シマノエギングインストラクターの湯川マサタカ氏が、2025年6月、東北太平洋のアオリイカの聖地になりつつある宮城県石巻市・牡鹿半島を訪れました。黒潮蛇行の収束影響か好調だった前年と異なる難しい状況下、1.7kgという貴重な大型アオリイカを見事にキャッチ。藻場に群がる産卵個体の撮影にも成功した、価値ある釣行の模様をレポートします。
厳しい状況を読み解くポイント選定
釣行地である三陸エリアは、例年と異なり黒潮収束の影響などからイカの活性が低く、非常に厳しいコンディションでした。
湯川氏は、このようなタフな状況を打破するため、以下の3点に絞ってポイントを探索しました。
1、藻場(モバ)の存在: 産卵を意識した親イカが接岸する、海藻が豊富に生えるエリア。
2、水深の変化: 沖に向かって徐々に深くなるかけ下がりのあるワンド。
3、潮通しの良さ: 潮の流れが入りやすく、新鮮な海水が供給される場所。
特に、潮通しが良く、カケ下がりがあるワンドの入り口付近を、産卵を控えた個体が回遊してきやすい場所として狙いを定めました。
ヒットを呼び込んだ「スロー」と「逃がすアクション」
低活性のイカを獲るため、湯川氏が重視したのはスローな誘いです。
長いポーズ(止める時間)の確保: 食い気の立たないイカに対し、動かした後にエギを止める時間を長く取ることを意識しました。これにより、ゆっくり沈むエギ(スローフォールタイプ)が有利になると分析しました。
エギのローテーション: 活性が低く、速いフォール(沈下速度 6秒/m程度)のエギには反応が鈍かったため、よりゆっくり沈むエギ(沈下速度 7.4秒/m程度)に変更しました。
イカの動きを冷静に見極めた対処:そして、最大のキーポイントとなったのが、イカが抱きそうで抱かない時の「逃がす」アクションです。
イカがエギを見切る前、フォールで近づいてくるタイミングであえてシャクってエギを逃すことで、捕食本能を刺激。これによりイカは一気に距離を詰めてエギを抱いて見事フッキングに成功しました。
潮のタイミングを見極めた会心の一杯
釣れたのは、朝の満潮(午前7時19分)から約1時間半が経過し、潮が動き出し始めたタイミングでした。このタイミングは、湯川氏がどこのポイントでも目安にしているもので、いわば潮が動きやすく時合いとなりやすい下げ3分に近いものとなります。
潮通しの良いエリアに、ベイト(餌)を狙って高活性の大型アオリイカが回遊してきた瞬間を逃さず、慎重なやり取りの末、貴重な1.7kgのビッグワンをネットイン。
潮の流れとイカの捕食行動を正確に読み切った、まさに価値のある一杯となりました。
使用タックル
厳しい状況を攻略するため、感度とパワーを両立したハイエンドモデルが使用されました。
- ロッド: シマノ セフィア リミテッド S84L+ (M46Xカーボン、スパイラルXコア搭載)
- 特長: LクラスでありながらML+クラスのパワーを持ち、繊細な誘いと大型イカにも負けない強さを両立。
- リール: シマノ ステラ 2500S
- ライン: シマノ ピットブル 8+ (PE 0.5号)
- リーダー: シマノ セフィア マスターフロロリーダー (3号)
- エギ: シマノ セフィア クリンチ フラッシュブースト 3.5号など
厳しいとされる三陸エリアでも、潮通しや藻場といったポイントを見極め、イカの活性に合わせたフォール速度や誘いの変化を加えることで、大型のアオリイカと出会えることが証明されました。
湯川氏は、牡鹿半島に広がる豊富な藻場(海藻)の環境を高く評価し、釣り人へマナーを守りながら、この恵まれたフィールドでエギングを楽しんでほしいとメッセージを送っています。


