリスでは一発で仕掛けがグシャグシャにされてしまうことも想定しておきたい。
寒さ対策も忘れずに!
トゲクリガニを夜間に狙う場合、サクラが咲く時期でもまだ寒く、防寒着は欠かせない。
八戸の鮫漁港のように車を横付けできるポイントは助かるが、外でアタリを待つような場所では絶対に注意しよう。
ゲストの釣果にも期待!
チョイ投げ釣りを侮ってはいけない。万能エサであるアオイソメを使用すれば、本命以外の魚も楽しませてくれる。今回の実釣では、ご覧のような嬉しいゲストに囲まれた。40cmクラスのマコガレイが3枚20cm超のマハゼも10匹以上。
そして本命のトゲクリガニは13杯!
釣れたのは全てオス。これから脱皮を繰り返し、花見の頃にはさらに大きく成長した個体が増えるだろう。
青森県はカニカゴ&カニ網の使用禁止
青森県ではトゲクリガニの採捕に対して、カニカゴ、カニ網の使用を禁止している。さらには蓬田村の漁協のように採捕自体を禁止している所もある。
川に限らず海釣りをする際は、漁業権に絡む制限を事前に確認し、安心して釣りを楽しめるように心掛けよう。
飲み過ぎに注意!
とりあえず釣れたトゲクリガニは茹でて食す
この先は徐々に寒さも和らいで釣りをしやすい気候となる。初春の暖かい陽射しを浴びながら、のんびりと竿先に注目してトゲクリガニのアタリを待つというのも風情がある。そして釣果に恵まれたら、濃厚な味わいを楽しめて口福を堪能することができる。
バラシの悔しさも楽しさになるトゲクリガニ釣り、家族連れでチャレンジしてみては如何だろうか?