目の覚めるような強烈なバイト、暴力的なまでの突っ込み、根ズレによるラインブレイクのスリルの末、見事キャッチした時の満足感がハンパないショアマダイゲーム。今年もシーズン到来となった!
無駄撃ち不要のターゲット
山形、秋田、青森の日本海側で最も人気があるといっても過言ではないマダイ。岸、船、釣り方問わず、広範囲、かつ魚影が濃い魚である。シーズンは、2~3月でも山形沖で局地的に狙えるが、おおむね4~11月で、ショア・岸釣りに限っていえば5~12月となる。さらにもっと条件を絞り込むなら、
・8月中旬から10月下旬
・日没を真ん中に挟んだ1時間が時合い中の時合い
・比較的潮通しの良い磯場
・潮が当たっている面
となる。
このデータは、20年以上前から長年本誌が行っていた連載、磯からブラーでマダイを狙う「ブラーでマダイ」で蓄積したもの。東北で狙える魚種は様々あれど、正直ここまで明確に絞り込める魚はないといっても過言ではない。
それらの理由は、あくまで推測だが…
・夏の産卵を終え、体力を回復させるために甲殻類や貝類など捕食しやすいエサが豊富な水深の浅い磯場に着く個体が多い。
・光量が落ちてくると甲殻類が表に出てくる。マダイも含めて外敵への警戒心が薄れる。
・潮が当たっている面はプランクトンが多く、エサが豊富でかつ甲殻類が落ちる可能性もある
と考えている。
これらを以前から紹介しているのであるが、悲しいかな、海の王者ということでそんなに簡単に岸から釣れるわけがないと思われているのかチャレンジしてくれる人は意外に少ない。もしくは、釣れるなら別に日中でも釣れるだろうと思われているのか、時間を気にせずやった結果不発に終わっているようだ。とにかく騙されたと思って…いや、騙されないと信じて前述した条件でチャレンジしてみてほしい。
さて、その肝心なマダイの狙い方。雑食のマダイだけに、オキアミ系をエサにした磯のフカセ釣り、カニを使った前打ち、泳がせ釣り、ミノーイング、ショアジギング、ワーミング、ブラー&アオイソメなど、あらゆる釣り方で釣れる可能性がある。この中で、今回は「ブラー&アオイソメ」と「ワーミング」を紹介したい。
数釣り重視の「ブラー&アオイソメ」スタイル
エサの食い込みの良さ、針の小ささにより、圧倒的に魚が掛かりやすく、手のひらサイズから大物まで、魚種問わず何でも釣りたいという人、初めてショアマダイにチャレンジする人にお勧めのスタイル。
タックル
ロッド:エギング用(長さ:8ftクラス、パワー:ML)など
リール:小~中型スピニング
ライン:PE1号
リーダー:フロロカーボン3~4号1~2ヒロ(根ズレ対策重視なら4号、高切れ対策重視なら3号)
他:スナップ1番クラス
ブラー:ノーマルブラー12~18g(カラー:日没前/蛍光レッド、日没後/夜光)
エサ:アオイソメ(太さ:中~細め、量:時合い1~2時間/100g前後)
基本的な釣り方
フルキャストして広範囲に探り、高活性なマダイを見つける。エサということで食わせ重視のスローな釣り、止める釣りをイメージする人も多いが、着底は一瞬に留め、底層を速いテンポでトレースする。
コツその1「針を交換する」
標準フックをがまかつ「糸付サーベルポイント ファインマスター(ショートハリス)S」に交換すると、エサ持ち、フッキング率を上げることができる。交換もチチワ結びでできるので非常に簡単。2本針による根掛かり率は意外にもそれほど上がらず、メリットのほうが大きい。
コツその2「速巻きフリーフォール」
ルアー的なリアクションバイトを誘発する最新メソッド。過去、沖から足下まで探り終え、最後のピックアップでリールを速巻きした瞬間に良型マダイがヒットするケースが多かった経験がきっかけ。足下だけでなく沖でもこれを意識的にやってみたところ、明らかに捕食スイッチが入る魚が居た。
さらには、スロージギングでジグを水平姿勢にすることの重要性がブラーでも同じではないかと考え、これまでゆっくり落とす意識で行っていたテンションフォールを、ラインにテンションをかけないフリーフォールにした。すると、ラインで引っ張られない分、ブラーの自由度が上がり、ゆらゆらと落ちる左右への振り幅も増すことで逆に垂直方向のフォールスピードが遅くなり、これまたバイト数が増えることが分かった。速巻きと組み合わせることにより、バイト率、サイズアップ率、フッキング率が上昇する、非常に効果的なメソッドが誕生した。
