【連載】ディープマスター釣魚録WEB #3秋田・飛島沖の極上!脂噴きオキメバル2025

秋田/岡本光央

6月といえば…これ以外にない!

自身の6月恒例、秋田県平沢港「飛龍」詣で。20年来のお付き合いとなる「オキメバルの神様」佐藤登咲船長の下、トップシーズンを迎えた飛島沖で今年も極上ウスメバルに挑む。

極上の脂噴きメバル

オキメバル(標準和名ウスメバル)自体は自身のホームグラウンドである関東圏にも分布し数、型共に遜色ない釣場も有るが「ここのオキメバルで無ければ」が自身の本音だ。

強いこだわりの理由は「勝手に命名・脂噴きメバル」の存在に他ならない。飛龍のホーム、鳥海沖のオキメバルは釣り上げた際に口から噴き出す程に腹腔内に脂肪塊を蓄えたグラマラスボディを有する個体がおり(25~30㎝に多い傾向だが、時に35cm超の大型にも「脂噴き」が存在)その味覚たるや関東周辺のそれとは全くの別物。20余年前の初釣行から心を鷲掴みにして離さない魅力溢れる存在なのだ。

これが正真正銘脂噴きメバル!

「飛龍」でのタックルと仕掛け

6:4~7:3アクション、2.3~2.6mのオキメバル専用竿。硬軟は各自の好みにもよるが、使用オモリに対し「やや負け気味」のセレクトがセオリー。使用オモリ250号に対し、150号クラスを用意する。素材は跳ねを抑えるグラスファイバー製が圧倒的に有利。今回は年内発売予定のニューロッド「ストレガ231」のプロトモデルをテストしたが、既製品でお勧めは同行のアルファタックル・田中スタッフが使用した「HBオキメバル260」。ここでの釣りを念頭にプロデュースした自信の1本だ。

「ストレガ231」のプロトモデルをテスト
田中スタッフが使用した「HBオキメバル260」

【リール】水深150m前後が中心だが「良型10尾以上連なる」はもちろん、ホッケの満艦飾でもガンガン巻いてオマツリを回避するパワー&スピードが必須。併せて口切れしやすいオキメバルを確実にキャッチできる高性能のドラグも不可欠。これらを踏まえて筆者は「コマンドAC-3JPC」を使用。ラインは高強度PE「ダイバーX8」6号。

【仕掛け】藤井商会「フジッシャー毛鈎」細地ムツ14号のオキメバル専用仕掛け(幹糸8号70㎝・ハリス3~4号30㎝)10~15本バリ。水温や水色によりヒットカラーが異なるため紫系、緑系、青系、橙系、赤ピンク系など各色を持参。

フジッシャーメバル仕掛

夏季は緑、紫、青が強い印象だが、あくまで傾向で絶対ではない。仕掛け上端には藤井商会「水切板」などの小型ヨリトリ器具。併用するコマセは積極的に振り出すスタイルではない事(コマセを振ると群れが散るとされる)、水中抵抗が少ない事からステンレス製網カゴが主流。ただし使用コマセがオキアミかアミかで網目サイズを選択する必要がある。状況に応じて「輝泡」など小型水中灯の併用もアリ。オモリはポイントに根掛りが少ない事と「船で仕掛けを曳いて反応に合せる」スタイルを踏まえ「横方向の潮当たり」=糸フケの少なさを優先し鉄製より体積の小さい鉛製「スカリー」をセレクトする。

【付けエサ】基本はホタルイカ壺抜きの肝付ゲソ。口から眉間をチョン掛けする。手返し優先なら幅5~6㎜、長さ数cmのイカ短冊。着色や味付けはお好みで。因みに今回は「紫外線加工イカ・紫」を使用したメンバーが好釣果を見せた。ポイントや時期によりイカよりもサバ短冊(イカ短冊と同寸)やワカサギ、ハゼ、モツゴ(下顎から上顎に鈎掛け)、シラウオ(下顎から頭頂の硬い部分に鈎掛け)など小魚が有効なケースもあり、各種持参が◎。

【疑似餌】交換不要の手返し良さと液浸でない為手指や服、船縁を汚さぬ清潔感、保管&運搬の手軽さにホタルイカや短冊餌と遜色ない釣果。ルアーフィッシングに通ずるカラーセレクトの面白さも相まって、新たな「オモシロさ」を生み出してくれる。
コマセのオキアミとサイズ、カラーをリンクさせたニッコー化成「マイクロイカタン1.8inch」を基本に、マゾイに色気を出す際にはバス用「ZAZAリーチ」など大型ベイトの併用合もアリ。
上記付けエサを使わずオール疑似、今回の様にエサと半々で使用し手返しアップを期待する方法も。

