投げ釣り専科【vol.16】 ダイワ「キスマスターズ」秋田大会

キス釣り客で賑わう釜谷浜でダイワ「キスマスターズ」秋田大会が開催された

一夜にして一変

令和6年6月15日(土)、秋田県三種町の釜谷浜にて、ダイワ「キスマスターズ」秋田大会が開催された。大会前日の状況はやや強めの西風が吹き、さざ波が立って海中に酸素が供給されてキスの活性が高かった。ピンギスと呼ばれる10cm前後の小型が主体ながらも、近投~波打ち際で20cm近い良型も交じり、数釣りも期待できるイメージを持って当日の作戦を立てた選手も多かった。

ところが、一夜明けると風向きは弱めの東風に変り、海は波が殆ど立たないベタ凪…。前日とは明らかに違う海であるが、ここ釜谷浜ではよくあること。そんな中で午前4時30分から本部で受付が開始された。

小型ばかりで迷い…

1回戦の競技時間は午前6時~8時までの2時間。参加者総数76名を「white」「blue」の2つの競技エリア分けて実施。釣り上げたキスの総重量によって、各エリアの成績上位40%(小数点以下繰り上げ)の16名、2エリア合計で32名の選手が2回戦に進出する。

開始早々から各選手に釣果が見られたが、その多くは予想通りピンギスだった。ポイントによっては朝イチのモーニングサービスで、16~18cmクラスの良型が少し交じったようだった。

しかし、その流れはなかなか続かず、殆どの選手がピンギスしか釣れない状況に、「他の選手の動向」「釣れているサイズ」を目視しながら、左右方向への場所移動と、探る距離を変える前後移動を考えていた。

1kg超えは僅か3名

編集部では前週~前日までの釜谷浜での釣れ方を取材し、良型の割合がそこそこあったため、2kg超えの選手が続出することを予想していた。しかし、ここまで小型ばかりの展開になることはまさに想定外だった。

実際に1回戦が終わって、全選手の検量が行われたが、1kgを超えた選手はたったの3名しかいなかった。1回戦の全選手の成績は次の速報の通り。

2つのエリアではいずれも小型中心で、500gを超える釣果が最低のボーダーラインとなった。「white」エリアでは15g差、「blue」エリアでは5g差で明暗が分かれる大接戦だった。

結果論だが、1匹で10gしかないと仮定すると、2時間で50匹の魚を釣らなければならないことになる。針数、針のサイズ、仕掛けを引く速度などの決断の他に、仕掛け絡みトラブル回避、エサ付けや針外しの速度、適距離にキャストする正確性など、キス釣りの総合的なスキルと経験が必要だった。

2回戦は効率勝負

2回戦に残った32名から、30%(小数点以下繰り上げ)に該当する10名の選手に、6月29日(土)に新潟県胎内市の村松浜で行われるブロック大会進出の権利が与えられる。競技時間は90分と1回戦よりも短くなることから、選手達は更なる時間効率の良さを追求することになる。

90分ではキャストするのは10数回しかない。それだけ1キャストの重さが勝敗を分ける。多点針仕掛けで一気に数を伸ばしたいが、その反面で仕掛け絡みのリスクが付きまとう。反対に針数を抑え気味にして、トラブルを極力抑えて手返しを優先する作戦も考えられる。その選択が選手の頭の中を駆け巡ることになる。

そうした中で、香川勇治選手(宮城)は得意の多点針仕掛けを駆使し、とにかく数を釣る作戦を選択、見事に第3位となった。同じく宮城から参戦の芳賀弘史選手は、針数と手返しの最大公約数を考慮したバランスの良さが功を奏し準優勝に輝いた。

そして近年キスマスターズで好成績を残している大鷹秀寿選手(宮城)は、探る距離を絞って丁寧な探りで連掛けを狙って、見事の優勝の栄冠を勝ち取った。

大鷹選手は2回戦で唯一の1kg超えで堂々の優勝を飾った

その他、第10位までの選手は90分で700gを超える超過を叩き出し、日頃から鍛えたキス釣りのスキルを存分に発揮、ブロック大会出場の権利をゲットした。

資料:大会主催者による速報
10名の選手にブロック大会出場権が与えらた

全国大会出場に期待!

ブロック大会は秋田、新潟、富山の3地区大会の上位者が出場となる。その中から9月6~8日の日程で秋田県秋田市桂浜で開催される全国大会への切符が、成績上位者に手渡される。

新潟、富山でも全国大会常連の実力者が結果を残しており、ブロック大会は厳しい1戦が予想されるが、実力を存分に発揮して秋田県内のサーフに再び姿を見せてほしいと願うばかりだ。

協力に感謝

今大会では1回戦終了時からNEWロッド「スカイキャスター」の試投会も開催された。

サーフに映えるNEWブル―スナイパー「スカイキャスター」

実際にロッドに触れて振ってみることは、購入を検討しているトーナメンターにとって貴重なチャンスとなる。このような機会を企画してくれた主催者に感謝を申し上げたい。

また、開催地である三種町が、コロナ禍を覗いて地元名物「じゅんさい汁」を毎年のように無料で振舞ってくれている。

以上のように、今年のダイワ「キスマスターズ」秋田大会は大盛況のうちに幕を閉じた。前身の「スーパーバトルカップ」を含め、数えて15年以上も釜谷浜で予選を継続開催し、しかも3年連続で全国大会の会場として釜谷浜を選択してくれているダイワ、そして様々な協力を惜しまない開催地の三種町には感謝の言葉しか見つからない。

両者のおかげでキスが良く釣れるポイントとして全国的に有名になり、釜谷浜に訪れる県外のキャスターも増加し、地元でも多くの人に愛されるサーフとなっている。今後も当地にて、末長く継続開催されることを心から期待している。

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釣り東北WEB編集部

株式会社釣り東北社

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「釣り東北WEB」の運営、取材、撮影、編集、映像制作をメインに行う。他、ワカサギの穴、トラウトステージといった東北で人気ジャンルの別冊を刊行。

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