今季は例年より1~2週間早い9月半ばから本格スタートした、秋田県男鹿半島のアオリイカティップエギング。特に繊細なアタリを捉えアワせて乗った時のズッシリ感は中毒性が高く、近年は同県だけに留まらず、隣県のファンも年々増えている。釣り東北編集部もその魅力にどっぷりハマっているが、以前より是非ともこの男鹿半島のポテンシャルを知ってもらいたい人がいた。それはイカ先生こと、富所潤氏。アオリイカ釣りをする人なら知らない人はいない有名人だが、今回念願叶い、数、サイズ共に揃いやすいタイミングの10月中旬に来秋することとなった!
◎シケ&濁りで最終日に賭けるしかない!?
同時期は季節風が強まり、徐々に出船率も下がり始める。それを見越して、イカ先生には今回3日間のスケジュールを押さえてもらったが、1日目は風速20mを超える暴風で船も出られず中止。2日目もウネリが高い上に、底荒れ、河川増水による濁りで殆ど釣りにならないレベル。そこで釣果関係なしにタックル、初心者向けの釣り方解説などを撮ろうと、昼過ぎから唯一ウネリが落ちた男鹿半島北西部の戸賀湾にて、エビちゃんこと、蝦名和加子船長の船宿「ソルトビーチ」の船に乗り出船した。
それでも出られさえすれば「状況が超厳しくてもイカ先生ならなんとかしてくれるのでは?」と思っていたが、常に水がクリアな同湾ではあまり見たことがないほど濁っており、かつシケによって水温も1度近く下がったことから、アオリイカの群れも一旦同湾から抜けた感ありあり。淡い期待も湾外へと出ていってしまった(笑)。
ということでここは気持ちを割り切り、ゼロから始める初心者向けの解説動画の撮影に徹し、終了となった…と思ったら、夕方にウネリが落ち始め、なんとか湾外へ出られそうな状況となった。「沖で30分1本勝負してみましょうか!」と、短時間ながら本気モードで初の男鹿アオリを仕留めにかかる!


◎泣きの一流しにドラマが!
とはいえ依然波は高く、エギを安定させるのが難しい状況の中でイカ先生がセレクトしたタックルは7ftクラスのロングロッド、シマノ「セフィア XR ティップエギングS72ML-S/R」。ティップエギングでは、シャクリよりもステイでいかにエギをピタリと静止させるかが大事な中で、風やウネリにより船のアップダウンが天敵となる。同ロッドの長さと胴調子がクッション的役割を果たし、それを上手く吸収してくれる。
しかし、湾から出て左側の宮島周辺の水深15m前後、真沖の30mラインにあるツブ根周りをやってみたが気配なく、これでほぼ30分が経過し、終了の時間となった。湾内にいたアオリイカは一体どこへ落ちたのか? 皆もやもやした気分だったが、状況を考えれば致し方ない…と諦め、帰港することに…と思ったが、エビちゃんが「あそこだけやって帰ろう!」と、気になった根太島周辺の水深20mラインで泣きの一流しをすることに。

「最後の最後に何も起きないのが私なんだよね~」とちょっと自虐的なイカ先生だったが?本当のラスト1投で「おー、きたぁ!」という雄叫びがついに戸賀沖に響いた! シャクった後のステイですぐクッと押さえ込むようなアタリがあったとのこと。釣れたのはこの時期にしてはちょっと小さいサイズだったが、数々のデカアオリを仕留めているイカ先生も「男鹿初イカでございます! 久々に嬉しいイカ。すっげぇ嬉しい!」とサイズ関係なしに感慨深い1杯の様子。実際、ガイドしたエビちゃんと一緒に船上で小躍りするほど大喜びしていた(当然その衝撃でイカにブッシャーされたw)。
ウネリが落ち、良いコンディションになりそうな最終日の3日目に向けて弾みとなる、最高の1杯となった。(後編へ続く)



◎タックルデータ
ロッド:シマノ「セフィア XR ティップエギングS72ML-S/R」
リール:シマノ「ヴァンキッシュC3000」(ダブルハンドル換装)
ライン:シマノ「セフィア 8+」0.4号
リーダー:シマノ「セフィア マスターフロロリーダー」2号
エギ:シマノ「セフィア アントラージュ シーグル 3.5号 フラッシュブースト」S2(Fパープルエビ)
◎取材協力
シマノ、ソルトビーチ
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