今回は、宮城県亘理町（わたりちょう）・荒浜漁港から出船し、亘理沖の豊穣な海でヒラメを狙います。アングラーにとって東北でのヒラメ釣りは今回が初めて。お世話になったのはきくしん丸です。初めてのフィールドで、どのように状況を読み、タックルを使い分けて攻略していくのか。そのプロセスと、実釣で導き出された「ヒラメ釣りの極意」を詳しく解説します。
亘理沖のフィールド特性
今回のポイントは、魚礁周りやツブ根（点在する根）の底周りが中心です。
船長からのアドバイスによると、魚礁周りは根掛かりのリスクがあるため、底から1ｍほど浮かせてタナを取るのが基本となります。ウネリがある日は底が取りにくくなるため、こまめなタナ取り直しが釣果への近道です。
・オモリ号数: 80号で統一
・制限匹数: 1人20匹まで
・エサ: 12〜13cmほどの小ぶりなマイワシ（夏は20cm前後）
釣果を分ける「エサ付け」と「タナ取り」
ヒラメ釣りにおいて最も重要と言っても過言ではないのがエサ付けです。今回使用するイワシは小ぶりですが、孫バリはフリー（ぶらぶらさせる状態）で使用します。
・エサ付けのポイント: 親バリを口の中から通し、鼻の硬い部分（白い線がある場所）へ抜きます。
・チェック: 投入時にイワシが回らずに泳ぐか必ず確認します。回転してしまうエサは食いが極端に落ちるためです。
・タナ取り: 着底したら、そこから底を切ります。オモリが「ドスドス」と感じれば砂地や泥、「カンカン」という金属的な感触なら根周りなど、海底の変化を読み取ることが重要です。
状況に合わせたロッドセレクト術
今回は3種類のロッドを使い分け、それぞれの特性を活かしたゲーム展開を見せました。
1. 情報量と操作性の「7:3調子」
使用ロッド：ミッドゲーム XR 73MH230
ヒラメ釣りにおいて、オモリからの情報は生命線です。このロッドは感度が良く、前アタリのような小さな情報もしっかり手元に伝えてくれます。底質の変化や根掛かり回避など、トータルバランスに優れています。
2. やり取りを楽しむ「6:4調子」
使用ロッド：ミッドゲーム XR 64MH240
食い込みが浅い時や、掛けてからのバラシを減らしたい時に真価を発揮します。魚が掛かるとロッド全体が粘り強く曲がり、ヒラメの暴れを吸収してくれるため、安心してやり取りができます。
3. ダイレクトな感度の「ライトタックル」
使用ロッド：バイオインパクト ライトヒラメ 73-235
「ライト」とはオモリを軽くすることではなく、短竿と小型リールを組み合わせた「タックルのトータルバランス」を指します。オモリは同じ80号を使用しても、竿が短い分、情報がタイムラグなくダイレクトに伝わり、ゲーム性の高い釣りが楽しめます。
実釣！良型ヒラメとの出会い
実釣開始早々、着底と同時にアタリがあるなど魚影の濃さを感じさせますが、最初はフッキングに至らず苦戦する場面も。しかし、アタリがあっても慌てず、ヒラメがしっかりとエサを食い込むのを待ってアワセを入れることで、見事に良型のヒラメをキャッチしました。
特に印象的だったのは、着底直後のアタリ。「上から落ちてくるものに興味を持ち、着底した瞬間に食いつくケースが多い」とのことで、底に着いた瞬間は要注意です。
達人が語る「ヒラメ釣りの3つの極意」
数々のヒラメを釣り上げてきた鈴木氏が、今回の釣行を通して挙げた極意は以下の３点です。
- 活きエサの扱い ：エサ付けを素早く、丁寧に行い、いかにイワシを弱らせず、長い時間元気に泳がせられるかが勝負の分かれ目です 。
- タナのキープ ：竿操作で海底の変化を感じ取り、適切なタナ（底から1m以内など）を維持し続けること。
- アタリがきても慌てない：前アタリがあっても即アワセは禁物。強い引き込みがあるまでじっくり待ち、確実なフッキングを狙います 。
関東エリアからも注目されるほど魚影が濃い仙台湾・亘理沖のヒラメ釣り。
タックルバランスを考え、エサの扱いに気を配れば、初心者でも大判ヒラメに出会えるチャンスは十分にあります。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。
TACKLE DATA
・ロッド: シマノ ミッドゲーム XR [73MH230 / 64MH240] 、バイオインパクト ライトヒラメ [73-235]
・リール: シマノ オシアコンクエスト 300HG / オシアコンクエストCT 200HG
・ライン: シマノ タナトル8 2号
・リーダー: フロロカーボン 6号 1m
・仕掛け: 胴突き泳がせ仕掛け（エダス80cm、ステ糸40～50cm）
・親バリ：ヒラメ針14号
・孫バリ：トリプルフック #8
【取材協力】
きくしん丸
TEL 0223-35-3552
〒989-2311 宮城県亘理郡亘理町荒浜築港通り６−９
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