令和6年6月9日(日)、編集部は青森県太平洋側の某河川にてウナギ釣りを敢行しました。エントリーしたポイントは、前回の記事で説明したように、以下の3点の規制をクリアしています。①漁協のウナギ漁業権が設定されていないこと、②青森県で設定した禁漁期間ではないこと(10月1日~5月31日までが採捕禁止)、③竿釣りであること。
タックル
使用したタックルは次の通り。
【ロッド】振り出し投げ竿25~30号(竿先が軟らかく、かつウナギのパワーを吸収できるタイプ)
【リール】ドラグフリー機能付き投げ専用リール(極太ウナギが掛かっでも安心)
【ミチ糸】ナイロン5号(チカラ糸はナイロン5<12号)、ナイロンの伸びがウナギの急激な引きを吸収してくれます。PEは伸びがなくエサの呑み込みが悪いこと、ゴミが引っ掛かりやすいことの理由で、川におけるウナギ釣りには不向きです。
【天ビン】スパイク天ビン25~35号(水流があっても突起部分が底をグリップして流されにくい)
【仕掛け】ミキ糸フロロカーボン8号、ハリスフロロカーボン5号(枝付き2本針仕掛け)
【その他】ハリスには流線シモリウキを通し、エサを浮かせて水流になびかせると同時に、針の根掛かりを回避しやすくします。
エサ付け
針はウナギ針(12~15号)を使用しますが、エサのドバミミズを摘まみやすくするため、市販のパウダーを事前にまぶしておき、針先を頭から刺して環帯を通り越してハリスまでコキ上げるようにします。
針先はできるだけ尻尾側に近い位置まで通し、真っすぐに近い状態にします。こうすることで、ウナギがドバミミズを吸い込んだ時に、針先が口の中に入り込みやすくなり、フッキングに至る確率が高くなります。
投げて待つのみ
エサ付けが済んだら、あとはミチ糸がクロスしないように下流側から順番にキャストします。今回の取材では三脚2個に竿を2本ずつ並べる、合計4本スタイルでウナギからのアタリを待ちました。
三脚には3~4本程度の竿を並べることも可能ですが、いざ、良型ウナギが掛かるとその強烈な暴れっぷりで道糸同士が絡んでしまうトラブルが発生しやすくなりますので、三脚には2本置くようにしています。
また竿先近くには、ウナギからのアタリを伝えてくれる「鈴」をセットしました。今回は100円ショップで販売している「当たり鈴」を使用しました。プラスチック部分に「ケミホタル37」を隙間なく差し込める穴があり、日没後の暗闇に中で、音と光でアタリを知らせてくれ、コスパに優れたアイテムです。
日没後30分に!
最初のアタリは日没ジャストの時間で、まだ普通に明るい状況でした。しかしそれは本命のウナギではなく、あまり嬉しくないヌマガレイとマハゼのダブル…。
ガッカリしながらエサを付け直して打ち返すと、少ししてから鈴の音が激しく鳴り響きます! この引き、この重さ、この暴れん坊ぶりは、まさにウナギ!
慎重に抜き上げながら写真を撮ろうとしましたが、暴れ過ぎるため全くピントが合いません(笑)。
久しぶりのウナギ、しかも極太サイズに嬉しさが爆発します! 蓋付きの活かしバケツに入れてホッと一安心。なぜなら過去に、良型ウナギをバケツに入れようとしたものの、尻尾が入らずに脱走された苦い経験があったからです。
追加するも…
最初に良型を釣り上げて上機嫌になった編集部は、暗闇の中でキャスト&ウエイトを続けました。すると1時間置き程度の間隔で、2本目、3本目を追加しました。
2本目はやや細目で50cm前後。大きくなって再び釣り味を楽しませてくれることを願い、釣れてくれた感謝の気持ちを込めて優しくリリースします。
そしてついに迎えた3本目。闇の中で竿先ライトが動いたかと思うと、竿尻が浮いて鈴の音が悲鳴のように聞こえてきました! これはどうみても良型ウナギ。もしかするとシーバスかもしれないと思いながら、ガッチリと竿とリールハンドルを握って、ゆっくり大きく聞きアワセを入れます。
すると伝わってくる振動は、長く激しく強烈で、その正体がほぼ間違いなくウナギであると確信を持ちました。テンションを一定に保ちながら慎重に引き寄せ、何とか陸地にランディング! パッと見た感じでは1本目よりも長く太く、推定75~80cmの大物です!
興奮しながらカメラ撮影を試み、ベストのポケットからスマホを取り出しました。そして1枚だけウナギの画像を撮りました!
