令和5年7月25-26日、温海水の恩恵を受ける希少な管理釣り場、福島県「新地町海釣り公園」にチャレンジしたのは、ルアーフィッシングの佐藤雄一氏、投げ釣り・泳がせ釣りの東海林誠氏、ウキフカセ釣りの浅野俊彦氏。皆、宮城県在住の各釣りを代表するエキスパートだ。本稿では、スペースの都合上、釣り東北9月号連動(No.405)に載せきれなかった3氏の仕掛け、釣り方の詳細を解説する。











〇3氏の事前戦略(思惑)
今回皆初見ということで事前準備は妄想の極み。同施設ブログに載っている昨年の実績では、イシダイ63cm、ヒラマサ80cm、ヒラメ76cmなど素晴らしい釣果。そのような魚を確実に獲れるようなタックルをメインとしつつも、時期的には夏枯れ気味ということで小~中型に合わせたライト系タックルも保険で準備した。結果的には、その時期的な条件と、しばらくシケていない悪タイミングが重なったことで大物不在、かつ集まった魚も低活性ということでライト系タックルが活躍することとなった。

佐藤雄一氏のタックル
ロッド:9ft1inのライトロックフィッシュ用MHクラス(プロト)
リール:シマノ「ステラC3000XG」
ライン:バリバス「マックスパワーPE X8[ライムグリーン]」0.6号
リーダー:バリバス「ショックリーダー [フロロカーボン]」14Lb・1.2m
ジグヘッド:エコギア「イワシヘッド」14g
ワーム:エコギア「ミノーM」「グラスミノーM」




東海林誠氏のタックル
竿:シマノ「キススペシャル405CX」
リール:シマノ「パワーエアロスピンパワー」
ミチ糸:アトミックスライダー投(オレンジ)5号
力糸:ナイロン6→12号 15m
ハリス:フロロカーボン6号・約1m
ステ糸:ナイロン4号70cm
オモリ:23号
針:がまかつ「管付チヌ」6号
マゴ針:トリプルフック#3




浅野俊彦氏のタックル
竿:がま磯「スーパープレシード」1号5.3m
リール:シマノ「BB-XハイパーフォースC3000DXG」
ミチ糸:東レ「銀鱗®スーパーストロング エックス・オー」2号
ウキ:ソルブレ「GINOH R 」00~5B(ウキ止めあり・タナ竿1本)
ストッパー:ソルブレ「ストッパー」
ヨリモドシ:12号
ハリス:東レ「トヨフロン® スーパーL・EX ハイパー」1.7~2号 竿1本
ジンタン:G3~5B(3段打ち)
針:がまかつ「チヌR」「スパイクチヌ」3~4号
ツケエサ:マルキユー「くわせオキアミV9」「荒食いブラウン」「高集魚レッド」など
マキエサ:オキアミブロック6kg、マルキユー「湾チヌスペシャルⅡ」×2



〇3氏の釣り方、感想
浅野氏:クロダイ、マダイ、青物が流れの中に出づらい時期、タイミングとなってしまい、ノーマルな範囲でのウキフカセ釣りがマッチングしづらかった。そこで苦肉の策で、初日はアユ玉クラスの重いオモリを段打ちしなるべく流れが緩い岸壁際を流し、仕掛けが止まる位置でなんとか2回アタリを捉えた。ただ、重い仕掛けとはいえ仕掛けが斜めに入っており、際のイガイにラインが当たり、悔しくも高切れしてしまった。これに対してはもっと重いオモリを用意して強制的にライン角度を立てれば良かったなと思う。あとは2日目の朝一にマキエを撒く前、ウキを外した状態で加工オキアミを岸壁際に落とし込んだところ見えるクロダイが1度だけ食ってきた。専用タックルでカニやイガイを付ければおそらくはしっかり掛かったと思うので、落とし込みをする人はチャレンジしてみる価値はあると思う。ただ、それ以降は見向きもしなくなったところを見ると、やはり人に対しての警戒心は強いようなので、最も活性が上がり、警戒心の薄い朝一のワンチャンスだと思う。個人的に次回はエサにキビナゴを使用したウキフカセ釣り「スルルー釣り」で青物を狙ってみたい。水温が下がればきっと流れの中で捕食してくれるはずで、もうウキが一気に消し込む予感しかしない!


