秋田/神坂正人
私はこれまでエギング用ラインでVARIVAS「アバニ エギング マックスパワーPE X8」を使い続けてきた自分にとって「アバニ エギング マックスパワーPE X9」の登場を非常に楽しみにしていました。
最大の特徴「超低伸度」とはいかなるものか…今シーズン実釣を重ねてみた感想をレポートします。
目次
芯材による新感覚のアタリ!?
感覚の釣りと言われるエギングにおいてラインやロッドの感度は非常に重要。
「アバニ エギング マックスパワーPE X9」(以下:X9)を使用して、わりやすかったのは水流の伝達力。
そしてエギに当たる障害物の種類(岩や藻など)の判別力がアップしていました。
そして肝心のイカのアタリは「アバニ エギング マックスパワーPE X8」(以下:X8)と比べるとアタリ時にガイドをジリッっと擦り響かせる新感覚が何度かありました。これはX9の芯材がもたらすもの!? X8では感じない伝達力を実感できました。
低伸度性能はフッキングスピードにも直結するので、イカの抱き放しを繰り返すアタリではフッキングが決まる確率がアップしたと実感できました。
張り(コシ)と飛距離の関係性
今までエギングでは様々なPEラインを使いましたが、これまでは圧倒的にX8を推していました。その理由のひとつにシルキーさがもたらす飛距離。
このシルキーさはガイド抜け時の抵抗がほとんどなく、気持ち良い飛距離を生み出してくれていました。
一方でライン自体の他にコーティング材が固かったりしてコシがガイド抜けの抵抗となり飛距離が落ちる製品もありました。
X8とX9をパスタに例えるとシッカリ茹でたX8に対しアルデンテのX9。X9はコシがありラインを数cm立てるとある程度自立します。
X9においては飛距離が落ちるようなコシではなく縦網みやSP-Ⅱコーティングの効果もあるのかガイド抜けの差は感じません。
自分の感覚だとほんの少しだけ飛距離においてはX8に軍配か? しかし、実釣レベルではほぼ差のない飛距離を生み出した他に超感度となれば、かなりのアドバンテージになるのは間違いないはずです。
深場および遠距離での優位性
X9の優位性を最大限生かせるシチュエーションは、ズバリ!「遠投&深場」。
手元への伝達力は遠ければ遠いほど落ちるし、深ければ深いほど波の影響などで落ちます。
その条件を9月14日と16日のエギングで実釣を行い、日中の渋い時間帯に水深10m以上のディープエリアを広範囲に遠投サーチ。
この日は前日のウネリが残る感度が伝わりにくいコンデションにも関わらず、X9から伝わるシャクり入れた時のエギの動き、そしてテンションフォール時のイカパンチが非常に良く感じることができました。
面白いのは遠投時に感じにくいイカが抱いて動かない時(居抱き)のアタリ(言葉で表現するとンンッっというアタリ)も多く感じることができました。
確かにX9でしか感じられない領域があるのは間違いなさそうです。
吸水にによるノイズ感がない
シルキーさがお気に入りだったX8の弱点は撥水性ではないかと思っていました。
購入時はキッチリ撥水性があるものの、使い込んでいく度にミクロの毛羽立ちができるためか撥水性を失っていきます。
もちろんメンテで撥水剤をコーティングしていますが限界がありました。
撥水性がなくなると、吸水して水切れが悪くなり余計なノイズが入り、シャクリ入れる時の「水面からラインを剥がす作業」が重くなり、エギ側に引く力が掛かってしまうと、キビキビ動かなくなる原因となります。
ところが、X9に関しては撥水性が高くこのようなストレスがありませんでした。
水切れが良くシャクリ感が軽く感じるほか、撥水浮力があるため水面での認知性の高いことから水面ラインでのアタリ取りも容易にしてくれました。
心配な点
良いこと尽くめなラインではありますが、あくまで個人的な感覚で、9本網みでありながらX8に対して号数に対しての強度が若干落ちているということは、芯材周りのPEは細くなったのではないか? コーティングを施しているとはいえ細い原糸の耐摩耗性はどうなのか?などはちょっと気になります。ただ、これはX8は強度に特化しているからで、X9でも十分な強度は保たれ、心配するまでもないとは思いますが、釣り人心理でつい比較してしまいますね(笑)。
いずれにしてもこれらについてはある程度使い込んでみないと分からないですし、高価でもあるため長期的な使用に耐えられるか引き続き注目していきたいと思います。