ところが、次の瞬間…
極太ウナギは草むらに猛然とダッシュ。いつの間にか針が外れていて、魚体はS字を描きながらもその先は川に向かって一直線…。極太ウナギと編集部の戦いは、ほんの一瞬で決着が付きました。ウナギの圧勝でした…(涙)。
放心状態ながら1本追加
その後はバラシの反省が続きます。放心状態のまま1時間は経過したかもしれません。撤収間際に1本を追加することができました。そのウナギも60cm超えの立派な良型でしたが、如何せん、バラシの悪夢と失態を引きずっていました。画像も撮らず、慎重にケースに入れてウナギ確保に走りました。少しは反省した効果があったのかもしれません(笑)。
活かして持ち帰る
一般的にウナギは泥を吐かせて臭みを抜くために、数日間活かしておく必要があると言われています。そのために最低限必要なものは次の通り。
ウナギが釣れたらシッカリとした蓋付きのバケツに入れます。ウナギは尻尾が出る穴や空間があれば、そこからスルスルとバックして脱走するのが得意技。
オススメなのはアジ釣り用の活かしバケツ(画像の緑色)で、上はザルになって水を交換しやすくなっていながらも、黒いツマミを回せば蓋がロックされてウナギが脱走する余地はありません。下に重ねられるバケツには、ウナギが泳いでいた川の水を半分程度入れ、あとはエアレーションを掛けて自宅まで活かしながら運搬します。
途中、1~2時間程度の間隔で生存確認をした上に、ポリタンクに入れていた川水で水の交換を行います。ウナギは環境が変わると警戒しますが、同時に排泄物をするケースも多く、その臭いと汚物を取り除くことが必要になります。この時に活躍するのが一体型となっている活かしバケツで、確実に水交換をしながらウナギの脱走を許しません!
自宅での活かし
無事に自宅に到着したら、活かしバケツから大き目の衣装ケースにウナギを移します。移す際にウナギにとって最大の脱走チャンスがあります(笑)。くれぐれも慎重に…
家の中では陽が当たらず水温の変化が少ないと思われる場所に、ウナギを入れた衣装ケースを置き、3~5日間にわたって水の交換を毎日行いながら泥吐きを進めます。水交換の注意事項としては、急な水温変化でウナギに余計なストレスを与えないことが必要になります。
そのため、川水を入れたポリタンクと、予めカルキ抜きを済ませた水道水を入れたポリタンクを同じ場所においておき、水温差がない状態をキープします。初日は川水割合100%でスタートし、毎日20~30%程度のペースでカルキ抜き水の割合を高めていきます。
ウナギ生存環境の維持
ウナギを活かすためには酸素の供給が重要です。水の量は魚体が浸る程度でも十分に活きると言われていますが、水のろ過と同時に酸素供給ができる「ロカボーイ」の使用が便利なため、空気が排水される凸部分が隠れるまで水を入れます。
また、同じ長さに切り揃えたプラスチックパイプを3本入れ、暗いところを好むウナギが身を隠すことを助長します。気温が高い日は凍らせたペットボトルをパイプの上に置けば、ケース内の温度と水温の上昇を防ぎます。
そして少しでも明るさを遮断するため、衣装ケースの上やサイドに黒っぽいタオルなどを当てて、暗いスペースを創造することで、ウナギも快適に活きてくれるものと信じています(笑)。
お別れの時…
こうして数日間活かしておいたウナギを締める時が訪れます。この時に脱走させてしまった苦い経験があったため、より安全で確実な「水揚げ」の作業を実施します。
まずは活き続けてくれたウナギに感謝を捧げます。そして蓋をしたまま衣装ケースを傾け、1つの角から排水すると共にウナギを外に出します。この時、排水する角に大き目の洗濯ネットを隙間ができないように添えてから排水します。
ウナギは脱走することなく洗濯ネットにスムースイン、どんなに暴れてもネットから外には逃げられません(笑)。そして水を切ってからビニール袋に入れ、袋ごと冷凍庫に入れます。冷凍庫に入れるのは数時間。それは仮死状態にして捌くためのもので、生のまま冷凍保存するのが目的ではありません。ウナギが仮死状態になって動かなければ、素人でも目打ちをすれば何とか捌くことが可能になります。
捌き終わったら食べやすいサイズに切り、串を打って皮身から白焼きにします。捌いたその日のうちに食すのであれば、白焼きが終わったら市販の蒲焼のタレに浸して焼き、焼いたらタレを塗ってを数回にわたって繰り返します。
1日で食べきれない場合は、白焼き後に密閉性の高い袋に入れ、できるだけ空気に当たらないようにして冷凍庫で保管します。賞味期限は1ヶ月程度かもしれませんが、早いうちに食すようにします。
愛おしいウナギ
ウナギを自前のドバミミズで釣り、心を込めて活かし、最後は感謝の気持ちを込めて食す。この工程から生まれる想いは、他の釣りでは殆ど味わうことができないでしょう。場合によっては「情」が移ってしまい、ウナギが愛おしく感じてしまうことがあります。
前回の記事チョイ投げ専科 【PART 2】ウナギ釣り 特効エサ・ドバミミズ確保編 – 釣り東北WEB (tsuri-tohoku.com)で述べたように、ウナギはどこにでも居るわけでもなければ、どこで釣ってもいいわけではありません。各河川毎の規制を事前にシッカリと調べることが必要になります。
合法的で安心して楽しめるウナギ釣り。この夏はドバミミズを手に、自分の手で高級食材でもあるウナギに触れてみてはいかがでしょうか? きっと新しい体験が待っていることをお約束します。