
青森県の春マダイといえば、産卵のために陸奥湾に入ってくる群れが湾口の平舘沖などで荒食いするタイミングが一般的。時期的には5~6月がメインとなるが、近年その前の3~4月に三厩~龍飛崎エリアで大型ばかりが狙えるパターンが開拓されつつある。この情報を聞きつけたのはジギングのエキスパート・山本啓人氏。「マダイジギングは関西エリアを中心にとことんやり込みました。是非やってみたい!」と今回来青。山本氏はこれまで東北エリアでは青森県平舘沖と宮城県仙台湾にてどちらも産卵真っただ中の激渋シーズンに挑み、見事に本命をキャッチしている実績もあり、今回どんな釣り方をすするのか、非常に興味深いチャレンジとなった。
「ライン角度」が重要
山本氏がマダイジギングで大事にしていることは「ライン角度」。基本的にはバーチカルにラインが立った状態よりは斜め45度程度がマダイの食いやすいと考えている。この状態を作るには、主にジグを軽くして潮に乗せていく方法と、キャストして最初からライン角度を付ける方法がある。

前者は底を取れる重さを前提にできるだけ軽くするが、潮が動く、あるいは船が風で流れていることが必要となる。
後者は潮が全然動かない時でも強制的に角度をつけられるメリットがある。また、潮が動いている時も潮上、潮下、横潮にしてドリフトなどキャストすることでトレースラインの自由度が増すこともできる。ただ、飛距離が短いと沈んでいる間に手前へ寄せられ結局バーチカルになるので、ベイトタックルよりもスピニングタックルのほうが適している。注意点は、ラインの放出量が多くなる分、干渉の度合いが大きくなるため、ジグの重さと着底の見極めが重要となる。
ただし、例外もある。二枚、三枚の複雑な潮の場合や、風と潮のバランスによってはバーチカルのほうが良いこともある。キャスティングとバーチカルを使い分けながらその日、その時の「食う角度」を見つけることが大事だ。

メタルジグのただ巻きが有効な理由
「青森では、メタルジグのアクションはただ巻きが定番となっているようですが、私自身はあまりただ巻きをせず、スイミングジャークというアクションで釣ることが多いです。一見、異なる種の誘い方にも思えますが、スイミングジャークも一定のリズムで行えばマダイも食うタイミングを計りやすいと思っています。ライン角度もそうですが、とにかくマダイが食いやすい状態を作ることを意識しています。スイミングジャークもしますが、郷に入っては郷に従えで、ただ巻きで釣ってみたいのでメインにしたいと思います」と山本氏は語った。

水温変動の激しい激渋期
3~4月の津軽海峡は、海水も三寒四温。日によって南から暖かい下り潮が入る時もあれば、逆に北から冷たい上り潮が入る時もある。実際の水温は10度前後で、やはり水温が下がるよりは上がったタイミングが良い。今回山本氏は2日間実釣することができたが、残念ながら水温が下がったタイミングと、強風や雨というタフコンディションに当たってしまった。

しかし、そこは百戦錬磨の山本氏。少ないマダイの反応、海況の変化をヒントに初日の終了間際に70cm近い良型マダイをキャッチ。この時は、まず釣れる1時間程前に船の向きに対して潮の流れ方が変わったことを察知すると、それまでゲストフィッシュのアタリすらなかったのが、すぐにマゾイがヒット。続けてほぼ真下のライン角度、タナは底付近、ややゆっくりのただ巻きでマダイらしきバイトがあったことで、そのパターンをメインに攻めた。すると、2回目のただ巻き後のフォール中にラインが止まり、それがこのマダイだった。


2日目は初日よりも穏やかな天候となる予報だったが、魚の活性を下げる北東の風「ヤマセ」が吹いてしまい、手のひらクラス2枚を追加するにとどまった。それでも山本氏は「厳しい状況だからこそ海峡マダイの面白さと難しさを存分に味わえた。今度はキャスティングがハマるようなタイミングでチャレンジしたい」と述べた。
今回のメインタックル
メタルジグをキャストするということでスピニングタックルをセレクト。ロッドは、ラインのガイド抜けがスムーズなのは勿論、ジギングすることも意識してやや胴調子タイプ、のシマノ「グラップラー タイプ ブレード」。番手は、メインのジグウエイトが60~80gということで1番(S68-1)。リールは、ただ巻きメインならハイギアでも良かったが、使い慣れていることと、ジギングをすることも意識してパワーギアのシマノ「ツインパワー XD 4000PG」を使用した。実際使用し、マダイをキャッチしてみて、思惑通り青森マダイジギングにベストマッチすることを実感した。
ロッド:シマノ「グラップラー タイプ ブレード」S68-1
リール:シマノ「ツインパワー XD 4000PG」
ライン:シマノ「グラップラー 8 PE」0.8号
リーダー:シマノ「オシアジガー マスターフロロ リーダー」16Lb
ルアー:
シマノ「タングマン」60~80g
シマノ「スティンガーバタフライ センターサーディン」60g
シマノ「スティンガーバタフライ TGガトリング」60~80g
シマノ「フォールショット ブレード」60g
フック:シマノ「タイプLJ アシスト」

【取材協力:祐丸Ⅱ】