再注目!渓流ナイロンライン!

 バリバスのトラウトルアーフィッシングラインに新たなる展開で今年から加わった「VARIVASトラウトナイロン[ナチュラル][オレンジ]」。往年のスーパートラウトアドバンスシリーズとしてのその名を冠しないパッケージの佇まいに、これからの新たなる渓流トラウトルアーシーンを見据える同社の一つの形(答え)があるのは明瞭であると言えよう。
 昨今のトラウトルアーシーンでは、ジャンルに隔てられての概念が払拭されつつあると言える。ロッドはバーサタイルに、そして何よりもラインを束ねるリールが、かつての時代では(本文では本流や湖沼は除く)スピニングリールがおおよそを占め、ベイトリールはマイノリティとして見られることが多かった。しかし約7年前より渓流ベイトフィネスという概念が開拓され、今や渓流ルアー釣りを始める際に最初からベイトタックルを選択するケースも多い。
 ロッド、リールの性能の向上に伴い、ラインの進化も著しく、扱うには難しいというイメージで敬遠されがちであったPEラインも身近なものとなり、中にナイロンラインを使ったことがないいアングラ―も珍しくない状況だ。

渓流域でこそナチュラルカラーが生きるケースもある
目次

ナチュラルカラー

 いつの時代でも消えることのないスタンダードである「ナイロン」。その新機軸を打ち出した同社の「VARIVASトラウトナイロン」に、まず驚かされたことがラインカラーのクリアの設定である。
 ここで読者諸兄はオレンジなど有色の設定は分かるが、無色となると管理釣り場用? と思われることであろう。しかし、このクリアの設定は何も奇をてらったわけでもなく、管理釣り場向けだけでもなく、ラインを知り尽くす同社であるからこそのナチュラルフィールド、いや激戦区攻略の鍵を明瞭に示すものであると思う。
 クリアカラーは視認性の少なさというイメージが付きまとい、敬遠される方が多いと思われるが、中では有色カラーでも見にくいと経験された方は居ることと思う。そこで是非、試してもらいたいのが無色(クリア)である。今やそのデザイン性やファッションとしてのみならず数多あるレンズメーカー、様々な偏光度を設定するアイウエアの偏光グラス。そのグラスの特性ではクリアカラーは光を吸収し白や白銀として認識できる、グラス越しで初めて視認性を有する高性能ラインへと変貌するのである(筆者の偏光グラスの調光度はその設定である)。

抜け感良く、高耐久

 今回、このラインをモニターした時期は大型連休突入のタイミングの入退渓が容易な里の開けた流れ。当に激戦区と言える流程で、更に陽が高くなってるデイゲームのタイミングにあえて投じることを課してみた。
 普段はPE使いでナイロンを使用するシーンは皆無とは言わないが、少なくなりつつあるのも事実であるが、今回のVARIVASトラウトナイロンの素直で取り回しの良さにには驚かされた。
 ベイトリールのスプール径の小ささ、巻きの直進性のトルクにより、大概のナイロンラインは巻き癖が付くのが常だが、同品はさすがに皆無とは言えないが、ガイドを通そうとする際に解けさせてもまず癖感が軽微なのである。
 しかしながら、程よい張りとしなやかさを両立させているという実感はスプリットリングを結んでいる際に直感したのであるが、それが実感に変わったのはキャストしてみてのミノーの飛びで、ロッドのしなりに追随してのガイド抜けの素直さは正直、驚かされた。
 まずナイロンでのライントラブルの軽減はPEよりはやはり数段秀でているというのは揺るがない事実である。 あえてストラクチャー界隈を強引に攻めてみてた。数投してからラインを指先で撫でてみるがケバ感もそうも感じられないのはパッケージの謳い文句にある「高耐久」に偽りなしと私は太鼓判を押せよう!
 しかし、それも絶対的持続ではなく、ほどほどの遡行でのタイミングでのラインを捨てスプリットリングに転結する場合でも、システムを組む時間を省けるということは、渓流での遡行でのテンポを軽快に実現できる、気持ちに余裕を持つ意味では大きなアドバンテージになると再認識できた。釣りでの心のリズムを保つ…これはある意味では最も大きな(必要な)ことではないだろうか?
 流石に定番ともいえるポイントでは警戒心の強いトラウトの姿は出にくく、竿抜けと言える場所などでサイズには恵まれなかったが、コンスタントにヤマメが春の陽射しを浴び翻る姿、感触を堪能できた。

薄暗いゴルジュ帯ではオレンジがナチュラルに映える

 今度はゴルジュ気味でかつ昼でも暗い上流部域水系に河岸を変えての同シリーズの「オレンジ」をチョイス。
 視認性の側面を持ちつつも仄暗いシーン(水面下)ではクリア以上に水・景色に溶け込むステルスカラーに成り得ているのは目に見えて判断できる。水面上ではアングラ―の視認を有し、水面下ではステルス化という意味での、蛍光系でなく当に「ナチュラル」と銘打つ意味が取って伺える。
 明暗が流れも相まって常に変化に富む水面でラインの存在感をロストすることなく、ミノーの操作を視線で追うことばかりで集中できないというジレンマからの解放、かつ水に溶け込み、ラインの波動こそ物理的には消すことはできなくとも、少なくともラインの存在を少しでも希薄にしたいという意味では、このVARIVASトラウトナイロンはアプローチからアクションまでのプロセスは使うアングラ―にとって大きく頼もしいアドバンテージになることであろう。

陽射しに映えるヤマメが踊る

 アプローチ、アクションまでは良しとして、最たるランディングまでのプロセスはどうであろうか…。お恥ずかしいながらこの釣行期間で満足なサイズは得られなかったが、30cm台後半のイワナとのファイト時は何らストレスなく余裕を持って対峙することが叶った。途中、ブッシュに潜られそうになり丸みある大石、沈んでいる枝などに走られて擦れるシーンもあったが、ナイロンの強味である、張力からの一瞬でのブレイクは伸びの粘りで回避できるのも、この素材ならでは業であろう。
 改めてこのVARIVASトラウト ナイロンは、激戦区的という人為的なタフコンデション下で是非、他のアングラ―と差を付けたい時に巻いてもらいと実感できた。
 そして一番のライバルは人に非ず! これから水も温み、いよいよトラウト達のコンデションも狡猾さも本領を発揮するシーズン! 是非ともこれを読まれているアングラ―諸兄の戦略の一つに「VARIVASトラウト ナイロン」を一つの選択として加えらることをお薦めする。

ネイティブで力強いイワナとのファイトも何のその
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