佐藤氏:速い流れの流心沖にある緩い流れに狙うべき大型のフィッシュイーターがスタンバイしていると仮定し、序盤は飛距離が出やすいバイブレーション系をメインにしたが、反応がなかった。青物がいれば流れの周りだけでなく、沖のほうでも朝はナブラが立ったり、ボイルが見えたりするものだが、気配がないのでベイトフィッシュが薄いタイミングに当たってしまったと仮定。さらに、小型のカンパチながらコンスタントな釣果を上げていた常連ルアーマンの釣り方を見ると、サビキとワインドのハイブリッド系リグでリアクションバイトを狙っていて、食ってくるのが全てシルエットが小さいサビキのほう。これを踏まえると、なるべく小さなワームでのダート系の釣りしかないだろうと、イワシヘッドにミノーMをセットしたジグヘッドリグを選択。釣り方は、まず流芯手前に発生する渦を巻いて下降する流れにリグを入れてラインを送る。着底したらリグがダートするようにラインスラックを弾くように軽くロッドをチョンチョンとあおりながら中層まで巻き上げ、再度底まで落とし、同じアクションで今度は表層まで巻き上げる。今回釣れたカンパチ、シマアジはダートでスイッチが入ると数匹で執拗にチェイスし、ダート中の動きがスイッチしたタイミング、落とし直した直後、底から立ち上げた直後などリグが動きが変化した時にバイトしてきた。水温が下がったタイミングでまた同施設を訪れ、是非ヒラマサをルアーでキャッチしたい。あの流れの中でもしヒラマサが掛かったら相当楽しめると思う。




東海林氏:一番沖側の流れが緩い所に入らせてもらったので、2氏に比べればある程度自分の釣りがしやすかったが、それでも投げ釣り、泳がせ釣り共にある程度長い時間アタリを待つ釣りだけに難しかった。小魚を現地調達して泳がせ釣りができればと思っていたが、残念ながら小物が回遊していないタイミングに当たってしまいサビキ釣りで釣れるのはフグだけだった。そんな時に頼りになるのがつりえさ倶楽部マリンの「銀兵」。これは養殖されたウグイで、弱りにくいのが特徴。今回、2日間クーラーボックスで保冷剤を入れ、エサポンプも使用し保存したところ、ゆうに30度を超える猛暑に見舞われても最後まで生きが良い状態で使うことができた。そして、その銀兵が福島県の超レアフィッシュであるキジハタ、しかも40cm近い良型を運んできてくれた。この時は、場所移動して1発目のキャッチ。流芯の手前にオモリのみが付いた仕掛けをキャストし、オモリが底に軽くロックしたのを見計らってその導線のミチ糸にエレベーター式で銀兵をセットした仕掛けを送り込んだ。タナが取れたのを確認し、魚が銀兵を食ってきた時の違和感を軽減し食い込みを促すのと、リールのドラグの音でアタリを取りやすくするためにリールのドラグを緩める。流れがあるので仕掛けが引っ張られて時折ジジジとドラグが鳴ったが、一際ジーッと大きく鳴った。竿を持ってテンションをさらに緩めると流れではない力で引っ張られたので、逆にテンションを掛けてアタリを聞いたところ、グングンと明確な魚信を感じ、アワせた。しっかりとした重量と走りに良型を確信しながら巻いてきたところまさかのキジハタだった。移動して一発目だったので、その後も連発するのではないかと期待したが、やはりそういう時期とタイミングではなく単発で終了となった。今回同施設のポテンシャルの高さを知ることができたので、ヒラメ、マゴチ狙いでまたチャレンジしたい。




〇総括
時期と悪タイミングを考えれば良型キジハタ、カンパチ、シマアジが釣れたのは十分な釣果ともいえる。それだけに水温が下がってきた時の爆発力を期待させるものがあった。実際、施設管理人によれば突如カンパチなど青物の群れが入り、大フィーバーするXデーが存在するというので、何度か通って確率を高めるのが良いだろう。ちなみに、地元の常連さんにこの流れを初心者がどう攻略したら良いか聞いたところ、40~60gのタイラバにイカのゲソや短冊を付け、軽く投げて底を取ったらあとは流れに乗せながらゆっくりリールを巻くと、流れに浮かされずにしっかり足下までアピールでき、色々な魚が釣れやすいとのこと。どう釣れば良いか迷った時は是非試してみては?
⇩釣行後はBBQや防災緑地公園施設を見学! 釣りをしない人も楽しめる。














でもお酒が飲めるのは佐藤氏だけw
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