一発大物的な「ワーミング」
こちらも10年以上行っているスタイルで、ブラーよりはマダイのバイト数は落ちるものの、ヒットするマダイはほぼ40cm以上の良型で、小型は殆どヒットしないのが特徴。ブラーは前述したように良くも悪くも色々な魚が掛かる、エサも盗られやすいので、エサ盗りがうるさい時間帯や、時合いなのに明らかに小マダイが先に食ってしまうような時は良型以上のヒット率を落とす可能性もあるので、良型以上を狙って釣りたいなら同スタイルがお勧めだ。
タックル
ロッド:ロックフィッシュ用(長さ:7~9ft、タイプ:スピニング、ベイト、パワー:M、MHクラス)、シーバス用(長さ:9ftクラス、パワー:MLクラス)など
リール:小~中型スピニング
ライン:PE1.2~1.5号
リーダー:フロロカーボン4~5号1~2ヒロ(根ズレ対策重視なら5号、高切れ対策重視なら4号)
ワーム:甲殻系、イカ系2~3in(カラー:チャート系、ナチュラル系)
リグ:テキサスリグ、ジカリグ
シンカー:14~28g
フック:オフセット1~2/0(ワームサイズに合わせる)
基本的な釣り方
沖ではたまに着底させるくらいの速いテンポで探り、至近距離は根掛かりしにくい特性を活かして、足下の根際などに当てながらリグを巻き上げてくる。この時、出っ張りにリグが当たると半ロック状態となるが、そのまま巻き上げると完全にロックするので、一瞬テンションを緩めた後にロッドをあおって脱出する。このイレギュラーなアクションでマダイのスイッチが入り、直後のフォールでアタックしてくることも多い。
コツその1
根掛かり対策重視ならオフセットフックだが、良くも悪くも針先が出ていない分、バイトがあっても乗らないこともある。これをカバーするには食い込みを促す味付きタイプのワームが効果的。バイトがあってもすぐにアワせず、ラインを若干張ってロッドのベリーまで十分に重みが乗るまで待ってからアワせるとフッキング率を上げられる。ただ、一度フッキングをミスっても針先が触れてなければ再アタックのチャンスは高い。
コツその2
8月後半になると、水深が浅い磯場周りにはアオリイカの新仔が増え始め、これをベイトにするマダイも多い。よって、ワームはイカ系がマッチザベイトとなり、特にイカ自体が興奮した時の色、危険を感じた時に出す墨の色として黒系などの濃い色に反応するマダイも増えてくるのでワームセレクトの参考にしたい。
共通テクニック
アクションのさせ方
ロッド操作でのリフト&フォールよりも、ロッド角度を斜め上45度でキープし、リールの巻きによってリフト、またはスイミングさせたほうが常にロッドのあおり代をキープできるので、根掛かり回避やバイト(主導権)への対応が早くできる。特に、ラインに根が当たっている感覚や違和感があればその感覚がなくなるまでリグを巻き上げたほうが根掛かりやアワセ切れを未然に回避できる。
基本2タックルを使い分ける
どちらかのスタイルにこだわるのもありだが、ブラーとワーミングを状況によって使い分けるのが理想。また、予備的要素も含めて2タックルを持っておくと良い。特に、時合い中に根掛かりで高切れした場合、リーダーを組み直すことはその間に時合いが終了することもあるので、サブタックルにすぐ替えるのが賢明だ。
参考まで編集部のロッドを紹介すると…
大物・ワーミング用
ロッド:シーバスロッド9ftクラスML~M
リール:中型スピニング
ライン:PE1.2号
リーダー:フロロカーボン5号1.5ヒロ
軽めリグ・ブラー用
ロッド:シーバス用9ftクラスL
リール:中型スピニング
ライン:PE0.8号
リーダー:フロロカーボン4号1.5ヒロ
この2つを使い分けている。
ショアマダイはこれからがベストシーズン。エギングついでにリグだけ替えても良いなので、夕まづめに潮通りの良い磯場に立っていたなら、是非ともアタックしてみてほしい。