強気のオール疑似仕掛

6月13日の釣行から

直前まで予報が定まらず一時は出船NG?と気を揉んだが、結局去年同様の好天に恵まれた6月13日はTEAMメンバーと地元常連の10名で飛島沖へ。今回初挑戦の隣席・アルファタックル田中スタッフに飛龍のメバル釣法を一通り(ラインが横方向に曳かれている=反応の手前で仕掛けを下ろし、船を移動して仕掛けを反応に合わせる際には底の取り直しはNG。ラインが直立したら底取りOKなどをレクチャーする。

オキメバル初チャレンジの田中スタッフ

午前5時50分、例年の傾向を踏まえてバケカラー緑と紫のMIXでスタート。今回はアルファタックルから年内発売予定のニューMPGロッド「ストレガ231」のプロトモデル実釣テストを兼ねた釣行ゆえ、先ずは確実にメバルを釣る事を念頭に置く。故に恒例の「オール疑似」から仕掛の下半分はサバ短冊使用と弱腰!?のスタンス。低気圧の接近で持病の頭痛目眩も強く、薬を服用しながらの釣りとなり。果たしてどうなる事か。

1投目は着底からやや間を置いて出たアタリに一安心。テストロッドも思惑通りに「イイ感じ」だが。思いの外追い喰いが遅く、巻上合図までに4尾に留まる。2投目は着底直後にロッドをガタガタと揺さぶり期待が膨らむが、上バリのサバ、下バリの小マゾイで本命はまたも4尾。ここまで本命のハリ掛りは全て紫バケ。本来ここで仕掛け交換なのだが今ひとつ頭が回らず、そのままで釣り続けてしまう。同様の釣況で釣り進む内、8投目回収時にやっとオモリがかなり冷たい事に気付く。例年同時期よりも底潮が冷たい為に「本来のバケカラー」に反応しないのだ。完全なボーンヘッドに「あー、何やってんだかなぁ」とため息付きつつ、遅ればせながら「オール紫」を引っ張り出すが…日が高くなってきた事もあり、空振りこそないが下バリに1~3尾と低空飛行が続く。

終盤に田中氏が絶好調!

大きく移動した10時20分の13投目はこの日初めての船中ノーヒット。このまま終了かと思わせたが。14投目。アルファタックル田中スタッフの「HBオキメバル260」の竿先がガンガンと叩かれ次第に鈍い重量感に代わって絞り込まれていく。巻上時も負荷は十二分。やがて海面下にズラリ連なるオレンジ色。25~35cm級の7連に破顔一笑だ。

この水中の影の数に心躍る
取り込みも徐々に慣れてきた
良型7連を決めた田中スタッフ。筆者以上に心を鷲掴みにされた?

田中スタッフは16投目にも7連、17投目に5連。持参のクーラーをオレンジ色で埋めてご満悦。自身がプロデュースしたロッドで良い釣りをして貰うと自らが釣るよりも嬉しく思う今日この頃だ。対して終日頭痛目眩に悩まされ続た自分は判断が遅く、投入ミスこそなかったが手返しも怪し気と良い所なし。ラスト前の19投目に脂背噴き含む大型3連に「今日はここ迄」と一足早く終了宣言。

食べ頃サイズが揃った
締めは、脂背噴き含む大型3連で満足!
当日最大の良型メバルにご満悦!

取り敢えず試作のニューロッドはオキメバルにもバッチリなのを確かめられた事は幸い。釣果は25~36㎝を40尾とオール疑似使用の前年釣果は下回ったが、当日のコンディションを踏まえれば「及第点」としておきたい。因みにメンバーの釣果は50尾前後が多かった様子。

余談だが翌日14日には上州屋秋田店の深海イベントにお邪魔し、オリジナルマダラ仕掛製作を実演しつつ地元深海ファンの方々の質問にお答え。夜にはFacebook友達のオキメバル名人佐藤氏主催の宴席で「極上脂噴きメバル」筆頭に秋田の美味に舌鼓。貴重なオキメバル情報も伺い、有意義な時間を過ごさせて頂いた。

この場をお借りし、佐藤船長はじめ2日間お世話になりました皆様に重ねて御礼申し上げます。次の機会にもお付き合い宜しくお願い致します。

船宿・遊漁船情報

飛龍 秋田県平沢港
・℡090-3122-6552
・オキメバル…3~10月
・乗合 ¥13,000
・氷 ¥500 エサ・コマセは各自持参

佐藤登咲船長
オキメバルといえば飛龍

WRITER

岡本光央

アルファタックル、ミヤエポック、フジワラ、ヤマシタ、ゴーセン、KINRYU、ルミカ、藤井商会、NIKKOフィールドスタッフ

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深海釣りの第一人者。埼玉県川口市在住のフィッシングライター。著書、番組出演など多数。釣り東北本誌にて長年「ディープマスター釣魚録」を連載。

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