北防メソッド大公開!
今シーズンのオープンから2週が経過した秋田港の北防波堤(通称:北防)。想像よりも海水温が低いようで、例年のオープン時のようにホッケが回遊している気配はありません。しかし、連休後半からは、コウイカや良型アジの釣果が出始め、北防は徐々に盛り上がりを見せているようです。
令和6年5月11日(土)、午前6時の開場直後の北防に足を運ぶと、すぐに竿が大きく湾曲している光景に出逢うことができました! そこで今回は、この日の主役となっていたコウイカとアジ釣りの釣り方と工夫を取材すべく、地元アングラーのメソッドを聞き出すことに成功しました!
コウイカのエギング
【秋田港のコウイカ釣期】秋田港のコウイカは、4~6月に釣れることが多いが、その年の海水温や何らかの影響が大きく左右するようで、短期間に群れとなって防波堤の際近くまで寄ってきています。そんなコウイカはアオリイカ釣りで使用するエギをそのまま使用することができます。3~3.5号のサイズで、ヒットカラーはその日によって差があるようですので、複数種類を準備しておきたいものです。
【ボトム中心】アオリイカのエギングの場合、ロッドを大きくシャクってエギを高く浮かせたりしてイカにエギの存在をアピールします。ところが、コウイカにはそんなアクションは必要ありません。ボトム中心の生活(笑)をしているためか、ズル引き、ただ巻き、ステイだけでも十分に抱き付いてきます。アタリがない時は、チョンチョンと竿先を少しだけ持ち上げる程度でも有効な誘いとなっています。
【オモリのセット】現場で連続ヒットした人にエギを見せて頂くと、2つの工夫がありました。まず常にボトムを意識しつつエギを浮かせ過ぎないために、ナスオモリ(5~8号)をセットしていました。周囲で釣れている人を見ても、エギが海底から10cm程度上に離れた位置にポジションを取るようなリグを組んでいました。
ベタ底よりも少し上でユラユラと動くだけでも、ボトムに潜むコウイカには効果的。エギが根掛かる確率もグンと低くなり、一石二鳥のメソッドとなっていました。
【エサ巻き仕様】シンプルなエギでも釣れないことはありませんが、この日の北防で好調だったのはエサを巻き付けることができるエギでした。使用するエサは鶏のササミがメインですが、冷凍コウナゴ(イカナゴ)、冷凍アジ、冷凍イワシなども実績があります。エギの動きとエサの匂いによるダブルの相乗効果でコウイカを刺激しているようです。
【ポイントは簡単に見付けられる!】コウイカが釣れたポイントを探すのに、最も簡単な方法が墨跡を探すことです。コウイカは高い確率で粘性のある墨を吐きますが、いくら海水で洗い流してもその跡が地面に残りやすいのです。
このようにコウイカは高度なテクニックも必要なくハードルの低い釣りで、誰でも手軽に狙うことができます。注意するのは吐かれた墨の洗礼を受けないこと(笑)。いつまで釣れ続くかよく分からないターゲットだけに、今週末は北坊に行ってみてはイカがでしょうか?
尺アジはサビキを活用!
【先端付近が好調】アジ釣りは潮流によって作られる渦や潮の淀みなどが作られてエサが集まりやすいポイントを探すのが重要です。北防のような長い防波堤では、先端付近やカーブ付近など、潮の流れの変化が起きやすい箇所が狙い目になります。
今回の取材でも先端付近で最初のアジが釣れ、その周囲でアタリが集中していました。北防では秋口になると、アジの群れも大きくなって場所を選ばずにアジの釣果が見られますが、春のシーズン初期は群れが小さいため、ポイントの選択が釣果を分ける要因になりがちです。
【良型アジは底を狙う!】一方、この時期のアジはサイズが大きく、30cmを超える尺アジも決して珍しくなく、この日も33cm、36cmと見事なアジが釣れていました。このような良型アジは、表層~中層よりも海底付近を回遊していることが多くなっています。
【サビキ釣りが有効】この日の北防が開場したのは午前6時。日の出時刻から約1時間半が経過しており、朝まづめのゴールデンタイムが終了してから釣りを開始することとなります。しかも潮流が速く水深もある先端付近では、軽いウエイトのジグヘッドを使うアジングのような釣り方では、ボトムを感じることさえ難しくなってしまいます。そこで威力を発揮するのがサビキ釣りです。
サビキ釣りには、岸壁などで竿下を狙う固定式サビキと、大き目なウキを付けてサビキ仕掛けを遠投する投げサビキが代表的です。固定式サビキでは竿先に、投げサビキではウキが沈んだり動いたりすることでアジからのアタリを察知します。
【ぶっ込みサビキ】それに対し、最近流行しつつあるのが「ぶっ込みサビキ」という釣り方です。北防の常連さんもこの釣り方をマスターし、シッカリと安定した釣果を残していました。
「ぶっ込みサビキ」は投げサビキのウキの浮力を落とし、ウキが海面に浮かばないようオモリとのウエイト調整を行って、サビキ仕掛けを遠投します。海底ではオモリが常に底に接し、サビキ仕掛けがシモリウキがある上方向に垂直に張りを保って伸びているイメージとなります。
従って、良型アジが多く回遊していると思われるそこ付近には、いつもサビキの針が存在することとなり、良型アジがヒットする確率が高くなるのです。アタリはミチ糸の出方や動きでキャッチすることが可能です。
コツとしてはミチ糸が緩んで糸フケが出過ぎないようにし、なるべくテンションが掛かっている状態にすることです。水深と潮流があるポイントでは理に適った釣り方で、タナ取りに苦労する投げサビキよりも早くなる傾向があります。
【釣り方の工夫の楽しみの1つ】季節やアジの群れの状況によって釣り方もアレンジして楽しめるのがサビキ釣り。同じコマセや仕掛けを使用するのに、少しだけ工夫を加えることによって、釣れるアジのサイズがアップしたり、釣れる数が大きく伸びたりします。同じ北防でも、夏~秋にはマダイや青物などがサビキ仕掛けに掛かることも多くなります。そんな時期には針を大きく、ハリスも太いタイプを選ぶことも大切です。
【遠投カゴ釣りも一考】前述のように、北防ではマダイや青物の実績も高いポイントのため、それらを1本針で専門に狙う「遠投カゴ釣り」も強い味方になってくれます。この先、この釣り方も深く取材してみようと考えています!
以上のように、秋田港北防波堤ではこれから様々な魚が釣り人のマインドを満たしてくれるようになります。北防は足場も良く安全であるだけでなく、釣れる魚の種類も実績も抜群なことから、自分の好きな釣り方は勿論のこと、新しい釣り方にチャレンジしてみるには絶好のポイントになります。
来場者の中には釣り方を気さくに明るく教えてくれる優しい人が多く、楽しい1日を過ごせ、さらにはお土産も期待できる釣り場です。これからの釣りシーズンは北防で遊ぼう!